いつもより多くの流れ星に出会うチャンスがある「流星群」の時期。主なものだけでも10以上の流星群があり、ほぼ全てが毎年活動していることをご存知でしょうか。秋から冬にかけては空気が澄むため、流れ星を観測するにはもってこいの季節。最も多くの流れ星が出現すると予想される「極大」のタイミングを知っておきましょう。
今回は、10月に極大を迎える「おうし座南流星群」と「オリオン座流星群」についてご紹介します。

流れ星の正体とは。彗星との関係は?

流れ星は、実際には「星」ではありません。宇宙空間に浮かぶ直径1ミリから数センチほどの「チリの粒」が、高速で地球大気に衝突して起こる発光現象です。チリの粒が大気圏に飛び込んで燃えつきる姿が、尾を引いて輝いて見えるのです。

多くの流れ星を出現させる流星群は、太陽を楕円軌道で公転する彗星によってつくられます。本体の大きさは数キロメートルから数十キロメートルほどの小さな天体で、約8割が水(氷の状態)、その他はガスやチリでできています。彗星はガスやチリを放出しながら運行し、公転軌道上にはチリが帯状に形成されます。

彗星が残したチリの帯は「ダスト・トレイル」と呼ばれ、そのなかを地球が通る時に、まとまった量のチリが大気圏に飛び込み激しく光を放ちます。これが「流星群」と呼ばれる現象です。地球が彗星の軌道を横切る日時は、毎年同じ頃になります。そのため、特定の流星群が年に一度、ほぼ同じ時期に見られるのです。

画像:国立天文台
画像:国立天文台

【10月11日】おうし座南流星群が極大

★活動期間/9月10日~11月20日頃

10月と11月を中心に、9月から12月頃まで活動するおうし座流星群。1時間に数個程度の星が流れる流星群ですが、流れが比較的ゆったりとしており、長めに観測できるのが特徴です。流星の中でも特に明るく見える火球の数が多く、偶然遭遇する可能性もあるかもしれません。母天体は、太陽の周りを約3.3年の周期で公転するエンケ彗星といわれます。

おうし座流星群は、放射点が南と北に分かれていて、それぞれ南群、北群と呼ばれています。極大は南群が10月11日頃、北群が11月13日頃と予測されています。※国立天文台予測。諸説あり

放射点が高くなる午後9時以降が好条件。視界が開けた場所から、全天をまんべんなく見渡してみましょう。

【10月22日】オリオン座流星群が極大

★活動期間/10月2日~11月7日頃

明るい流星が多いオリオン座流星群。予測される極大時刻は3時頃で、22日の未明から明け方にかけてが見頃となります。細い月が2時半頃に昇ってきますが、影響は小さく好条件といえるでしょう。見晴らしが良いところでは、1時間あたり5~10個程度見られると予測されています。ピークがなだらかな流星群なので、数日間は注目してみましょう。

母天体は、5月のみずがめ座η流星群と同じくハレー彗星。ハレー彗星の軌道は、5月と10月に地球の軌道と近付きます。その付近を地球が通過すると、彗星の軌道上に分布しているチリが地球の大気に飛び込み、発光して流れ星となるのです。

オリオン座は冬を代表する星座です。オリオン座のベテルギウス、おおいぬ座のシリウス、こいぬ座のプロキオンが夜空に描くのは「冬の大三角」。星空からも、秋から冬への移り変わりを感じる季節となりました。

・参考文献
『アストロガイド 星空年鑑 2022』 アストロアーツ
・参考サイト
国立天文台「主な流星群」
国立天文台「東京の星空・カレンダー・惑星(2022年10月)概要」
国立天文台「流星群の和名一覧(極大の日付順)」
アストロアーツ「2022年10月の星空」