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道内の今年の最高気温は、7月3日に十勝地方の浦幌で観測された34.2度で、2016年以来6年ぶりに猛暑日のない年となりそうです。原因は何だったのか、また、このまま夏が終わり、順調に秋へと変わっていくのかなど、詳しく解説します。

夏の気温を振り返る

2021年は記録的な暑さで、札幌でも観測史上初めて猛暑日が3回観測されたりなど、厳しい暑さだった記憶が強く残っている方が多いかもしれません。

しかし、今年の道内の最高気温は、7月3日に十勝地方の浦幌で観測された34.2度で、このままいくと2016年以来6年ぶりに猛暑日のない年となりそうです。また、熱帯夜もこれまで観測されておらず、2017年以来5年ぶりに熱帯夜のない年となるかもしれません。
また8月は全般に気温が落ち着き、札幌の8月の真夏日日数は1回のみでした。夏全体を合わせても札幌の真夏日はこれまでに9回しかなく、今後も真夏日が観測されなければ、一年に真夏日が10回未満となるのは2018年以来のことです。

一方、7月は太平洋側を中心に高温となった日もありました。特に釧路では7月31日に33.5度の最高気温を観測し、1910年の統計開始以来、最も高い気温を記録しました。

極端な暑さにならなかった原因、本州との違いは?

今年の夏は、夏の天候を大きく左右する太平洋高気圧が平年よりもかなり強まり、日本付近に張り出しました。また、さらに上空のチベット高気圧も強まったため、日本付近の上空は背の高い高気圧が形成され、晴れる日が続いて日差しが強まり、山越えのフェーン現象も加わりました。その影響で、本州方面など北海道以外の地域では記録的な高温となり、40度を超える厳しい暑さになった所もありました。

一方で、これらの高気圧は、日本付近には張り出したものの、北海道をすっぽりと覆うほどではありませんでした。(ちなみに、去年2021年は、この2つの高気圧が北海道まで張り出したこともあり、道内では記録的な高温になりました。)
さらに、冷涼な空気を持つオホーツク海高気圧が居座り、北海道付近には特に道東方面を中心に湿った冷たい空気が流れ込む日が多くなったため、北海道では極端に気温が上がることがほとんどなかったと考えます。また、7月から8月にかけては前線が北海道から東北付近に停滞する日が多く、曇りや雨の日も多くなったことも気温が上がりきらなかった原因の一つといえそうです。

なお、太平洋側などで7月に高温となったのは、太平洋高気圧を回って上空に暖かい空気が太平洋側を中心に流れ込んだこと、さらに釧路で記録的な高温となった日は、夏としては珍しい北から西よりの風が吹き、主にフェーン現象が原因だったと考えられます。

夏は終わりで、秋は長めになりそう しかし台風の動きには注意

今後1週間の気温は平年並みかやや低く、内陸の地域でも夏日とならない日が出てきそうです。しかし、現在日本の南にある台風11号が日本海を通るコースをとれば、来週の前半には北海道でもフェーン現象が起き、一時的な高温となる可能性があります。台風の動きには注意してください。

さらにその先は、長期予報では10月前半にかけて気温が平年並みか高い予想ですが、この時期に平年より高くなったとしても、夏の暑さが戻ってくるほどの高温にはならない見込みです。

10月の前半までは気温が平年並みか高く、秋はゆっくりと深まっていきそうです。北海道の秋は短い、ともよく言われますが、今年の秋はいつもより少し長めに楽しめるかもしれません。しかし、10月後半から11月にかけては気温が平年並みとなり、一気に冬の寒さとなる日も出てきそうです。気温変化の大きい北海道ですが、寒暖差で体調を崩さないよう十分注意してください。