東日本大震災の発生から12年が経ちます。地震による被害の多くは「津波」によるものでした。海に囲まれた日本で、これまでに起きた津波の被害は東日本大震災のみにとどまりません。津波からどう身を守るべきか、私達が知るべき情報をまとめました。

東日本大震災での宮城県南三陸町の津波による被害
東日本大震災での宮城県南三陸町の津波による被害

日本で発生した過去の津波被害

東日本大震災の発生から、12年が経ちます。
地震による死者・行方不明者数は2万人以上にものぼり、戦後最悪の被害をもたらしました。地震による被害の多くは「津波」によるものでした。

海に囲まれた日本では、昔からたびたび大津波に見舞われています。
過去の記録を遡ると、1896年6月15日の明治三陸地震では、岩手県を中心とした東北地方と北海道地方で約2万2000人もの方が津波で犠牲になり、1933年3月3日の昭和三陸地震の際にも、約3000人の犠牲者が出ました。

津波による災害は、太平洋側のみならず、1983年日本海中部地震や、1993年北海道南西沖地震など、日本海側でも津波によって大きな被害が出ています。

参考資料:気象庁 過去の地震津波災害

揺れを感じなくても「大津波」が迫ることも

地震発生時は、震源付近の地面が持ち上げられたり、押し下げられたりします。
地震が海域で発生し、震源が海底下の浅いところにある場合、海底面の上下の変化は、海底から海面までの海水全体を動かし、海面も上下に変化します。この変化が周りに波として広がっていく現象を津波といいます。

津波の多くの場合は、海底で地震が起きて、陸上で強い揺れを感じた後、津波がくるパターンです。ただ、このケースばかりではないため注意が必要です。

地震の揺れは小さくても、発生する津波の規模が大きいものを「津波地震」と呼んでいます。1896年に発生した明治三陸地震の際、地震の揺れは震度2や3程度で気にとめないレベルの地震であったのにも関わらず、地震後約30分後に遡上高として38メートルにも及ぶ大津波が襲来しました。日本の津波災害で史上最大の約2万2000人以上もの死者を出す大惨事となりました。
地震の揺れが小さくても、ゆっくりとした揺れが長く続く場合は、津波に警戒が必要です。

また、地震の揺れを感じなくても、遠く離れた海域で発生した津波が襲来することもあり、これを「遠地津波」と呼んでいます。
1960年5月23日のチリ地震が典型例で、南米チリ沖で発生した超巨大地震(M9.5)による津波は、15時間後にハワイ、23時間後に日本の沿岸を襲来し、北海道から沖縄にかけて142人が犠牲になりました。

現在では、ハワイにある太平洋津波警報センターが、太平洋全域の地震・津波の監視を行い、速やかに津波に関する情報を伝達する体制が整備されています。

参考資料:内閣府 防災情報のページ

津波の伝達は「ジェット機並みの速さ」 一度だけでなく「何波もくる」

津波は、海が深いほど速く伝わる性質があり、沖合いではジェット機に匹敵する速さで伝わります。 逆に、水深が浅くなるほど速度が遅くなるため、津波が陸地に近づくにつれ、減速した波の前方部に後方部が追いつくことで、波高が高くなります。

また、ひとたび津波が発生すれば、一度だけでは終わらず、何波もの津波が発生します。
第一波よりも第二波、第三波の方が高いケースが多く危険です。第一波が大きくなかったとしても、避難解除の情報が出るまでは、決して海岸へ出向かうことをせず、安全な場所で待機することが大事です。

津波から身を守るために 避難は「遠くより高く」

津波から身を守るためにできることは、どんなことでしょうか。
まず、海岸で強い地震の揺れを感じたら、津波がくるかも。と「いち早く察知する」ことが大切です。地震の揺れが弱かったとしても、長くゆっくり揺れる場合には、遠地地震の可能性があります。すぐに海岸から離れて、安全な場所に避難してください。

避難は「遠くより高いところ」を目指してください。津波は想像以上の速さで到達します。一刻も早く高台へ避難することです。ただ、高台のない平坦な場所では、鉄筋コンクリートの建物の、できる限り高い階に避難してください。

津波警報の種類は3種類ありますが、一番下の「津波注意報」であっても、海岸から速やかに離れましょう。
予想される津波の高さが20センチから1メートルの場合、「津波注意報」の対象となりますが、津波はふつうの波とは異なります。海岸から速やかに離れましょう。

沿岸部にお住いの方は特に、身近な方や近隣の住民の方と避難について話し合っておく必要があります。いざという時に声を掛け合って、とっさに的確な判断ができるように、安全なうちに、改めて見直してみてください。