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気象庁は12日、「エルニーニョ監視速報」を発表しました。昨年夏から続いているラニーニャ現象は終息に近づいており、夏は平常の状態である可能性が高くなっています。

4月の実況

4月のエルニーニョ監視海域の海面水温は基準値より低い値で基準値との差は−0.8℃、ラニーニャ現象発生の判断に使用している5か月移動平均値の2月の値は−0.7℃ となり、8か月連続し −0.5℃ 以下となりました(ラニーニャ現象の基準は6か月以上)。太平洋赤道域の海面水温は東部で平年より低く、西部で平年より高くなりました。海洋表層の水温は西部から中部にかけて平年より高くなりました。一方、東部の冷水は3月より弱まりました。中部の大気下層の東風(貿易風)は平年より強かったですが、太平洋赤道域の日付変更線付近の対流活動は平年並でした。このような海洋と大気の状態はラニーニャ現象時の特徴が弱まっていることを示しており、昨年夏から続いているラニーニャ現象は終息に近づいていると考えられます。

今後の見通し

太平洋赤道域の西部から中部には海洋表層を東進する暖水が見られ、今後も暖水が東進して、東部の海面水温が平年より低い状態は解消に向かうと考えられます。エルニーニョ予測モデルは、エルニーニョ監視海域の海面水温は春の間に基準値に近づき、夏から秋にかけて基準値に近い値で推移すると予測しています。以上のことから、ラニーニャ現象は春の間に終息する可能性が高く、夏から秋にかけては平常の状態である可能性が高い予想です。

西太平洋熱帯域及びインド洋熱帯域の状況

• 西太平洋熱帯域:4月の西太平洋熱帯域の海面水温は、基準値より高い値でした。今後春の間に次第に基準値に近づき、夏から秋にかけては概ね基準値に近い値で推移すると予測されます。

• インド洋熱帯域:4月のインド洋熱帯域の海面水温は、基準値より低い値でした。今後秋にかけて基準値より低い値か基準値に近い値で推移すると予測されます。

ラニーニャ現象とは

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ラニーニャ現象が発生している時は、太平洋赤道域で吹く東風が、平常時よりも強くなります。その結果、太平洋赤道域の西部では、強い東風によって吹き寄せられる「暖かい海水の層」がより厚くなり、インドネシア近海の海上では、積乱雲がより盛んに発生します。

一方、太平洋赤道域の東部では、冷たい水の湧き上がりが、平常時より強くなります。このため、太平洋赤道域の中部から東部では、平常時よりも海面水温が低くなるのです。このラニーニャ現象が発生すると、世界中の天候に影響を及ぼします。