5月6日におこる「半影月食」をはじめ、これから観測できる月に関連する天文現象に注目してみましょう。
一年のうちで最も地球に近い満月を「スーパームーン」と呼ぶことがあります。2023年は8月31日にあたり、この日の満月は同じ月で2度目の満月「ブルームーン」でもあります。10月29日の「部分月食」は、明け方の低空でおこり、全国で観測できます。

【5月6日】幻想的な「半影月食」。淡い影に隠れる月を観測しよう

通常の「月食」は、月が地球の濃い影(本影)に隠されますが、地球の淡い影(半影)に隠されるのが「半影月食」です。今回は月が本影の近くを通るため、食の最大の頃には月の上部が暗くなる様子を観測できるでしょう。

5月6日に日付が変わる深夜に食がはじまり、明け方に終了します。今回は全国で観測可能で、どの地域でも同時刻に進行します。食の始まりは0時14分頃で、最大となるのは2時23分頃。終了する4時32分頃には空が明るくなるため、観測が難しくなります。食の最大となるタイミングをお見逃しなく!

◆暦計算室の「月食各地予報」

画像:アストロアーツ
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【8月31日】今年最も地球に近い満月「スーパームーン」で「ブルームーン」

月の公転軌道は楕円形で、地球と月との距離は一定ではありません。そのため、軌道上のどこで満月になるかによって、見える月の大きさが変わります。月と地球の距離は約36万kmから40万kmの間で変化しています。接近するタイミングと満月になるタイミングが近いと、月が大きく見えるのです。

今年地球に最も近い8月31日の満月は、最も遠かった2月6日の満月に比べると、視直径が約14パーセント大きく、光っている面積も約29パーセント広くなります。

8月は2日も満月で、31日の満月との距離の差はわずか200キロメートルほど。スーパームーンに次ぐ近さになります。8月は同じ月に満月が2回あり、2回目の満月は「ブルームーン」と呼ばれることがあります。希少な月を楽しみに待ちたいですね。

画像:国立天文台
画像:国立天文台

【10月29日】明け方におこる「部分月食」。「月入帯食」の地域も

月食には、地球の影(本影)によって月全体が隠される「皆既月食」と、一部が隠される「部分月食」があります。10月29日は「部分日食」になり、地球の影に月の直径が入り込むのは12.8パーセントほど。わずかに欠けた月の姿を、見逃さずに観測しましょう。

部分月食は明け方にはじまり、終わりまでをほぼ日本全国で見ることができます。小笠原諸島などでは、月が欠けたまま沈む「月入帯食(げつにゅうたいしょく)」になります。

月が最も欠ける「食の最大」は5時14分頃。月が地球の影から抜け出し、部分月食が終了するのは5時54分頃になります。終了間近の月の高度はとても低く、西の空が開けた場所から観察することが必要です。

他にも注目したいのは、9月21日におこる「アンタレス食」で、月がさそり座の一等星アンタレスを隠す現象です。9月29日には満月と一致する「中秋の名月」も。これから観測できる、多彩な月の現象を楽しみましょう。

・参考文献
『アストロガイド 星空年鑑 2023』 アストロアーツ

・参考サイト
国立天文台「東京の星空・カレンダー・惑星(2023年5月)」
国立天文台「東京の星空・カレンダー・惑星(2023年8月)」
国立天文台「東京の星空・カレンダー・惑星(2023年10月)」

画像:国立天文台
画像:国立天文台