1872(明治5)年4月2日、東京の湯島に日本初の官立公共図書館である「東京書籍館」が開設されました。これを記念して毎年4月2日は「図書館開設記念日」となっています。“図書館”と聞くと、水を打ったような静けさの中で調べものをしたり、勉学に励む場所というイメージが強いですよね。でも最近は有名な建築家が設計した図書館や、カフェが併設されたオシャレな図書館が増えているんです。今回は、旅行の際に時間を割いてでも立ち寄ってみたい全国のオススメ図書館をご紹介します。

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1.富山市立図書館(富山県)

富山県は富山市西町にある複合施設「TOYAMAキラリ」内に構える「富山市立図書館」。館内には一般図書や児童図書など約45万冊の蔵書に加え、気軽に読めるファッション誌やビジネス誌、芸術誌までが豊富にそろいます。

TOYAMAキラリの最大の特徴はそのデザイン性。国立競技場を手掛けた世界的建築家の隈研吾(くまけんご)氏が設計し、アルミやガラス、石を組み合わせた外観はとても目を引きます。施設内は2階から6階までが斜めの大きな吹き抜けとなっており、南からの自然光がたっぷりと射し込む造りに。壁には富山県産の杉材の板をふんだんに使用することで、やわらかくあたたかい空気感をつくりだしています。

また、ガラス製造の街として発展した富山市だけあって、建物内には「富山市ガラス美術館」が併設されており、ガラスの芸術作品や工芸品を観賞することもできます。

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2.金沢海みらい図書館(石川県)

金沢駅の近くからバスに乗って20~30分ほどの場所にある「金沢海みらい図書館」。こちらの建物は、外壁に約6000個の丸窓を配置する斬新なデザインとなっており、昼間は読書に適した自然光を内部に採り入れられる造りになっています。また、夜は逆に内部からの光が洩れ出るようになっており、建物全体が光る姿はとっても幻想的。2012年には「世界で最も美しい公共図書館25選」にも選出されました。

江戸時代は北前船の寄港地であったほか、醤油や機械工業などのものづくりが盛んな土地であることから、それらの地域情報に関する蔵書が充実しています。

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3.岐阜市立中央図書館(岐阜県)

長良川のほど近くに2015年にオープンした「みんなの森 ぎふメディアコスモス」。その中核にある「岐阜市立中央図書館」は約53万冊を超える蔵書を誇ります。

建築家の伊東豊雄(いとうとよお)氏が設計したという建物内は特に天井が特徴的。東濃ヒノキを使用した波打つ木製格子屋根となっていて、その天井からは大きな傘のようなグローブが吊られています。吊り下げられたグローブは全部で11個。それぞれの柄は異なったデザインになっていて、各々を見比べているだけでも楽しい時間が過ごせます。

また、こちらの図書館で特筆すべきはその座席数。テラス席を含む他の追随を許さない約900もの座席数は『ここにいることが気持ちいい』、『ずっとここにいたくなる』、『何度でも来てみたくなる』の3つの合言葉を体現。晴れた日には金華山に面してつくられた「金華山テラス」や「ひだまりテラス」、「並木テラス」といった3つのテラス席でゆったりと読書を楽しめます。

市民と共に成長する複合文化施設のモデルとして高く評価されており、2022年には、先進的な活動を行っている図書館に対して毎年贈られる「Library of the Year」に輝いています。

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4.ゆすはら雲の上の図書館(高知県)

標高およそ1,455m。雄大な四国カルストに抱かれた梼原(ゆすはら)町にある「ゆすはら雲の上の図書館」は「富山市立図書館」などを手掛けた隈研吾氏が設計した図書館です。

こちらは入口で靴を脱いでから入館するという公設の図書館としては珍しいスタイル。外壁や内装には梼原町産の木材がふんだんに使われており、床は棚田を想起させるような起伏に富んだ梼原の大地をイメージした造りになっています。館内には木の床のぬくもりを感じながら寝転んで本を読むスペースがあるほか、ボルダリング設備やカフェも併設。知の拠点として学びの場であるとともに世代間交流ができる憩いの場となっています。

なお、隈研吾氏と梼原町は深い関係性にあり、町内には「雲の上のギャラリー」やまちの駅 「ゆすはら」など隈氏が設計した建築物が点在しています。建築美を巡る周遊を楽しみつつ図書館で一休み、疲れが癒えたらまた町内散策へ・・・といった周遊パターンもオススメです。

※ボルダリング設備はコロナウイルスの感染拡大状況により閉鎖される場合があります。利用したい場合は訪問前に必ず状況を確認してください。

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5.武雄市図書館(佐賀県)

オシャレな外観と足を踏み入れた瞬間、2階天井まで届く書棚に圧倒される「武雄市図書館」。「TSUTAYA」を運営する「カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)」が運営を受託しており、館内には約25万冊の貸出用蔵書と3万冊の販売用書籍があります。コーヒーチェーンの「スターバックス」が併設されていることでも知られ、図書館で見つけた気になる本や販売用の書籍、雑誌などをカフェに持ち込んで寛ぐことができます。

また、コーヒーを飲みながらパソコンで仕事をする人や、喫茶店感覚で図書館を利用する近隣住民もいるため、堅苦しい図書館のイメージは皆無。図書館と書店、カフェが違和感なくつながるオープンな空気の中で思い思いの時間を過ごせます。

隣には約2万冊の絵本に囲まれた「武雄市こども図書館」もあって、ハンモックや砂場を使って親子で過ごせるようになっています。お腹が空いたら「九州パンケーキカフェ 武雄市こども図書館店」で、九州素材で作ったパンケーキが食べられるのも嬉しいポイントです。

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旅行の際に時間を割いてでも立ち寄ってみたい全国のオススメ図書館の数々、いかがでしたか?今回紹介した図書館は比較的規模が大きな図書館ばかりでしたが、全国には小さいけれど独自の取り組みを行っている図書館やユニークな蔵書ばかりを集めた私設図書館などがたくさんあります。仕事の出張先や旅行先、ふらっとドライブ中に立ち寄った街などで、自分好みの図書館を探してみるのも面白そうですね。

岐阜市立中央図書館の木製格子屋根
岐阜市立中央図書館の木製格子屋根