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沖縄の先島諸島に接近中の大型で強い勢力の台風11号は、来週にはスピードをあげて日本海を北上する見込みです。東北でりんごの被害が相次ぐなど、各地に大きな被害をもたらした1991年台風19号(りんご台風)と進路が類似しています。

台風11号 スピードを上げて日本海へ

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大型で強い台風11号は、午後4時現在、石垣島や宮古島などを暴風域に巻き込みながら、時速およそ15キロで北へ進んでいるとみられます。

今夜にも「非常に強い」勢力に発達して、あす4日以降も勢力があまり衰えないまま北上を続ける見込みです。6日(火)頃には九州に接近する恐れがあり、その後はスピードを一気に上げて日本海を北上する予想です。

九州に接近する頃でも勢力は「強い」予想で、その後、スピードが速まるため北日本でも暴風となる恐れがあります。

1991年台風19号(りんご台風)に類似

今回の台風11号の進路は、過去に大きな被害をもたらした1991年の台風19号に類似しています。この台風は青森県を中心にりんごの被害が相次いだことから「りんご台風」とも呼ばれています。

1991年の台風19号は9月16日にマーシャル諸島の西海上で発生し、27日16時過ぎ非常に強い勢力で長崎県佐世保市の南に上陸。 その後、加速しながら日本海を北東に進み、強い勢力で北海道渡島半島に再上陸しました。

台風が勢力をほぼ維持したまま速い速度で北上したため、沖縄から北海道まで猛烈な風を観測しました。最大瞬間風速は、那覇市50.1m/s、長崎市54.3m/s、広島市58.9m/s、石川県輪島市57.3m/s、青森市53.9m/s。

この影響で、青森県などで収穫前のりんごが落果したり、西日本を中心に塩風による果樹の被害が出たり、全国各地で倒木が相次ぐなどしました。 また、瀬戸内海などで顕著な高潮が発生したり、暴風により広範囲にわたる停電などの被害があったりしました。

(出典:気象庁「災害をもたらした気象事例」より)

九州~北海道は台風の危険半円に

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台風11号は、来週の前半に日本海を北上する予想のため、九州~北海道にかけては台風の進行方向に対して右半円の「危険半円」と呼ばれる、エリアに入る可能性が高いです。

台風は反時計回りに風が吹き込んでいるため、進行方向に対して右半円は、台風自身の風と台風を移動させる流れの向きが一致するため、特に風が強くなる特徴があります。

また、日本海を進むころには次第に温帯低気圧の構造に変わってきますが、台風よりも温帯低気圧の方が強風範囲が広いため、広範囲で風が強まる特徴があります。中心が離れて通る予想であっても、油断せずにしっかり備えてください。

暴風への備えは早めに

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台風の北上に伴って、来週の前半は西日本では非常に強い風の吹く恐れもあります。

非常に強い風とは、平均風速が20m/s以上30m/s未満の風を表しています。時速だと、およそ70km~110kmで、高速道路の自動車並みの速さです。これは、何かにつかまっていないと立っていられないような風で、車は通常の速さで運転するのが困難になります。このような風が吹くと、屋根瓦や看板が落下したり、飛散したりする恐れもあります。(なお、瞬間風速は平均風速の1.5倍程度になることが多く、時には3倍以上になることもあります。)

飛来物によって負傷する可能性がありますので、屋外での活動は警戒が必要です。非常に強い風が予想される場合には、植木鉢などは飛ばされやすい物は屋内にしまいましょう。