男性の浴衣は、女性の浴衣に比べると着付けが楽で自分でも着用することが可能です。
ただ、着付けにはいくつかのコツがありますので、格好良く着こなしたいのなら、正しい着方をしっかりチェックしておきましょう。

今回は、男性浴衣の正しい着方と、浴衣着用時の汗対策、着用後の浴衣のお手入れ方法を紹介します。

男性浴衣の正しい着方

男性浴衣の基本的な着付け方法を4つのステップに分けてご紹介します。

■1.肌着の上から浴衣を羽織る
肌着の上から浴衣を羽織り、掛け衿(浴衣の本衿の上につける衿)の先と衿先を揃え、前方にぐっと引っ張ります。このとき、浴衣の背縫いが体の中心を真っ直ぐ通るように調整しましょう。

■2.下前と上前を合わせる
背縫いの位置がずれないように注意しながら、右手で下前を、左手で上前を持ちます。上前を左脇に、下前を右脇にそれぞれ差し込みます。
このとき、衿合わせは鎖骨の凹みの中心あたりに来るよう調節します。

■3.腰紐を結ぶ
右脇の腰骨の上に腰紐を当て、体の前から後ろに回し、背面で交差させてから、元の位置に戻って紐を結びます。
背面で交差した部分よりも、やや下の位置で結ぶと、しっかり紐を締めることができます。余った紐は腰紐の中に収納します。

■4.帯を結ぶ
1. 帯の片端(て)を、肩幅の長さに合わせて折り返し、体の中心に当てます。
2. 余った方(たれ)を右手で持ち、3巻きします。
3. 左手でたれの下を引いてしっかり帯を締めたら、たれを内側に2つ折りにし、「て」と合わせて一結びにします。
4. 「て」を斜め上に折り上げ、たれをかぶせたら、内側からさらに一結びします。
5. 結び目を整えたら、体の後ろに回して完成です。

浴衣着用時の汗対策

夏場は気温が上がりやすいので、浴衣を着て外出すると汗をかくことがあります。
浴衣は一度着用すると簡単に脱ぐことができないので、着付け前にきちんと汗対策を行っておきましょう。

ここでは浴衣着用時に実践したい汗対策を4つご紹介します。

■1.楊柳の肌着を着る
楊柳とは、生地の表面に縦方向の細長いしわ(シボ)が現れる平織り物のことです。
表面に凹凸ができるぶん、肌に触れる表面積が少なくなるため、汗をかいても肌にべたつかず、さらっとした着心地をキープできます。

吸水速乾性や通気性にも長けているので、浴衣の下に着用すれば有効な汗対策になります。

■2.通気性の良い生地の浴衣を選ぶ
浴衣に使われる生地にはいろいろな種類がありますが、涼しさを重視するのなら、木綿と麻を織り交ぜた綿麻や、絹などの天然素材を使ったものを選びましょう。これらの素材は通気性が良く、浴衣内部の蒸れを防ぐことができます。

■3.デオドラント剤を使用する
浴衣を着用する前に、汗を抑えるデオドラント剤を使用しておきましょう。一度浴衣をしっかり着込んでしまうと、後からデオドラント剤をつけるのは難しくなるので、効果が長持ちするロールオンタイプを使用するのがベストです。

■4.扇子を持ち歩く
風のない日は、より暑さを感じやすいので、お出かけの際は扇子を持ち歩くのがおすすめです。うちわでも良いですが、扇子なら折りたたむとコンパクトになり、帯に差して持ち歩けるので便利です。

扇子を帯に差すときは、体の左側に、要(扇子を留めている部分)を下にすることを意識しましょう。差し込んだ扇子をやや斜めにすると粋な雰囲気になります。

着用後の浴衣のお手入れ方法

浴衣を良い状態で長持ちさせるためには、着用後に正しい方法でお手入れする必要があります。
ここでは脱いだ浴衣の正しいお手入れ方法を3つのポイントにわけて解説します。

■1.ハンガーに掛けて一晩吊す
脱いだばかりの浴衣をそのまま畳んで収納すると、シワだらけになったり、カビが生えたりする原因になります。着用後の浴衣はハンガーに掛け、風通しの良い場所で一晩吊しておくと、湿気が放出されるほか、浴衣そのものの重みでシワもある程度伸ばすことができます。

■2.汚れ・シミがある場合は早めに洗濯する
浴衣に汚れやシミがある場合は、時間を置かずになるべく早めに洗濯しましょう。一般的な浴衣なら家庭用洗濯機で洗うことも可能ですが、生地によっては自宅での洗濯不可のものもありますので、事前に洗濯表示をしっかり確認します。

■3.畳紙に包んで収納する
洗濯またはクリーニングを終えたら、畳紙(たとうし)に包んでから収納します。畳紙は浴衣を購入したときに付属しているものをそのまま使ってOKですが、ない場合は100円ショップなどで販売されている着物収納袋で代用することも可能です。

男性浴衣の正しい着方をマスターして夏のイベントを楽しもう

浴衣の着付けは難しい、着付けてもらわないとできないと思われがちですが、男性の着付けは女性よりも簡単なので、コツをつかめば一人でも着用することが可能です。

浴衣をしっかり着こなすと、容易に脱ぎ着できなくなるので、涼しい素材の浴衣を選ぶ、楊柳の肌着を着る、デオドラント剤を使うなどの方法できちんと汗対策を行いましょう。

浴衣着用時にどのくらい汗対策をすればいいか悩んだ場合は、天気予報専門メディア「tenki.jp」の服装指数を参考にしましょう。服装指数が70を超える場合は暑さを感じることが予想されるので、事前にしっかり汗対策しておくことをおすすめします。

「服装指数」は「tenki.jp」のサイトで公開されていますので、お出かけ前にチェックする習慣をつけてみてはいかがでしょうか。