関東甲信地方のピークは午前中です。昼前までは雷を伴い激しく降る所があるでしょう。東北は昼過ぎから荒れてきそうです。台風の北上とともに、寒気の影響も加わるため、台風が強まる恐れもあります。

気象衛星と雨雲レーダー合成図
気象衛星と雨雲レーダー合成図

関東甲信の雨は午前中がピーク

台風が接近していますが、本州にかかっている雨雲は、上空に寒気を伴う気圧の谷の雲が主です。動きが遅く、昨日は四国や中国、近畿地方で猛烈な雨や大雨をもたらしました。現在は、東海や甲信地方、北陸にかかって雨を降らせています。
台風の北上とともに、台風周辺に広がる高温多湿な空気が流れ込むため、本州付近の雨雲は一層発達しやすくなります。関東地方ではすでに所々でどしゃ降りになっていますが、関東は台風の進路に近いので、台風の外側に広がる活発な雨雲も、これからかかる恐れがあります。
本州付近に広がる雨雲は動きが遅いため、同じような所で激しい雨が降り続く恐れがあります。長野県や群馬県、埼玉県には土砂災害警戒情報も出されています。東海や関東甲信地方は昼前まで激しい雨が降り続く恐れがあるので、警戒が必要です。北陸は夕方まで激しい雨が降りやすいでしょう。
また、関東の一部が強風域に入っていて、千葉県の銚子では午前6時すぎに24.2メートルの最大瞬間風速を観測しました。台風の進路に近い千葉県や茨城県は、昼過ぎにかけて瞬間的に30メートルの暴風が吹く恐れがあります。都心も含め、昼頃が雨や風が強まるピークになりそうです。日中の外出は十分にご注意下さい。

東北は記録的な大雨や暴風に警戒が必要

台風は、関東の東海上で向きを西寄りに変えて北上し、昼過ぎから夕方にかけて、東北の太平洋側に接近し・上陸する恐れがあります。風速25メートル以上の暴風域を伴い、勢力が強いまま東北に上陸しそうです。
本州付近の上空には寒気があるため、本州に近づくにつれ温帯低気圧の性質を帯びながら北上することになりそうです。中心気圧が低くなり、風速15メートル以上の強風域や暴風域が広がる恐れがあります。
東北は昼過ぎから夜遅くにかけて、非常に強い風が吹き、陸上の最大瞬間風速は35メートルが予想されています。これはトラックを横転させたり、樹木を根こそぎ倒すような強さです。沿岸部を車で運転される方は十分な警戒が必要です。
また、台風本体の活発な雨雲がかかるため大雨が予想されます。31日午前6時までに予想される雨量はいずれも多い所ですが、太平洋側で350ミリ、日本海側で300ミリです。平年の8月一ヶ月分の降水量を大きく上回るなど、記録的な大雨になる恐れがあります。
傾斜地では土砂災害が発生しやすくなりますし、川が増水したり、氾濫する恐れもあります。道路は川のようになり、低い土地は浸水する恐れがあります。万が一に備えて避難の準備もしておきましょう。また、東北の荒れる時間は暗くなってからです。暗い時間帯の避難は難しくなりますので、早めに対策をしておくと安心です。

北海道も次第に荒れてくる

北海道は台風から離れていますが、湿った空気の流れ込みやすい状態が続くため、太平洋側はすでに雨が降っています。日本海側も夕方以降は広く雨になるでしょう。北海道は31日にかけて断続的に激しい雨が降り、大雨になる恐れがあります。特に湿った空気が流れ込みやすい太平洋側を中心に雨の量が多くなりそうです。31日午前6時までの24時間に降る雨の量は、いずれも多い所ですが、太平洋側250ミリ、そのほかの地域は150ミリの見込みです。北海道は8月だけで3回も台風が上陸し、大雨になりました。大雨による土砂災害などに引き続き警戒して下さい。また、30日夜は台風に近い、日本海側南部や太平洋側西部の海上で猛烈な風の吹く所がありそうです。台風の今後の進路には十分にご注意下さい。
日本気象協会 気象予報士 安西浩子