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夏からラニーニャ現象が発生しているとみられます。10月の台風の発生位置に、ラニーニャ現象時の傾向がみられました。10月の天候の振り返りと、1月にかけての見通しです。

夏からラニーニャ現象続く

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ラニーニャ現象とは、太平洋赤道域の日付変更線付近から南米沿岸にかけて海面水温が平年より低い状態が続く現象です。ラニーニャ現象が発生している時は、東風が通常時よりも強くなり、西部に暖かい海水がより蓄積します。ラニーニャ現象は、日本の天候に様々な影響を及ぼします。

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気象庁が10月9日に発表したエルニーニョ監視速報によると、夏からラニーニャ現象が発生しているとみられます。

台風14号 動きが遅く 伊豆諸島に接近した後は進路を南へ!?

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5日9時、日本の南で台風14号が発生しました。秋の台風は、日本に接近すると、上空を西から東へ吹く偏西風に流されて、速度を上げて北東へ進むことが多くあります。ところが、台風14号が本州付近まで北上した8日頃は、大陸から高気圧が張り出していました。台風は高気圧に北上を阻まれ、さらに、本州付近のやや北を流れる偏西風にのることはありませんでした。このため、本州の南を速度を上げることなく東へ進みました。

台風の北には前線が停滞し、台風周辺の暖かく湿った空気が前線に流れ込んだ影響で、前線の活動が活発になりました。九州から関東を中心に雨が降り、48時間降水量は、大阪市で10日9時20分までに116.0ミリ、名古屋市で10日13時50分までに162.0ミリの雨を観測し、いずれも平年の10月ひと月分の雨量を、たった48時間で超えました。

台風14号は、10日午後から11日朝にかけて、伊豆諸島に接近しました。三宅島空港では、10日16時59分までの1時間に86.0ミリの雨を観測。また、11日1時30分までの72時間降水量は、586.5ミリを観測し、平年の10月ひと月分の雨量を超えました。

台風は、通常、地球の自転の影響で北上します。ところが、台風14号は、伊豆諸島に接近した後、進路を南よりに変えました。この原因として、南鳥島近海の上空6000メートル付近に反時計回りに吹き込む風の流れがあり、この影響を受けたと考えられます。

10月の台風 発生位置がラニーニャ現象時の傾向に

一番上の図は、10月の台風の発生位置です。10月中旬ごろを中心に、南シナ海からフィリピンの東にかけて、対流活動が活発になりました。台風15号、16号、17号、18号、19号は、いずれも南シナ海やフィリピンの東で発生しました。ラニーニャ現象時は、秋(9月~11月)の台風の発生位置が、統計的に平常時に比べて西にずれる傾向があります。10月の台風の発生位置には、その傾向がみられました。

対流活動が活発な海域は、次第に東へ移ってきており、カロリン諸島付近で、29日21時に台風20号が発生しました。台風20号は、31日15時、フィリピンの東を西よりに進んでいます。

10月の気温 北海道や東北北部で高かった

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10月は、北海道や東北北部では、寒気の影響は少なく、1日から30日までの気温の平均は、多くの所で、平年より1℃から2℃くらい高くなりました。一方、東北南部や関東を中心に、曇りや雨の日が多かったなどの影響で、1日から30日までの気温の平均は、平年より1℃から2℃くらい低くなった所がありました。

ラニーニャ現象時の秋(9月~11月)の統計的な傾向は、沖縄・奄美、九州から近畿で、気温が平年より高くなります。ただ、10月の1か月だけでみると、その傾向は顕著にはみられませんでした。

ラニーニャ現象 冬にかけて続く可能性高い 今後の気温の傾向は?

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10月9日発表のエルニーニョ監視速報によると、今後冬にかけてラニーニャ現象が続く可能性が高いと予測しています。

気象庁が23日に発表した、11月から1月にかけての3か月予報によると、今後冬にかけて、ラニーニャ現象が続く影響で、偏西風は大陸で平年より北を流れやすく、日本付近では南に蛇行する見込みです。このため、シベリア高気圧は南東側にやや張り出しやすく、関東付近から九州、沖縄・奄美にかけて、寒気が流れ込みやすい時期があるでしょう。ラニーニャ現象時の冬(12月~2月)の統計的な傾向は、沖縄・奄美、九州から関東で、気温が平年より低くなります。

月別の平均気温は、11月は、全国的に暖かい空気に覆われやすく、平年並みか高い見込みです。12月は、沖縄・奄美、九州から関東では寒気の影響を受けることがあり、平年並みか低いでしょう。冬らしい寒さになりそうです。1月は、沖縄・奄美、九州から関東では、ほぼ平年並みの見込みです。一方、東北や北海道では、寒気の影響を受けにくく、平年並みか高いでしょう。