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ラニーニャ現象の冬が、3年連続する可能性があります。この先、11月終わりから12月初めは、急に初冬らしい寒さになるでしょう。ただ、明瞭な寒気が流れ込まない可能性もでてきました。

「3年連続のラニーニャ現象の冬」になる可能性あり

気象庁が今月10日に発表したエルニーニョ監視速報では、今後、冬の半ばにかけてラニーニャ現象が続く可能性が高くなっています。気象での冬の期間は12月から2月です。この期間の最後の月にあたる2月に、ラニーニャ現象の状態である可能性は50%です。

ラニーニャ現象の冬、ということであれば、2021年の冬(2020年12月~2021年2月)、2022年の冬(2021年12月~2022年2月)と、2年連続しました。

2023年の冬(2022年12月~2023年2月)も、ラニーニャ現象の冬になると、エルニーニョ監視の記録が残る1950年以降、初めて、「3年連続のラニーニャ現象の冬」になります。

ラニーニャ現象とは

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ラニーニャ現象の発生時には、太平洋赤道域では、東風が平常時よりも強くなり、太平洋赤道域の西部に暖かい海水がより厚く蓄積する一方、東部では冷たい水の湧き上がりが平常時より強くなります。この影響で、インドネシア付近で対流活動が活発になります。

ラニーニャ現象の冬は、インドネシア付近で対流活動が活発になる影響で、上空を流れる偏西風が、インドやチベット付近で北へ、日本付近では南へ蛇行し、寒気が流れ込みやすいともいわれています。

連続するラニーニャ現象の冬 1年目 冬の前半に度々寒気

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2021年の冬(2020年12月~2021年2月)は、12月中旬から1月上旬を中心に度々強い寒気が流れ込みました。日本海側を中心に記録的な大雪になった所があり、北陸地方などで大規模な交通への影響が発生しました。
冬の最深積雪は、富山市で128センチ、福井市で107センチで、いずれも平年のおよそ2倍になりました。

一方、冬の後半は、寒気の南下が弱く、冬の前半と後半で、気温の変動が大きくなりました。

冬の期間を通しての平均気温は、沖縄・奄美、九州から東北南部を中心に、平年並みか高くなりました。

連続するラニーニャ現象の冬 2年目 12月下旬以降に強い寒気

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2022年の冬(2021年12月~2022年2月)は、12月下旬以降、強い寒気が流れ込むことが多く、日本海側を中心に度々大雪になりました。
冬の最深積雪は、日本海側を中心に平年を上回った所が多くなりました。新潟県津南町で、2月24日に419センチの積雪を観測するなど、年最深積雪の記録を更新した所もありました。

冬の期間を通しての平均気温は、沖縄・奄美、九州から東北で、平年並みか低くなりました。

12月中旬頃にかけて 冬の寒さをもたらす寒気の予報まだ定まらず

立冬が過ぎ、暦に上では冬に入っています。
今シーズン、一時的に寒気が流れ込むことがありましたが、大陸の高気圧の勢力は弱く、本格的な冬の寒さはまだです。

11月終わりから12月初めに、大陸の高気圧は勢力を強め、西日本を中心に西高東低の気圧配置になりやすい時期があるでしょう。北風が吹き、急に初冬らしい寒さになる見込みです。

ただ、この予報には大きな幅があります。11月終わりになっても、明瞭な寒気が流れ込まない可能性もでてきました。ヨーロッパ中期予報センターの予報では、12月中旬を過ぎる頃にかけて、北日本付近に度々寒気が流れ込むことがあっても、東日本や西日本付近に寒気が流れ込みやすくなる傾向は、特にみられません。

ラニーニャ現象の基準は、国によって微妙な違いがありますが、「3年連続のラニーニャ現象の冬(南半球では夏)」は珍しいこととして、世界中が注目しています。
この冬、長期予報は、今後、最新の情報をご確認ください。