日に日に日没が早まり、星が輝き出す時刻も早くなりましたね。空気が澄んで、夜空がより美しく見える季節はもう間近です。9月の中秋の名月、11月の皆既月食など、来月から12月にかけては、月にまつわる現象が見逃せません。
今回は、9月から12月にかけて注目したい月に関連する天文イベントをご紹介します。

【9月10日】今年の「中秋の名月」は満月!

「中秋の名月」は旧暦(太陰太陽暦)8月15日の夜に見える月のことで、「十五夜」ともいいます。この日の月は一年で最も美しいとされ、観月の行事が行われてきました。日本のお月見の風習は、平安時代に中国から伝わったといわれています。

中秋の名月は、いつも満月になるわけではありません。その理由は、中秋の名月は旧暦の日付で決まり、満月は、太陽、地球、月の位置関係で決まるため。旧暦では朔(新月)となる日をその月の1日とし、月の満ち欠けの中間点にあたる15日が満月であるとされていました。実際には、月の公転軌道は楕円形で、新月(朔)から満月(望)までの日数は13.9日から15.6日と大きく変化します。

2022年は、中秋の名月が満月となります。2023年も満月となりますが、その後は2030年まで待つことに。名月が満月と重なる今年は、ぜひお月見を楽しみたいですね。

画像:国立天文台
画像:国立天文台

【10月8日】「十三夜」は、日本固有の風習

旧歴9月13日の夜を「十三夜」、「後(のち)の月」と呼び、日本にはその日もお月見をする習慣があります。かつては、十五夜の月見をして十三夜の月見をしない「片月見」は、縁起の悪いこととされていました。十五夜と十三夜を合わせて「二夜の月(ふたよのつき)」と呼びます。

十三夜は新月から数えて13日目の月で、すこし欠けています。古の人々は、その姿を十五夜の次に美しい月として愛でてきたのです。

【11月8日】最高の条件!「皆既月食」が全国で観測可能

月食が始まる時間帯、皆既食の継続時間の長さが好条件で、日本全国で見ることができます。

18時9分から欠け始め、19時16分に皆既となった「赤銅色(しゃくどういろ)」の月を、約86分間も観測できます。21時49分に部分食が終わるまで続く、3時間40分の天体ショーをお見逃しなく!

画像:国立天文台
画像:国立天文台

【12月8日】地球に最接近する火星と満月の共演

約2年2か月の周期で地球に接近する火星。最も明るく見える12月6日から9日頃には、マイナス2.0等の輝きに。このタイミングで、月が火星に近付きます。12月8日は、満月の月に寄り添うように輝く火星の姿を見ることができます。

月と火星が最も近付くのは12月8日の正午過ぎ。そのため、日本で最も接近して見えるのは12月8日の夕方、月の出の直後になります。赤く明るく光る火星と満月の共演を楽しみましょう。

・参考文献
『アストロガイド 星空年鑑 2022』 アストロアーツ
・参考サイト
国立天文台「ほしぞら情報 中秋の名月」
国立天文台 「ほしぞら情報 皆既月食・天王星食」
国立天文台 「ほしぞら情報 火星が見頃、月が火星に接近」

画像:国立天文台
画像:国立天文台