今年の5月は「暑さ」に関する記録が続出。東京では「5月の最高気温の平均値」が過去140年間で1位に。「夏日の数」も5月としては過去最多となりました。なぜこんなに暑かったのか、その理由を検証しました。

理由1 上空の気温が高かった!

1つ目の理由に挙げられるのが「上空の気温が高かった」こと。私たちが住んでいる地上の気温は、上空1500m付近の気温が大きく影響しています。この1か月、館野(つくば市)や札幌の上空1500m付近の気温は、平年より2度前後高く、上空に暖かい空気があったことがわかります。
では、この暖かい空気はどこからやって来たのでしょうか?今年の特徴として、中国大陸の上空の気温も高かったことが挙げられます。大陸の暖かい空気が上空の強い風にのって、日本まで来たと考えられるのです。
上空の風の動きを見てみると、4月下旬~5月上旬のゴールデンウィークの頃は、おもに北日本に到達するルートでした。実際、4月27日には北海道の中徹別で31度を記録しています。
そして5月中旬~下旬にかけては、東日本や近畿地方にも暖かい空気が次々と到来。東京をはじめ、あちらこちらで30度以上の真夏日を観測しました。

理由2 日差しがたっぷり降り注いだ!

2つ目の理由は「日差しがたっぷり降り注いだ」こと。下のグラフは、東京の5月の日中(9時~15時)の日照時間を表したもの。ご覧のように、今年2015年が最も多くなっています。その分雨の日は少なく、5月の降水量は平年の6割ほどでした。上空の気温が高い状態に、日差しの力も加わり、地上の気温もぐんぐんと上がったのです。

理由3 「気温を下げる風」が少なかった!

3つ目の理由は「気温を下げる風があまり吹かなかった」ということです。東京では、気温の上がる日は南東~南よりの風が吹き、北東~東よりの風が吹くと気温が下がる傾向があります。上空の気温が高くても、晴れていても、北東~東よりの風が吹いてしまうと気温は上がりません。
では、今年はどうだったでしょうか?下のグラフは、5月の東京の風向を、例年と今年で比べたもの。気温を下げる北東~東よりの風はあまり吹きませんでした。
このように
「上空の気温が高い」+「日差しがたっぷり」+「気温を下げる風が吹きにくい」
という条件が揃ったことから、例年にない暑さとなったと考えられます。

そのほかの地域も 海外でも… 今後は?

ここまで東京の記録をお伝えしましたが、そのほかの地域でも記録が出ています。大阪では27日~30日までの4日連続で真夏日を観測。これは5月としては観測史上初めてのこと。また、京都と奈良では5月の真夏日最多記録を更新しました。さらに、仙台でも「5月の最高気温の平均」がこれまでで一番高くなっています。
海外に目を向けると、インドでは最高気温が50度に迫る酷暑となり、多数の死者が出ています。また、5月上旬にはタイでも連日猛暑となったほか、スペインのバレンシアでも40度を超える厳しい暑さとなりました。
今後の予想ですが、5月最終日である31日は雲が広がりやすく、暑さは少しおさまりそう。ただ、6月に入る来週前半は、再び真夏日地点が続出しそうです。季節を先取りした暑さで体調を崩さないよう、くれぐれもお気を付けください。