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気象庁によると、2022年の冬(2021年12月から2022年2月)、日本列島に強い寒気が流れ込みやすくなった要因として、ラニーニャ現象の影響が関わったと考えられるとのことです。

2022年の冬(2021年12月~2022年2月) 天候の特徴

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2022年の冬(2021年12月~2022年2月)は、日本海側を中心に記録的な大雪となったところがあり、東日本と西日本では全般的に低温になりました。このような天候をもたらした大規模な大気の流れの特徴とその要因について、気象庁が14日に見解を発表しました。

天候の特徴は、2022年の冬(2021年12月~2022年2月)は12月下旬以降、日本付近に強い寒気が流れ込むことが多かったため、北日本から西日本の日本海側を中心にしばしば大雪になりました。冬の降雪量は日本海側を中心に平年値を上回る地点が多く見られ、特に西日本では平年値の2倍を超えたところがありました。豪雪地帯における累積降雪量は、12月の前半は平年と比べて極端に少なくなりましたが、12月下旬に大きく増加したのちは平年と同程度に増加しました。冬の最深積雪は日本海側を中心に平年値を上回る地点が多く見られ、特に新潟県津南では2月24日に419cmの積雪を記録するなど、全国331地点中12地点で年最深積雪の記録を更新しました。また、豪雪地帯において記録的な最深積雪(観測史上1~3位)を観測した地点の割合は、1985年以降で5番目に大きくなりました。

気温は12月下旬以降、全国的に変動がかなり小さく、東日本と西日本を中心に平年を下回る傾向が持続しました。東日本と西日本では、冬の平均気温の平年差がいずれもマイナス0.5℃となり、寒冬になりました。

なお、西日本では2月を中心に冬を通して降水量が少なく、日照時間は多くなりました。

【北日本】北海道・東北地方

【東日本】関東甲信・北陸・東海地方

【西日本】近畿・中国・四国・九州北部地方・九州南部

【沖縄・奄美】鹿児島県奄美地方・沖縄地方

2022年の冬 日本海側を中心に大雪・東日本と西日本は低温 その要因は

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2022年の冬(2021年12月~2022年2月)は、大気上層を流れる高緯度帯の偏西風(寒帯前線ジェット気流)と中緯度帯の偏西風(亜熱帯ジェット気流)がともに日本付近で南に蛇行し、下層では冬型の気圧配置が強まりました。このため、日本列島に強い寒気が流れ込みやすくなりました。

寒気の吹き出しに伴って、日本海側では降雪量が多くなりました。このうち12月下旬は、日本海の水温が平年より高かったことが降雪量を増やした可能性があります。寒帯前線ジェット気流の日本付近での南下は、東シベリア上空におけるブロッキング高気圧の形成を伴い、これとともに北極域上空に存在していた極渦(上空の大規模な寒冷渦)が分裂して、その一部が日本のすぐ北まで南下しました。

亜熱帯ジェット気流が日本のすぐ東方で南偏したことには、ラニーニャ現象の発生に伴ってフィリピンからインドネシア東部付近で積雲対流活動が平年よりも活発となった影響により、日本の西方で亜熱帯ジェット気流が北に蛇行したことが関わったと考えられます。

さらに、北大西洋からヨーロッパ上空でジェット気流が大きく蛇行し、この影響が東方に及んで、ユーラシア大陸から日本付近の寒帯前線ジェット気流と亜熱帯ジェット気流の蛇行を持続させたとみられます。

東シベリア上空でブロッキング高気圧が形成されやすかったことには、アラスカ湾付近で上層の偏西風が北へ大きく蛇行したことも影響したと考えられます。この蛇行には、ラニーニャ現象に伴って太平洋熱帯域の西部で積雲対流活動が活発、中部から東部で不活発だったことが影響したとみられます。