気象庁は9日、エルニーニョ監視速報を発表しました。8 月の太平洋赤道域の海洋と大気の状態はラニーニャ現象時の特徴を示しており、今後、冬にかけてラニーニャ現象が続く可能性が高い(70%)と予想されています。
「ラニーニャ現象」冬にかけて続く可能性
気象庁は9日、エルニーニョ監視速報を発表しました。
それによりますと、8 月のエルニーニョ監視海域の海面水温の基準値からの差は −0.5℃ で、7 月より下がり、基準値より低い値に戻りました。大気と海洋の状態はラニーニャ現象時の特徴を示しており、昨年秋からラニーニャ現象が続いているとみられます。
今後も、エルニーニョ監視海域の海面水温が、冬にかけて基準値より低い値で推移すると予測され、冬にかけてラニーニャ現象が続く可能性が高い(70%)としています。
「ラニーニャ現象」とは
「ラニーニャ現象」とは、太平洋赤道域の日付変更線付近から南米沿岸にかけて、海面水温が平年より低くなり、その状態が1年程度続く現象のことです。
太平洋赤道域では、貿易風と呼ばれる東風が吹いているため、通常、暖かい海水は西側のインドネシア付近に吹き寄せられる一方、東側の南米沖では、海の深い所から冷たい海水がわき上がっています。ただ、何らかの原因で東風が強まると、西側の暖かい海水が厚く蓄積するとともに、東側にわき上がる冷たい海水の勢いが強まり、南米沖の海面水温が通常より低くなります。
日本への影響は? 台風や暑さはどうなる?
「ラニーニャ現象」は海で起こる現象ですが、発生すると大気にも影響を及ぼし、世界各地で気圧配置などがいつもとは違った状態になります。雨や雪の降りやすい場所や、風の吹き方、気温などが変わってくるといわれています。
「ラニーニャ現象」発生時の日本の8月～10月は、西日本や沖縄、奄美で平均気温が平年並みか高くなる傾向にあります。きのう8日に発表された1か月予報でも、9月10日～10月7日にかけてほぼ全国的に気温が平年を上回る可能性が高くなっています。しばらくは熱中症に注意が必要です。
また、ラニーニャ現象発生時は、台風の発生位置が通常よりも夏は北に、秋は西にずれる傾向があります。実際に今年は日本に近い位置で発生する台風が多くなっています。今後も台風の発生場所が通常よりも日本に近い位置になる可能性があります。
ラリー遠田
東浩紀
鴻上尚史
