新年度に向けて家探しをしている方に向けて、転勤マスターの気象予報士が、気象予報士目線で新居選びのポイントを解説します。また、災害に強い家を探すための、ハザードマップの見方を紹介します。

日本国内でも気候が大きく違う その土地それぞれの気候に合わせた家探しが大切

2月も後半に入り、今年度も残りわずかとなりました。少し気が早いかもしれませんが、新年度に向けて動き出している方も多いのではないでしょうか。
今回は、新年度に向けて家探しをしている方に向けて、転勤マスターの気象予報士が、気象予報士目線で新居選びのポイントを解説します。

日本列島は南北に長く、国内でも気候が大きく違います。亜寒帯気候の北海道と、亜熱帯気候の沖縄では、平均気温で15℃程度の気温差があります。
日本列島には「脊梁(せきりょう)山脈」と言われる列島の中心を縦断する山々が多数伸び、日本海側と太平洋側では天気傾向が大きく変わります。例えば冬だと札幌などの日本海側の地域では雪が降りやすくなる一方、東京などの太平洋側では晴れの日が多くなります。

それぞれの気候のポイント確認しつつ、その土地その土地に合った家探しをすることが大切になります。

災害に強い家とは? ハザードマップを確認

その土地にどのような災害リスクがあるかどうかがわかる方法として、ハザードマップがあげられます。
ハザードマップをみることにより、災害にあいにくい土地を選んで新居選びをすることができたり、万が一のときの避難場所や避難ルートを事前に確認したりすることができます。

まず、ハザードマップでは、これから住む場所が災害による危険がある場所か、つまり、避難が必要かどうかを事前に把握しておきましょう。洪水、高潮、土砂災害、津波、地震など、自然災害の種類ごとに、危険な地域が異なります。必ず災害の種類ごとに確認しましょう。
事前に避難が必要な場所がどうかを把握しておけば、万が一の場合、「避難所へ行くべきか、自宅に留まるべきか」を判断する心構えができます。これから住む場所で万が一のことが発生した場合、どういう行動をすべきなのかもわかります。

家周辺の避難先も確認 避難場所と避難所の違いは?

その周辺の避難先も確認しておきましょう。
避難先には2種類あり、「非難場所」は、切迫した災害の危険から逃れるために、緊急で避難する場所、つまり、身を守るために避難する場所です。
「避難所」は、災害の危険性があり避難した人が、災害の危険性がなくなるまで必要な期間滞在、または災害により自宅へ戻れなくなった人が一時的に滞在し、生活環境を確保する場所、つまり、避難生活を送る施設です。
それぞれの違いをしっかり理解して、場所を把握するようにしましょう。

避難ルートも確認 ルート沿いの危険個所とは

災害の種類ごとの避難場所や避難所を確認したら、そこまでの経路も確認しましょう。その際、複数の避難経路を想定しておくことが大切です。

例えば大雨の時、川に近い道は、河川氾濫により浸水する恐れがあったり、斜面やその近くを通る道は土砂災害の恐れがあったりします。舗装された道路に覆われた都市部では、下水道や排水溝の処理が間に合わずマンホールなどから水があふれだす内水氾濫があります。周囲より低くなっている土地や、アンダーパスを通るルートは危険なため、避難の際、避けるべき経路になります。

安全に避難場所まで行くことのできる経路を、いくつかシミュレーションしておくことが大切です。これで引っ越したあとに万が一のことがあっても柔軟に動くことができます。

【動画出演】
猪股竜彦 気象予報士
安齊理沙 気象予報士