強い台風5号は4日(金)午後5時現在、奄美大島の東およそ180キロ付近にあり、ほとんど停滞しています。このあと5日(土)朝にかけて、強い勢力を保ったままゆっくりと奄美地方や九州南部に接近する見込み。過去に似た進路をたどった台風と同じコースになると、大雨などで被害が大きくなる恐れも。

強い台風5号は4日(金)午後5時には、奄美大島の東およそ180キロ付近にあり、ほとんど停滞しています。このあと5日(土)朝にかけて、強い勢力を保ったまま九州南部や奄美地方に接近する見込みです。
今回の台風5号の一番大きな特徴は「動きが遅い」ということ。現在は奄美大島の東180キロ付近でほとんど停滞しています。6日(日)には、次第に北よりに進路を変えて、ゆっくりと進む見込みです。6日(日)の夜には九州にかなり接近するでしょう。台風の動きが遅いということは、同じ場所で大雨や暴風や猛烈にしける状態が長時間続くということです。

過去に似た台風も

今回の台風5号と似たコースをたどった台風が過去にもありました。今から41年前の1976年(昭和51年)の台風17号です。この台風は、南西諸島を通過後、九州の南西海上でほとんど停滞、その後、北上し、長崎市付近に上陸しました。さらに日本海へ進み、速度を上げて北上しました。香川県小豆島の内海町では期間降水量が1328ミリに達し、平年の年間降水量を超える大雨に。九州から中部地方にかけては、期間降水量が500~1000ミリに達し、四国では2000ミリに達した所もありました。また、奄美地方の鹿児島県名瀬市では、一日の最大降水量が539ミリ、3日間の総雨量が900ミリを超えました。死者161名などの人的被害や住家被害、床上、床下浸水など大きな被害をもたらしました。台風が長期間に渡って日本付近にあり、さらに前線が関東から四国付近に停滞していたため、全国的に大雨となり、土砂災害や洪水が多く発生しました。
*期間降水量とは、台風や前線の影響による降り始めからの総雨量のことです。

1976年の台風17号の経路図(イメージ)
1976年の台風17号の経路図(イメージ)

今後予想される雨量は

今回は前線は存在していないため、全国的に大雨とはならない見込みですが、今回の台風5号が1976年の台風17号と同じようなコースをたどると、奄美や九州、中国、四国、東海地方に大雨や大きな被害をもたらす恐れがあります。
5日18時までの24時間に予想される雨量は多い所で、九州南部・奄美地方で400ミリ、四国・東海地方で150ミリ、九州北部地方で120ミリ。6日18時までの24時間に予想される雨量は多い所で、九州南部・奄美地方で300~500ミリ、九州北部地方で100~200ミリ、四国、東海地方で100~150ミリ となっています。
九州南部と奄美地方では、低い土地の浸水や土砂災害、河川の増水や氾濫に警戒してください。特に7月の九州北部豪雨で被災した地域では、6日から7日は大荒れの天気となる恐れがあります。さらなる被害の拡大や新たな災害の危険性が高まりますので、特に警戒が必要です。今後も最新の気象情報を確認し、各市町村から発表される避難に関する情報などに注意して行動してください。