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気象庁は10日、「エルニーニョ監視速報」を発表しました。11月はラニーニャ現象が発生しているとみられ、今後、冬の終わりまで続く可能性が高くなっています。春にはラニーニャ現象が終息し平常の状態になる可能性が高くなっています。

11月の実況 ラニーニャ現象が続いているとみられる

11月のエルニーニョ監視海域の海面水温の基準値からの差は−0.9℃で、基準値より低い値でした。これにより9月の5 か月移動平均は−0.5℃になりました。太平洋赤道域の海面水温は西部で平年より高く、中部から東部では平年より低くなりました。海洋表層の水温は西部で平年より高く、中部から東部で平年より低くなりました。太平洋赤道域の日付変更線付近の対流活動は平年より不活発で、中部の大気下層の東風(貿易風)は平年より強くなりました。このような大気と海洋の状態はラニーニャ現象時の特徴を示しており、ラニーニャ現象が続いているとみられます。

今後の見通し

9月の実況で太平洋赤道域の中部に見られた海洋表層の冷水は、10月から11月にかけて東進して東部に達し、海面水温が平年より低い状態を維持することに寄与しました。一方、太平洋赤道域の西部には暖水が蓄積されつつあります。エルニーニョ予測モデルは、冬の間は太平洋赤道域の西部で海面水温が高く対流活動が活発となりやすいことから、太平洋赤道域の中部を中心に東風偏差が強い状態が持続し、エルニーニョ監視海域の海面水温は基準値より低い状態で推移する可能性が高いと予測しています。その後、西部の暖水が東進して中部から東部の海面水温を上昇させ、春にはエルニーニョ監視海域の海面水温が基準値に近づくと予測しています。以上のことから、今後、冬の終わりまでラニーニャ現象が続かない可能性もある(40 %)ものの、続く可能性の方がより高く(60 %)なっています。春にはラニーニャ現象が終息し平常の状態になる可能性が高く(80 %)なっています。

日本の天候への影響

過去の統計によりますと、ラニーニャ現象発生時、日本での冬(12月~2月)の天候は、日照時間は北日本太平洋側で並か多い傾向で、平均気温や降水量には特徴がみられません。

ただ、過去、ラニーニャ現象が発生した冬を振り返ると、厳しい寒さや大雪をもたらしたこともあります。例えば、2020年夏から2021年春にかけてもラニーニャ現象が発生。2020年~2021年の冬は、一時的に強い寒気が流れこんだ影響で、富山市では35年ぶりに積雪が1メートルに達するなど、記録的な大雪となりました。この冬も西日本を中心に寒気が流れ込む予想がでているため、注意が必要です。