11日(水)、気象庁はエルニーニョ監視速報を発表。エルニーニョ監視海域の海面水温が基準値より低くなるなど、ラニーニャ現象時の特徴が明瞭になりつつあります。秋または冬にラニーニャ現象が発生する可能性は、平常の状態が続く可能性と同程度の見込みです。

9月の実況:ラニーニャ現象時の特徴が明瞭か

9月のエルニーニョ監視海域の海面水温は基準値より低い値で基準値との差は-0.8℃でした。太平洋赤道域の海面水温は西部で平年より高く、中部から東部にかけて平年より低くなりました。海洋表層の水温は、中部から東部にかけて平年より低くなりました。太平洋赤道域の日付変更線付近の対流活動は平年より不活発で、中部の大気下層の東風(貿易風)は平年より強くなりました。このような海洋と大気の状態は、ラニーニャ現象時の特徴が明瞭になりつつあることを示しています。

今後の見通し

太平洋赤道域の中部から東部にかけて見られる海洋表層の冷水は今後東進して、東部の海面水温が平年より低い傾向を維持すると考えられます。エルニーニョ予測モデルは、エルニーニョ監視海域の海面水温が今後4〜5か月は基準値より低い値で推移し、冬から春にかけて次第に基準値に近づくと予測しています。以上のことから、秋または冬にラニーニャ現象が発生する可能性は、平常の状態が続く可能性と同程度であるとみられます(50%)。ラニーニャ現象が発生した年は、日本では冬の気温が低くなることがあります。

※ラニーニャ現象とは、太平洋赤道域の中部(日付変更線付近)から南米のペルー沖にかけての広い海域で、海面水温が平年に比べて低くなり、その状態が1年程度続く現象です。