気象庁は10日、エルニーニョ監視速報を発表しました。エルニーニョ現象は続いていて、今後、冬まで続く可能性が高いとしています。また、8月の海面水温の基準値との差は、最強のエルニーニョ年である1997年に次ぐ大きさでした。

エルニーニョ現象とは

太平洋赤道域の中部(日付変更線付近)から南米のペルー沖にかけての広い海域で、海面水温が平年に比べて高くなり、その状態が1年程度続く現象です。
エルニーニョ現象が発生すると、日本を含め世界中で異常な天候が起こるとされています。

エルニーニョ現象 冬まで続くか

●8月のエルニーニョ監視水域
海面水温の基準値との差は+2.2度でした。8月としては1950年以降、1997年(最強のエルニーニョ年)に次いで2番目に大きな値です。
●エルニーニョ現象 続く
2015年4月から2015年8月までの平均は+1.6度でした。2014年6月から2015年6月までの13か月間、平均が+0.5度以上となっており、エルニーニョ現象が続いています。
●日本の8月の天候への影響
西日本の低温や西日本日本海側の多雨、東日本太平洋側の寡少は、エルニーニョ現象時の天候の特徴と一致していました。
●エルニーニョ現象 冬にかけて続く可能性
今後も海面水温の高い状態が続く見込みです。冬の間はエルニーニョ現象が続く可能性が高くなっています。
●インド洋熱帯域の海面水温
インド洋の海面水温も基準値より高い値でした。今後、冬にかけて高い状態が続くと予想されています。

WMOは最強と予想

世界気象機関(WMO)は1日、今回のエルニーニョ現象は1997年以来、最強になるとの予想を発表しました。
WMOによると、今回のエルニーニョ現象のピークは、2015年10月から2016年1月の間になる見込みです。すでにその影響が出ていて、今後4~8か月の間により顕著に影響が現れるとしています。
WMOのある研究者は、1997年の時と比べて予報技術や気候に関する知見があるため、異常気象に対する準備ができていると考えている一方、北極の海氷や雪面の減少といった環境の変化による未知の影響を懸念する意見もあるようです。

今年のエルニーニョ現象 今までと違う?

海面水温の特に高い領域の分布は、強いエルニーニョ年(1997/98年・1982/83年)とも、並みのエルニーニョ年とも違うパターンになっているとする研究もあります。