花粉症というと、春や秋をイメージしがちですが、実は花粉自体は特定の季節だけでなく、年中通して飛散しています。「冬だから大丈夫だろう」と油断していると、花粉症の症状に悩まされることもありますので要注意です。

今回は、冬の花粉症の原因や、冬場に行いたい花粉症対策について解説します。

冬にも花粉は飛ぶ?

花粉症の原因となる花粉には、スギやヒノキのほか、イネ科やブタクサ、ヨモギ、ハンノキなど複数の種類がありますが、それぞれ飛散のピークは異なります。中でも、スギ、ヒノキ、イネ、ハンノキに関しては、地域によって12月~2月の冬期間中も花粉の飛散が計測されています。[注1]

特にスギに関しては、東北から九州の広い範囲にかけて2月中から飛散量が多くなり、早い人はこの段階で花粉症の諸症状に悩まされやすくなります。また、ヒノキもスギほどではありませんが、主に関東や関西で1月~2月にかけて飛散が確認されています。

さらに東北や関東、関西、九州ではイネ科やハンノキの花粉も少量飛散することがあるようです。少量の飛散では明確な症状が現れるケースはまれですが、重度の花粉症の人や、スギ花粉症の人は冬場から症状が出ることもありますので、花粉症対策を検討した方がよいでしょう。

[注1]環境省:花粉症環境保健マニュアル2022 p16[pdf]

冬の花粉症の原因

冬の花粉症の原因となる主な花粉には、スギ、ヒノキ、ハンノキ、イネなどがあります。
ここではそれぞれの特徴をご紹介します。

■スギ花粉
スギ花粉は、日本で最も飛散量が多いといわれる花粉です。スギは北海道南部から九州にかけての広い範囲に植林されており、11月頃までに雄花が完成し、中に大量の花粉が作られます。

2月中旬から開花が始まると花粉が飛散し始め、関東では4月いっぱいまで飛散のピークを迎えます。

■ヒノキ花粉
スギ花粉と並んで飛散量の多い花粉です。飛散のピーク時期もスギと重複する部分が多いですが、本格的に飛散し始めるのは3月に入ってからです。

ただ、関東や関西など一部エリアでは2月から飛散が計測されることもあります。

■ハンノキ花粉
北海道や北陸地方に多く植林されている木です。関東では3月中旬~4月中旬あたりにピークを迎えますが、1月や2月でも東北から九州にかけての広い範囲で少量の飛散が起こります。

■イネ花粉
カモガヤやオオアワガエリといったイネ科の植物由来の花粉です。スギやヒノキなどに比べると飛散距離はそれほど長くありませんが、イネ科の植物は道端や河川敷など身近なところに自生しているため、日常生活で影響を受けるリスクが高いといわれています。

飛散のピークは4月~6月中旬ですが、東北や関東、関西、九州などでは12月~1月の冬期間中にも飛散が見られます。

冬の花粉症対策

冬に飛散する花粉症から身を守るために実践したい花粉症対策を3つご紹介します。

■1. マスクを着用する
花粉は鼻や口などから体内に侵入するため、マスクで顔の下半分をカバーすれば有効な花粉症対策になります。実験によると、マスクを装着すると未装着の場合に比べて花粉をおよそ7割削減できるという結果が報告されています。[注1]

さらに花粉症用に作られたマスクの場合、削減効果は8割を超えるというデータもあります。

もともと冬場の花粉の飛散量は春や秋に比べると少ない傾向にあるので、マスクを正しく着用していれば、飛散している花粉のほとんどを防ぐことができるでしょう。冬場はウイルスがまん延しやすい時期でもありますので、マスクをすれば感染症対策にもなって一石二鳥です。

■2. 花粉が付着しにくい衣類を着用する
花粉は大気中に飛散しているため、外出すると衣類に花粉が付着し、帰宅したときに部屋の中に持ち込んでしまうおそれがあります。特に冬場に人気のウール素材は、他の素材に比べると花粉が付着しやすく、綿を100とした場合の花粉付着率は980と約10倍に及びます。[注1]

さらに、コーデュロイなど表面に凹凸のある服や、起毛加工が施されている服は花粉が付着しやすい傾向にあります。花粉対策をしたい場合は、これらの服の着用を控えるか、表面がさらさらしたアウターを上に羽織るなどして、花粉が付着しにくいコーディネートを心がけましょう。

■3. 部屋をこまめに掃除する
窓から、あるいは衣類に付いて室内に侵入した花粉は、床だけでなくカーテンやソファ、ベッドなどのファブリック製品に多数残存します。

冬場の花粉が気になる場合はこまめに室内の掃除を行い、ファブリック製品は定期的に洗濯するか水拭きをして、花粉をできるだけ取り除くようにしましょう。

冬にも花粉は飛散している!マスクの着用や衣類の選び方で花粉対策しよう

一般的に、花粉の飛散がピークを迎えるのは春や秋といわれていますが、地域によっては冬でも一部の花粉が飛散しています。花粉の影響をできるだけ軽減したいのであれば、マスクを着用したり、花粉が付着しにくい衣類を着用したりして、しっかり花粉対策を行いましょう。

また、花粉は外から室内に持ち込まれることも多いので、こまめに掃除や洗濯を行うことも有効な対策のひとつです。

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