ナイロンは摩耗やシワに強いうえ、速乾性にも長けていることから、アウターやバッグ、雨具などさまざまなアイテムに使われている素材です。

日常でも扱いやすく、自宅で簡単にお手入れすることが可能ですが、洗濯の方法を誤るとナイロンの機能性が低下するおそれがあるので注意が必要です。

今回はナイロン素材の特徴や、洗濯するときのポイント、注意点について解説します。

ナイロン素材の5つの特徴

ナイロンはほかの素材に比べて以下のような特徴があります。

■1. 速乾性に長けている
ナイロンは吸湿性が低く、水に濡れてもすぐ乾く性質を持っています。雨に強いのはもちろん、洗濯しても短時間で乾かせるので、お手入れに手間がかかりません。

■2. 型崩れやシワになりにくい
ナイロン生地は弾力性があるため、洗濯してもシワが寄りにくいところが特徴です。

その一方で伸縮性は低いため、洗濯中にほかの衣類と絡まり合っても伸び縮みしにくく、型崩れする心配はあまりありません。

■3. 摩擦や牽引に強い
ナイロンは軽量でありながら頑丈な作りになっており、摩擦や牽引に耐性があります。ほかの衣類とまとめ洗いしても傷みにくいところが利点です。

■4. 熱に弱い
ナイロン素材は熱に弱く、高温の環境下に置くと変形の原因となります。
洗濯後のアイロン掛けはもちろん、乾燥機の使用にも注意が必要です。

■5. 紫外線に弱い
ナイロン素材は紫外線に弱く、長時間日光にさらされると繊維が酸化し、変色や色褪せするおそれがあります。そのため、ナイロン素材の洋服を洗濯して干すときは直射日光を避けたほうがよいでしょう。

ナイロン素材の服を洗濯するときのポイント

ナイロン素材の服を洗濯するときに押さえておきたいポイントを4つ紹介します。

■1. 洗濯表示を確認する
ナイロンは水に強いので、基本的に家庭用洗濯機で洗うことが可能です。ただ、ナイロンとほかの素材の混紡生地の場合、生地の種類によっては洗濯できない、あるいは洗濯に注意を要することがあります。

初めて洗濯するナイロン素材の衣類は、必ず事前に洗濯表示を確認し、家庭用洗濯機で洗えるかどうか、どんな洗剤が使えるかをチェックしておきましょう。

洗い桶のマークに数字やアンダーラインが入っているものは自宅で洗濯可能ですが、×マークが入っているものは家庭用洗濯機で洗えませんので、クリーニング店への依頼が必要です。[注1]

[注1]消費者庁:家庭用品品質表示法に基づく繊維製品品質表示規定の改正について

■2. 弱アルカリ性の洗剤で洗う
洗濯用洗剤には、中性と弱アルカリ性の2種類があり、後者のほうが洗浄力は高くなります。ナイロンはアルカリ性に強いので、洗浄力の高い弱アルカリ性の洗剤を使用して洗濯しましょう。

ただ、混紡素材によっては中性洗剤の使用が適している場合もありますので、洗濯表示に合わせて洗剤を選ぶ必要があります。

■3. 目立つ汚れは前処理しておく
ナイロンの服に目立つ汚れがついている場合は、事前に洗剤の原液を汚れに付けて、ブラシなどで軽くこすってから洗濯機に入れましょう。ナイロンは摩擦に強い素材なので、軽くこするくらいなら生地を傷めずに汚れを落とせます。

頑固な汚れがあるときは漂白剤を使ってつけ置き洗いする方法が有効ですが、塩素系漂白剤を使用すると色柄が落ちるおそれがあります。

洗濯表示を見て、△マークに斜線が入っている場合は酸素系漂白剤のみ可能なので注意しましょう。[注1]
なお、×マークがついている場合は漂白剤の使用はNGですので、前処理には洗濯用洗剤のみを使用します。

■4. 脱水は弱め&短時間でOK
ナイロンは速乾性に長けているので、長時間脱水にかける必要はありません。耐久性が高いとはいえ、強めかつ長い時間脱水にかけると、少なからず生地に負担をかけますので、ナイロン衣類の脱水は弱め&短時間を設定しましょう。

ナイロン素材の服を洗濯するときの注意点

ナイロン素材の服を洗濯する際に気を付けたいポイントを3つ紹介します。

■1. お風呂の残り湯を使わない
洗濯機によっては、お風呂の残り湯をポンプで吸い上げて洗濯水として使用できるものもあります。一般的には、冷たい水よりお湯のほうが汚れ落ちはよくなりますが、ナイロンは熱に弱いのでお湯を使った洗濯はNGです。

お湯が冷めている場合はよいですが、熱が残っている場合は水道水で洗うことをおすすめします。

■2. 乾燥機を使わない
ナイロン素材は熱に弱いため、ほとんどの衣類が乾燥機の使用不可となっています。洗濯表示の四角の中に丸と点が描かれているタンブル乾燥マークに、×がついている場合は乾燥機を使えませんので、自然乾燥させましょう。[注1]

■3. 陰干しする
ナイロン素材の服を乾かすときは、なるべく直射日光が当たる場所を避け、日陰に干しましょう。ナイロンは速乾性に優れているので、日にさらす必要はありません。

ナイロン素材の服は熱に注意して洗濯しよう

ナイロン素材は、速乾性や弾力性、耐摩耗性に長けているため、洗濯しやすいところが利点です。一方で、熱に弱いという欠点がありますので、ナイロン素材の服を洗濯する際は、熱いお風呂の残り湯を使わない、乾燥機の使用を避けるなどの注意点をしっかり押さえておきましょう。

また、ナイロン素材の服は紫外線にも弱いので、晴天時に洗濯する際は日陰で干す工夫も必要です。

天気予報専門メディア「tenki.jp」では、その日の天気や予想気温などをもとに、洗濯物の乾きやすさを表した「洗濯指数」を公開しています。ナイロン素材の服を洗濯するときは、ぜひご活用ください。