巷には様々なスイーツがたくさんあります。その中でも、和菓子には、日本の四季折々の風土や情緒が込められているものがたくさんあります。これまでは地方の銘菓や郷土菓子として各地方のものをご紹介してきました。今回は、その最終回!沖縄の銘菓、郷土菓子をご紹介します。気候や歴史など、その違いを考えてみるのも面白いかもしれませんね。贈答用にはもちろんですが、ご自身で楽しんでも。季節や地域に思いを馳せながら、味わいの旅をしてみるのはいかがでしょうか?

☆ちんすこう 新垣ちんすこう本舗

沖縄のお土産としてとても有名な「ちんすこう」。今では様々なバリエーションで販売されていますが、由来は、中国やポルトガルから伝来したなど、諸説あるようです。琉球王朝時代から、王族や貴族が祝いの席で食べるお菓子として重宝されていたそうです。王朝時代の最後の包丁人の流れを汲む新垣菓子店が1908年に菓子司として創業し、ちんすこうを販売しました。当時は今とは違った形だったようです。小麦粉、砂糖やラードで作られていて、さっくりとクッキーのような食べ心地と、甘みを楽しむお菓子です。

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☆クンペン 座波菓子店

「クンペン(コンペン)」は、琉球王朝時代から王家や貴族に献上されていた伝統菓子です。沖縄の人にとっては、先祖を祭る仏壇に供えられるお菓子として真っ先に浮かんでくるそう。本島ではこちらの座波菓子店が有名どころのひとつです。クンペンは、小麦粉と砂糖で生地を作り、ピーナッツの餡を包んで焼いたお菓子です。しっとりとしつつも歯応えを感じる生地に、ピーナッツの風味が効いていて、しっかりとした甘さを感じます。

座波菓子店
所在地:沖縄県那覇市首里石嶺町3-6-1
TEL:098-886-7454

色々なクンペンがあるので、食べ比べてみても
色々なクンペンがあるので、食べ比べてみても

☆タンナファクルー 丸玉

先にご紹介した「クンペン」の代用として、庶民に親しまれてきたのがこちらのお菓子。スーパーなどでも見かける、少しレトロ感のあるお菓子です。ネーミングが独特に感じるかもしれませんが、これは「玉那覇」=タンナファさんの「色黒」=クルーという創設者の家の名前とあだ名から来ているそうです。小麦粉、黒糖、卵を使った焼き菓子ですが、噛むとほろっとした食感とむちっとした食感が両方感じられます。黒糖の、甘すぎないこっくりとした甘みが楽しめます。

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☆のまんじゅう ぎぼまんじゅう

見た目にもおめでたいお饅頭です。ふっくらとした真っ白な生地に、ぎっしりと、程よい甘みの餡が詰まっています。包みを広げてからかぶりつくまで、お饅頭を包んでいる月桃の葉の香りがほのかに鼻を刺激します。本来は真っ白な状態で店頭に並べられていて、購入時に真っ赤な食紅で「の」と書いていただきます。縁起物として、お祝いや旅立ちなどに贈られることが多いのですが、ぜひ、店舗で出来立てを頬張っていただきたい!ふっくらほかほかの生地にしっとりとした餡は、出来立てならではの、別格の味わいです。少人数で手作業で作っており、お昼過ぎには売り切れてしまうことが多いそう。ぜひタイミングを合わせて訪れてみてください。

ぎぼまんじゅう
所在地:沖縄県那覇市首里久場川町2-109-1
電話:098-884-1764

☆<番外編>ムーチー

最後に番外編となりますが、時期がくると自宅で作る、もしくは市場やスーパーなどで購入するお菓子をご紹介します。
「ムーチー」または「カーサームーチー」と呼ばれる蒸した菓子および行事を指します。沖縄では、旧暦の12月8日に、健康や長寿を願って餅菓子を食し、厄払いをします。餅粉をこねて、月桃の葉に包んで蒸します。この蒸している時の月桃の香りが『また今年も元気に迎えられたな』と感じる風物詩でもあります。寒い時期なので、多少の日持ちがし、昔は一旦蒸し上げたムーチーを紐などで数珠繋ぎのように結んで吊るしておいたそう。吊るしたムーチーは、再度蒸したり、焼くことで食べることができます。また、節分の豆まきのように『年の数だけ食べる』という習慣が残っている地域や家庭もあります。次の旧暦の12月8日には、ぜひ、タイミングを合わせて食べてみてください!沖縄に行けなくとも、今では各地に増えている沖縄県産品を取り扱うお店などで販売されていることもありますので、チェックしてみてくださいね。

旅行せずとも旅気分が味わえるのは「食」の良いところでは。ぜひ思いを馳せて、いただきましょう♪