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台風14号の影響で九州や中国地方では、甚大な災害に繋がる、過去経験したことのないような大雨が予想されている地域があります。日本気象協会は、台風第14号に伴う今後の大雨と災害の見通しについて解析を実施しました。

台風14号は動きが遅く 影響が長期間にわたる可能性

大型で非常に強い台風第14号は、18日13時現在、屋久島付近を北北西へ毎時25kmで進んでいます。中心気圧は930hPa、中心付近の最大風速は45m/sです。
昨日17日(土)には鹿児島県に暴風、波浪、高潮の特別警報が発表されたほか、今日18日(日)には宮崎県に大雨特別警報が発表されました。
すでに災害が発生していてもおかしくない状況です。該当地域にいる方は、命を守る行動を優先してください。

台風14号は、このあとも勢力を維持したまま今日18日(日)夜遅くにかけて九州南部にかなり接近または上陸するおそれがあります。さらに、19日(月)には九州北部周辺で進路を東向きに変えて、西日本を縦断する予想となっています。

台風の進行速度が遅いため、長時間にわたって大雨や暴風の影響が出るとともに、中国・四国地方などでは雨量が多くなる可能性があります。西日本の広い範囲で、大雨や暴風に加え、土砂災害、沿岸部では高潮や高波に警戒が必要です。

九州・中国地方で過去経験したこのとのないような大雨に

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日本気象協会独自の「JWAアンサンブル雨量予測」では、予想される降水量がそれぞれの場所において過去最大の降水量と比較して何割に達するのか、ということを示す「既往最大比」を解析しています。これが100%前後に達すると、甚大な被害の発生する可能性が高まるという研究結果があります。

解析の結果、すでに台風が接近している九州南部の宮﨑県、本県、鹿児島県で20日(火)にかけての48時間雨量の最大値が800mmを超えて、既往最大比150%を上回ることが分かりました。
さらに、台風の進路にあたる九州北部や中国地方でも、20日(火)にかけての48時間雨量の最大値が600mmを超える予測となりました。特に、中国地方は普段から雨が少ない地域でもあるため、既往最大比が150%を超える可能性があります。

既往最大比が150%を超えると、犠牲者の発生数が急増する可能性があるということが、日本気象協会と静岡大学牛山素行教授との共同研究の結果からわかっています。
これらの地域では災害発生危険度が極めて高くなっておりますので、厳重な警戒が必要です。

これまでに類を見ない水系数の河川で氾濫のおそれ

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九州南部では18日(日)~19日(月)にかけて、九州北部や中国地方では19日(月)~20日(火)にかけて、国管理の大きな河川を含めた多くの河川で、現状の整備水準を超える規模の雨量が広範囲に予測されています。大雨による氾濫が発生するおそれがあります。

市町村が作成している洪水ハザードマップなどを早めに確認し、浸水の可能性や避難する場所・経路などを把握するとともに、避難への備えを行ってください。そのほかの河川でも氾濫が発生するおそれもありますので、最新の気象情報や河川情報を確認するようにしてください。

暴風にも最大級の警戒を

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台風接近により暴風にも警戒が必要です。

瞬間風速25m/s以上となる確率は、明日19日(月)にかけて九州地方の広い範囲で70%を超えています。
四国地方や中国地方でも、18日(日)夜間~19日(月)にかけて、所々で70%を超える確率になっています。
暴風への備えは早めに済ませるようにしてください。交通機関の乱れも予想されますので、こまめに気象情報や交通情報を確認をするようにお願いします。

高波・高潮にも警戒

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台風第14号は、中心気圧が930 hPaと非常に強い勢力で九州に接近・上陸する見込みで、台風の進行方向と湾の軸が一致する可能性が高い鹿児島湾、有明海・八代海、瀬戸内海では、高波・高潮による浸水害への備えが必要です。高潮は台風接近時に「気圧低下による吸い上げ効果」、「強風による吹き寄せ効果」、「高波による水位上昇」により発生します。

高潮から身を守るには、次の2つのことが大切です。

1つは、台風が接近するタイミングなど、情報を収集することです。大潮の時期かどうか、また、満潮時刻も確認しておきましょう。

もう1つは、台風が接近する前に、なるべく早く避難することです。台風本体が近づくと、暴風や猛烈な雨、波しぶきなどに邪魔されて、避難所に行くのが大変です。海水が防波堤を越えると、あっという間に浸水してしまいますので、明るい時間帯など、安全に移動できるうちに、避難してください。

高潮から避難する場合は、なるべく高い所、海岸より遠い所、鉄筋など頑丈な建物を選んでください。