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大型で猛烈な台風14号は、「特別警報級」の勢力を保ち、九州にかなり接近、上陸する恐れがあります。九州では記録的な暴風や大雨になることが予想されます。過去に九州に大きな災害をもたらした台風の事例も参考にして、台風14号の暴風や大雨などに最大級の警戒をすることが必要です。

猛烈な暴風をもたらした1991年台風19号

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1991年の台風19号は、東シナ海を北上した後、長崎県佐世保市の南に上陸。上陸時の中心気圧は940ヘクトパスカルでした。台風は長崎県、佐賀県、福岡県から日本海を北東へ進み、東北地方でりんごに大きな被害を出したことから、「りんご台風」とも呼ばれています。
最大瞬間風速は長崎市で54.3メートル、佐賀市と本市で52.6メートルを観測するなど、九州各地に猛烈な暴風をもたらしました。

台風19号では、猛烈な風により飛散した屋根瓦などが当たり大きなけがをする事例が多く発生しました。屋内でも、窓から瓦が飛び込んできて人に当たったケースがありました。
暴風の中、屋根の修理をしようとして落下したり、屋外で倒壊した建物や倒れてきた木に当たって、けがをするといったことも多くありました。
また、暴風によって電線が切れたり電柱が折れたりして、九州の広域で停電が発生しました。

暴風への対策として、台風襲来前に、風によって飛んだり落ちたりするおそれのあるものは片づけたり、しっかりと固定したりしておきましょう。
風が強くなったら、外に出ないということが最も重要です。たとえ室内でも、外から物が飛び込んでくるおそれがありますので、雨戸があれば雨戸をしめる、雨戸がなければカーテンを閉め、窓から離れた場所にいるということが大切です。
大規模な停電が発生するおそれもありますので、事前に懐中電灯や携帯ラジオ、そして電池の準備をしておきましょう。

宮崎県に1000ミリ超の大雨を降らせた2005年台風14号

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2005年の台風14号は九州の南の海上を北上した後、鹿児島県から熊本県の東シナ海沿岸を北上し、長崎県諫早市付近に上陸。佐賀県、福岡県から日本海へと北東へ進みました。
この台風の特徴は、九州の南の海上をゆっくりと北上したことです。これにより、宮崎県では総雨量が1000~1300ミリ前後、大分県や鹿児島県でも多い所で900ミリを超える大雨が降るなど、記録的な雨量となりました。
この記録的な大雨のため、土砂災害や浸水、河川の氾濫が相次いで発生し、大きな被害をもたらしました。

今回の台風14号は、この2005年台風14号と似た進路をたどり、しかも動きが遅いことが予想されています。九州の太平洋側は、湿った東寄りの風が吹き込む形になるため、長時間にわたる大雨が降り、土砂災害や洪水などの危険度がきわめて高くなることが予想されます。
また、それ以外の地域でも、台風の中心が近づくと、1時間に80ミリ、100ミリというような猛烈な雨が降り、浸水などが発生するおそれがあります。
台風が近づくと暴風によって避難することは困難になります。ハザードマップで自宅の災害の危険を確認し、台風の接近前に安全な場所に避難することが大切です。

大規模な高潮を起こした1999年台風18号

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1999年の台風18号は、東シナ海を北上した後、熊本県北部に上陸しました。台風が通過した熊本県天草の牛深では、最大瞬間風速66.2メートルという猛烈な風が観測され、これは現在も牛深における観測史上第1位の記録となっています。

台風の進路のすぐ東側にあたる八代海では大規模な高潮が起こり、八代海の北側の奥にあたる不知火(しらぬひ)町松合(まつあい)地区(現在は宇城市)で大きな被害が発生しました。
八代海は細長い形をしており、台風18号の猛烈な風によって八代海の奥へと吹き寄せられた海水が最も奥の不知火町で行き場を失う形となり、陸地に押し寄せたものとみられます。
一般に高潮は、満潮の時間帯と台風接近が重なって起こることが多いですが、この高潮災害は満潮時刻の2時間ほど前に発生しました。

台風が九州のすぐ西を北上するような場合、九州では南寄りの猛烈な風が吹きます。八代海や有明海、鹿児島県の錦江湾は、いずれも南に開いた海であり、南から海水が吹き寄せられることによって高潮が起こりやすくなるため、特に警戒が必要です。
また、台風の勢力が非常に強ければ、大きな気圧低下と猛烈な風によって、満潮の時間帯以外でも高潮が発生するおそれがあります。
台風が接近すると暴風で外に出ることが難しくなります。高潮により浸水のおそれがある地域では、台風接近前に避難することが大切です。