高速道路を長時間走行していると、心身に負担がかかってしまいます。
疲労は事故リスクを高める原因になりますので、高速道路を走る場合は適宜休憩を挟むことが大切です。
今回は、高速道路における休憩の重要性や、休憩を取るタイミングの目安について解説します。

高速道路における休憩の重要性

高速道路を走行している間に、適宜休憩を取るべき理由は大きく分けて2つあります。

■1.事故の防止

高速道路では一定以上のスピードで走行しなければならなため、常にアクセルを踏み続ける必要があります。
さらにスピードが出ているぶん、いつも以上に運転に集中しなければならないため、一般道路を走行するよりも心身に疲労が蓄積しやすいと言われています。
疲労が蓄積すると、眠気が差したり、運転に必要な認知力や判断力が低下したりするおそれがあります。
高速道路では、ほんの少しの操作ミスや判断の遅れが大事故につながる可能性がありますので、適宜休憩を挟み、疲労がたまり過ぎないよう配慮することが大切です。

■2.エコノミークラス症候群の防止

エコノミークラス症候群とは、窮屈な座席で長時間同じ姿勢のままでいることによって血栓ができたり、肺塞栓などを引き起こしたりする症状のことです。[注1]
足を長時間動かさずにいると、血液の流れが滞り、血管の中に血の塊(血栓)が作られます。
この時点で足や膝の腫れなどが起こりますが、さらにそのまま症状を放置すると、血栓が剥がれて肺の血管に詰まり、胸の痛みや呼吸困難などを伴う肺塞栓症を引き起こすことがあります。
座席が狭い飛行機のエコノミークラスで起こりやすい症状であることが名前の由来ですが、「食事や水分を十分に摂らない」「窮屈な座席で長時間座りっぱなし」などの条件が揃えば、どんな場所でも起こり得る症状です。
高速道路の走行時も例外ではなく、休憩を取らずに長時間運転し続けるとエコノミークラス症候群を引き起こすリスクが高くなると言われています。
エコノミークラス症候群を予防するには、定期的に休憩を取り、軽い体操やストレッチを行う、十分に水分を摂る、かかとの上げ下ろし運動やふくらはぎのマッサージを行うなどの対策を取り入れましょう。

[注1]厚生労働省:「エコノミークラス症候群の予防のために」

高速道路での休憩目安は何時間に1回?

厚生労働省では、高速道路の実車運行区間の連続運転時間について、おおむね2時間までとしています。[注2]
運行計画を立てるときは、2時間走行した先にあるSAやPAをあらかじめチェックし、その場所に辿り着いたら休憩を取るようにしましょう。
もちろん、2時間走行した先に必ずSA、PAがあるとは限らないので、2時間を超えていない場合でも、1時間などで早めに休憩を取ることを心がけることが大切です。
また、渋滞に巻き込まれた場合は想定よりも時間がかかるおそれがありますので、2時間を超えたら当初予定していた休憩地に辿り着かなくても、最寄りのPAやSAで休憩を取るようにしましょう。
なお、連続運転時間とは、10分以上の運転の中断をすることなく、連続して運転する時間のことを意味しています。
SAやPAに5分程度立ち寄ったくらいでは「休憩」とはみなされませんので、必ず10分以上の休憩を取ることを意識しましょう。

[注2]厚生労働省:「連続運転時間・休憩の考え方」

■疲れのサインが出たら、走行時間に限らず休憩を!

連続走行時間2時間というのは、あくまで休憩を取る目安のひとつに過ぎません。
2時間を超えなくても、以下のような疲れのサインが出た場合は最寄りのSAやPAに寄って休憩を取るようにしましょう。

・あくびの回数が増える
・まばたきの回数が増える
・肩こり、足腰の重さを感じる
・頭痛、頭重の症状が出る
・まぶたがけいれんする
・体がもじもじする

荒天時は疲れやすいため、こまめに休憩を取ろう!

雨や雪などの荒天時は、晴天のときよりも視界や道路の状況が悪くなりがちです。
いつもより集中して運転しなければならないぶん、心身の疲労が蓄積されやすいので、こまめに休憩を取ることを心がけましょう。
また、現地で雨や雪に降られて慌てることのないよう、事前に走行予定の高速道路の状況を確認しておくことも大切です。

天気予報専門メディア「tenki.jp」では、気象影響リスクのある道路区間の情報をWeb上でチェックできる「道路の気象影響予測情報」を提供しています。
高速道路を走行する予定がある場合は、道路の気象影響予測を事前に確認し、注意が必要かどうかチェックすることをおすすめします。

高速道路ではこまめに休憩を取り、疲労を溜めないようにしよう

高速道路は一般道路よりも車のスピードが出る上、ずっとアクセルを踏んでいなければならないので、心身への負担が大きくなりやすい傾向にあります。
2時間に1回はSAやPAで休憩を取り、疲労が溜まりすぎないよう注意しましょう。
もちろん、途中で疲労を感じたら、連続運転時間の長さにかかわらず、速やかに休憩を取ることが大切です。
特に雨や雪が降っている場合は事故リスクが高くなりますので、事前に現地の天気を確認した上で、いつもよりこまめに休憩を取るようにしましょう。