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気象庁は10日、「エルニーニョ監視速報」を発表しました。エルニーニョ現象もラニーニャ現象も発生していない平常の状態であるとみられ、今後、冬にかけて平常の状態が続く可能性が高くなっています。

8月の実況

8月のエルニーニョ監視海域の海面水温は基準値に近く、差は−0.3℃でした。太平洋赤道域の海面水温は西部で平年より高く、中部から東部で平年より低くなりました。海洋表層の水温は西部から中部で平年より高く、東部で平年より低くなりました。太平洋赤道域の日付変更線付近の対流活動は平年より不活発ですが、中部の大気下層の東風(貿易風)は平年程度に弱まりました。このような海洋の状態は、ラニーニャ現象に類似した海面水温分布が見られるものの、大気の状態にはラニーニャ現象時の特徴が明瞭には見られず、全体としてはエルニーニョ現象もラニーニャ現象も発生していない平常の状態となっていることを示しています。

今後の見通し

太平洋赤道域の東部にみられる海洋表層の冷水が秋を中心に持続し、今後、東部の海面水温が秋から冬にかけて一時的に低下すると考えられます。エルニーニョ予測モデルは、太平洋赤道域の西部で海面水温が高く、対流活動が活発となりやすいことから、太平洋赤道域の中部を中心に東風偏差が秋に強まり、ラニーニャ現象に類似した状態が持続するが、ラニーニャ現象の基準(5か月移動平均が−0.5℃を6か月連続で下回る)まで達する可能性は低いと予測しています。以上のことから、今後、冬にかけてエルニーニョ現象もラニーニャ現象も発生していない平常の状態が続く可能性が高くなっています(70 %)。

西太平洋熱帯域 及び インド洋熱帯域の状況

• 西太平洋熱帯域:8月の西太平洋熱帯域の海面水温は、基準値より高い値でした。今後、秋は基準値より高い値か基準値に近い値で、冬は基準値に近い値で推移すると予測されます。

• インド洋熱帯域:8月のインド洋熱帯域の海面水温は、基準値より低い値でした。今後、冬にかけて基準値に近い値か基準値より低い値で推移すると予測されます。

日本の天候 冬にかけて どうなる?

過去の統計によりますと、エルニーニョ現象発生時、日本での天候の特徴は、秋(9月~11月)の平均気温は、西日本・沖縄・奄美で平年より低い傾向、北・東日本で平年並みか低い傾向です。秋(9月~11月)の降水量や日照時間は、特徴がみられません。冬(12月~2月)の平均気温は、東日本で平年より高い傾向です。冬(12月~2月)の降水量には特徴がみられませんが、冬(12月~2月)の日照時間は、東日本太平洋側で平年並みか少ない傾向です。

一方、ラニーニャ現象発生時、日本での天候は、秋(9月~11月)は特徴がみられません。冬(12月~2月)は、平均気温や降水量には特徴がみられませんが、日照時間は北日本太平洋側で多い傾向です。

なお、今年の冬にかけては、エルニーニョ現象もラニーニャ現象も発生していない、平常の状態が続く可能性が高いので、エルニーニョ現象やラニーニャ現象による天候の偏りは、あまり見られない見込みです。