宇宙からみた 2016年北海道の大雪 〈tenki.jp〉|AERA dot. (アエラドット)

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宇宙からみた 2016年北海道の大雪

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北海道に大雪を降らせた雪雲とGPM/DPRの観測による降水のようす(2016年12月22日 日本時間14時30分)

北海道に大雪を降らせた雪雲とGPM/DPRの観測による降水のようす(2016年12月22日 日本時間14時30分)

2016年12月22日3時から23日21時までの天気図と気象レーダによる雪雲のようす(6時間毎)

2016年12月22日3時から23日21時までの天気図と気象レーダによる雪雲のようす(6時間毎)

2016年12月22日~23日 石狩・空知・後志地方の総降雪量(左)と最積雪深(右)

2016年12月22日~23日 石狩・空知・後志地方の総降雪量(左)と最積雪深(右)

当時の天気図(左上)とGPM/DPRによる降水分布(下)、22日0時~24日0時の札幌の降雪と積雪の時系列(右上)

当時の天気図(左上)とGPM/DPRによる降水分布(下)、22日0時~24日0時の札幌の降雪と積雪の時系列(右上)

2016年9月9日18時事例:のDPRを利用しない場合の予測結果(左)、利用した場合の予測結果(中)、実際の降水量(右)

2016年9月9日18時事例:のDPRを利用しない場合の予測結果(左)、利用した場合の予測結果(中)、実際の降水量(右)

「宇宙からみた気象現象シリーズ 最終章」宇宙から雨を観測する新しい技術「GPM/DPR」による気象現象解説の最後を締めくくるのは、2016年にクリスマス直前の北海道を襲った大雪。新千歳空港が大パニックになったことで、記憶に残っている方も多いのではないでしょうか。当時の状況や、3Dで捉えた雪雲のようすを解説するとともに、気象予測への最先端の取り組みについてお伝えします。

北海道で12月としては50年ぶりとなる記録的な大雪 新千歳空港は大パニック

2016年12月22日から23日にかけて、2つの低気圧の影響を受け、札幌市を中心に北海道の広い範囲で大雪に見舞われました。一つ目の発達した低気圧に伴う温暖前線の雪雲が、22日から23日未明にかけて通過しました。その後、23日明け方から夜遅くにかけて、日本海側で発生した二つ目の小さな低気圧に伴う雪雲の影響を受け、北海道西部を中心に雪が降り続きました。22日から23日の2日間で降った雪の量(総降雪量)は、最も多かった余市町で67センチ、札幌市で61センチでした。また積雪の深さは、札幌市では降り始めの36センチから23日23時には96センチに達しました。12月としては、1966年以来50年ぶりに90センチを超える記録的な積雪を観測し、ニュースで「ドカ雪」と報道されるほどでした。各地で「ドカ雪」のため除雪が間に合わず、交通機関が大きく乱れました。鉄道は500本以上が運休、空路では新千歳空港の滑走路が閉鎖され欠航が相次ぎ、23日の夜には、過去最多となる約6000人が空港で夜を明かしました。
大規模な交通障害が発生したもうひとつの要因としては、「湿り雪」にあります。雪には「乾き雪」と水分を多く含んだ「湿り雪」がありますが、同じ積雪深であっても水分量の違いから、「湿り雪」の方が重くなります。1立方メートルあたりの密度は、前者は約50キロ、後者は約100キロで倍近くになります。さらに、雪が積もれば積もるほど下の層はその重みで圧縮され、密度は更に大きくなり、より固く重くなっていきます。当然、重さが重いもの、押し固められているものの方が、取り除くために大きな力を必要とします。また、湿り雪の方が滑りやすくなるため、乾き雪と比べて頻繁に除雪を行う必要も出てきます。一概には言い切れませんが、乾き雪に比べて湿り雪の方が、除雪が大変になる事例が多くなります。まさに、今回の事例はそのひとつであったと言えるでしょう。

DPRで見る当時の大雪のようす

では、一つ目の低気圧に伴う温暖前線付近の雪雲のようすを見てみましょう。全球降水観測計画(GPM)主衛星に搭載された二周波降水レーダ(DPR)による22日14時30分頃の三次元の降水のようすです。降水強度10ミリ以上のやや強い降水域は、北海道の南の太平洋上、温暖前線付近に見られます。一方、前線から少し離れた陸上では、1から2ミリ程度となっています。この降水強度からすると道内での「大雪」という印象は受けにくいかもしれませんが、実は、降水量1ミリは、降雪量でおよそ1センチになります。また、温暖前線に伴う乱層雲は、降水量はそれほど多くありませんが、雨雲・雪雲の範囲が広く、長く雨や雪を降らせるという特徴もあります。実際には、札幌では22日ら23日のおよそ2日間、時間降雪量1から5センチ程度の雪が断続的に降り続いたため、結果的に「総降雪量61センチ・最深積雪96センチの大雪」となりました。
●GPM/DPRが捉えた低気圧による札幌圏の大雪に関する動画
2016年12月22日日本時間14時30分頃 https://www.youtube.com/watch?v=3rpgegeRJjQ

気象予測の精度向上につながるDPRの技術

気象予測は、観測データをもとにコンピュータでさまざまな計算を行い、将来的に大気の状態がどのように変化するかを予測しています。「降水・降雪」の観測データとしては、主に『アメダス』と『地上気象レーダ』の情報が使われてきましたが、これらは陸域周辺のデータに限られるという課題がありました。基本的に、データが存在している地点が多い方が、予測の精度は向上します。宇宙から観測を行うGPM/DPRのレーダであれば、海上の降水・降雪のようすを観測することができるため、このデータを用いれば、気象予測の精度向上が期待できるというわけです。そこで気象庁では、2016年3月より、気象予測におけるGPM/DPRの観測データの利用を開始しました。その結果、GPM/DPRの観測データの利用により、予測精度が向上したことが明らかになっています。
このように、降水量や降雪量の観測技術の高度化は、それらの予測精度向上にとって大変重要な役割をもっています。特に雪は、2016年の北海道の大雪の事例からもわかるように、雨と比べて少ない降水量でも社会的に大きな影響が生じるため、非常にシビアな予測が求められます。このため、GPM/DPRをはじめとした最先端の技術が、大きく役立つことが期待されています。


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