11日気象庁は、ラニーニャ現象の発生が秋に遅れる可能性があると発表しました。ラニーニャ現象の発生が遅くなると、日本の夏の暑さにどんな影響を及ぼすのでしょうか。

予想される大気の状態
予想される大気の状態

気象庁は11日、夏の間にラニーニャ現象が発生する可能性はこれまでよりも低くなり、秋に発生する可能性が出てきたと発表しました。前回までの予想では、今年は夏のうちにラニーニャ現象が発生し、太平洋高気圧が強まり、暑い夏になるのではないかと懸念されていました。前回ラニーニャ現象が発生した2010年が、観測史上最も暑い夏になったように、これまでラニーニャ現象が発生した年は、太平洋高気圧の北への張り出しが強まり、日本では気温が高くなる傾向にあります。
では、ラニーニャ現象の発生が秋になった場合、日本の夏の暑さはどうなるのでしょうか。

インド洋の海面水温に注目してみると

日本の暑さを左右するのは、太平洋高気圧の勢力が強いかどうかというのが1つのポイントとなります。太平洋高気圧の張り出しが強く、日本をすっぽりと覆う状態が続くほど、猛暑となる可能性が高くなります。インド洋の海面水温が高く、対流活動が活発であると、太平洋高気圧の西側の勢力を強めます。インド洋の海面水温は基準値に近い値となっていて、このあとも基準値に近い値が秋にかけて続くと予想されています。
※基準値とは、その年の前年までの30年間の各月の平均値で、インド洋熱帯域では、30年間の変化傾向による上昇分を加えています。
前回の長期予報では、太平洋高気圧の北への張り出しが夏後半ほど強まる見通しでしたが、少し見通しが変わり、太平洋高気圧の勢力自体は平年並みになる可能性があります。
※原稿を一部訂正しました。

全球の大気全体の温度は?

3か月予報でも暑さが予想されているのは、全球で大気全体の温度が高い状況が続いていることが大きく影響しているとみられます。2016年5月の世界の月平均気温は、平年(1981~2010年)を0.37度上回りました。この+0.37度は、1891年の統計開始以来、2番目に高い値です。世界の5月の平均気温は、上昇傾向が続いており、長期的には100年あたり約0.71度の割合で上昇しています。
梅雨明け前から猛暑日が続出しているように、やはり今年の夏は暑い夏になりそうです。ラニーニャ現象が遅れるからといって、猛暑に油断はできないでしょう。

世界の平均気温偏差
世界の平均気温偏差