31日、世界の台風を探してみると、珍しい場所にありました。サイクロン「Chapala」は珍しくアラビア海で発生。アラビア半島に接近・上陸する見込みで、数年分の雨を降らせる恐れがあります。

世界の台風 1個

31日9時(日本時刻)、世界の台風を探してみると1個ありました。インドとアラビア半島の間、アラビア海にあるサイクロン「Chapala」です。
「Chapala」は2番目に強い「エクストリームリー・シビア・サイクロニック・ストーム」まで発達。その後、1ランク下がりましたが、インド気象局は引き続き海上暴風警報を発表し、付近を航行する船に警戒を呼び掛けています。
●「サイクロン」とは
アラビア海を含む北インド洋では、風速17メートル以上の熱帯低気圧を「サイクロン」と呼びます。日本の「台風」に相当します。サイクロンの強さはインド気象局が最大風速により5段階に分類しています。

めったにない アラビア海のサイクロン

アメリカ海洋大気庁(NOAA)によると、アラビア海は熱帯低気圧が発生しにくい場所で、勢力の強いサイクロンは2010年の「Phet」以来、5年ぶりとのこと。
アラビア海は海域が狭いうえに、南西の季節風の影響でサイクロンの発生する時期が短く、また、砂漠からの乾燥した空気や風の流れもあって、サイクロンが発生しても強い勢力になりにくいとされています。

Chapala 大雨の恐れ

「Chapala」は海面水温30度ほどの暖かい海で、31日に中心気圧942hPa、最大風速60メートルまで発達しました。
今後は西の海面水温の低い領域を進むため、発達のピークは過ぎる見込みです。
サイクロンとしての勢力を保ったまま、さらに西へ進み、11月2日(現地時刻)にイエメンやオマーンのアラビア海沿岸に接近・上陸する恐れがあります。
世界気象機関(WMO)は、「Chapala」は主要な港や道路、都市とは反対側に接近する見込みではあるものの、大雨による洪水や土砂災害、インフラへの影響を懸念しています。

たった2日で数年分の雨が降る?

「Chapala」がアラビア半島にもたらす雨量は、イギリス気象局の予想によると、2日で500ミリ。イエメンのような乾燥した地域にとっては、相当の大雨です。
イエメンのアラビア海沿岸の年間降水量は100ミリ以下なので、2日ほどで数年分の雨が降ることになり、被害が心配されます。