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2月はラニーニャ現象の特徴が顕著に現れました。ラニーニャ現象は今後、終息に向かいますが、その変化は、ゆっくりである可能性があります。梅雨どきは、ラニーニャ現象のなごりで、前線の活動が活発になる時期があり、大雨になることも考えられます。

2月 ラニーニャ現象発生時の特徴 顕著に

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気象庁は昨年2021年11月10日、ラニーニャ現象が発生しているとみられると発表しました。

ラニーニャ現象は、太平洋の熱帯域で、東部で冷たい水の湧き上がりが平常時より強く、海面水温が平常時より低くなります。一方、西部には暖かい海水がより厚く蓄積します。この影響で、ラニーニャ現象発生時は、インドネシア付近で、対流活動が活発になり、上空を流れる偏西風がインドやチベット付近で北へ蛇行し、日本付近で南へ蛇行するという特徴があります。このため、日本付近に西から寒気が流れ込みやすくなります。この冬、この特徴は2月に顕著に現れました。

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最近30日間の期間を通してみると、2月上旬から次第にインドネシア付近で対流活動が活発になりました。この影響で、上空の偏西風は、インド付近で北へ蛇行、その東側では南へ蛇行し、日本付近に寒気が流れ込み、寒気の流れ込みが続いた時期もありました。

沖縄、九州から東北の1月29日から2月27日までの30日間の気温の平均は、平年より低くなりました。

一方、北海道では、低気圧が通過したこともあり、この時期としては寒気の影響を受けにくくなりました。北海道の1月29日から2月27日までの30日間の気温の平均は、ほぼ平年並みか高い所が多くなりました。

2月の雪 東京都心も積雪 北海道の新千歳空港で積雪1メートル超

2月は、季節は春に向かっているとみられ、低気圧が日本付近を度々通過するようになりました。

10日から11日は、東海道沖を低気圧が東進し、東海や関東、北陸付近では広く雨や雪が降りました。東京都心では、雨は次第にみぞれや雪になり、10日と11日の日最深積雪は、2センチになりました。東京都心で2月に最深積雪が2センチ以上になったのは2014年以来、8年ぶりです。山梨県甲府市の10日の日最深積雪は8センチ、11日は7センチになりました。

16日から17日にかけては、日本海に低気圧があり、日本の東を別の低気圧が北東へ進みました。17日頃から日本付近に強い寒気が流れ込み、21日頃には、上空1500メートル付近でマイナス9℃以下の寒気が関東付近まで流れ込むなど、今季最も強い寒気になりました。寒気の流れ込みは24日頃にかけて続きました。このため、日本海から雪雲が、北海道や本州に次々に流れ込みました。北海道の新千歳空港では、22日の積雪差の日合計は47センチで、観測開始の2006年以降、1位の値を更新し、日最深積雪は1メートル19センチになりました。

ラニーニャ現象 終息に向かう その変化はゆっくりである可能性あり

2月10日の気象庁の発表では、ラニーニャ現象は、春の間に終息し、平常の状態になる可能性が高い(70%)とのことです。

2月28日時点の資料では、日本の気象庁も含め、アメリカ海洋大気庁、ヨーロッパ中期予報センター、イギリス気象庁、オーストラリア気象局など、各国一致して、今後、ラニーニャ現象は終息に向かうと予想しています。ただ、その変化は、ゆっくりであることを示している資料もあります。

3月~5月 暖かな春 沖縄付近には冷たい空気が流れ込みやすい

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3月から5月も、インドシナ半島からインドンネシア付近、フィリピン付近で対流活動が活発でしょう。偏西風はインドやチベット付近で北へ蛇行、東シナ海付近で南へ蛇行する見込みです。このラニーニャ現象発生時の特徴は、まだ続くとみられます。ただ、シベリアからアリューシャン近海にかけて、高気圧の勢力が強く、日本に寒気は北からは流れ込みにくい見込みです。大陸から比較的冷たい空気が流れ込みやすいのは、沖縄や奄美付近でしょう。

3月から5月の平均気温は、北海道や東北は平年より高く、関東甲信や北陸、東海は平年並みか高い見込みです。近畿から九州はほぼ平年並みでしょう。沖縄・奄美は平年並みか低い見込みです。

梅雨どきもラニーニャ現象のなごり 影響は?

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6月になると、太平洋高気圧の勢力が強まり、梅雨前線は九州付近まで押し上げられるでしょう。ラニーニャ現象のなごりで、インドシナ半島からインドネシア付近、フィリピン付近で対流活動が活発である可能性があります。梅雨前線が日本付近に現れる時期に、インドネシア付近で対流活動が活発になると、雨雲のもとである暖かく湿った空気が、前線に向かって流れ込みやすくなります。ラニーニャ現象のなごりの影響はもう一つ、チベット付近で偏西風は北へ蛇行するでしょう。偏西風は、日本付近でも北よりを流れる見込みで、黄海付近では相対的に南へ蛇行し、この付近に寒気が流れ込みやすくなる可能性があります。前線に向かって南から雨雲のもとである暖かく湿った空気が流れ込むことに加えて、前線の北側で上空に寒気が流れ込むと、前線の活動が活発になり、大雨のリスクは高まります。梅雨どきの6月の降水量は、九州から近畿を中心に、平年より多いと予想している資料もあります。今年の梅雨も、前線の活動が活発になる時期があり、大雨に警戒が必要です。