巷には彩様々なスイーツがたくさんあります。その中でも、和菓子には、日本の四季折々の風土や情緒が込められているものがたくさんあります。今回からシリーズで、和菓子のアレコレ、そして地方の銘菓や郷土菓子をご紹介します。贈答用にはもちろんですが、ご自身で楽しんでみても。季節や地域に思いを馳せながら、味わいの旅をしてみるのはいかがでしょうか?

きちんと知っておきたい和菓子の種類

『生菓子』や『菓子』という表記を見かけたり、その言葉から想像するお菓子はあるけれども、お菓子の名前から種類に分けてみると、意外にも、答えられないことが多いのではないでしょうか?『生菓子』で『餅菓子』、というように分けられたりするのでややこしく思ってしまう人もいるのではないでしょうか。
和菓子は、含んでいる水分量から『生菓子』・『半生菓子』・『干菓子(ヒガシ)』に分けられます。『生菓子』は水分量が30%以上のもので、おはぎや大福、水羊羹などがこれに含まれます。水分量が10〜30%のものは『半生菓子』になります。適度に柔らかく、日持ちも多少するので、手土産に喜ばれるものが多いのではないでしょうか。最中が代表的です。水分量が10%以下のものが『干菓子』になります。湿気を嫌うお菓子が多く、落雁やおこし、煎餅などがこれに含まれます。
大きくこの3つに分けられた上で、製法や材料などでさらに分けられています。主なものと代表的なお菓子ををいくつかご紹介しておきますね。
☆餅菓子
米を蒸してついたものや粉状のものを練って、餅状にしたお菓子。おはぎや柏餅が代表的。
☆上生菓子
生菓子の中でも、上質な素材を使ったり、細工を施したりしたもの。練り切りが代表的。
☆蒸し菓子
蒸すという製法を利用したもの。酒饅頭や蒸し羊羹が代表的。
☆焼き物
平鍋やオーブンなどを利用して焼いたもの。金つばやどら焼きなどが代表的。
☆掛け物
砂糖や蜜を掛けたもの。おこしや雛あられが代表的。

問1. カステラは何菓子?

そもそも「カステラが和菓子であるか」というのは様々な見解があるようで、お菓子の売り場でも、和菓子と洋菓子のどちらのコーナーでも置かれることがあります。判断になるひとつの考え方は、明治以降に海外から入ってきた洋菓子に対しての和菓子という考え方。カステラは、室町時代にポルトガルから入ってきたお菓子を材料や焼くなどの製造技術を真似て、日本流にアレンジして発展してきました。日本独自に生まれたお菓子であるので和菓子とすることが多いようです。また文部科学省の食品成分分類では和菓子に分類されています。※総務省の家計調査年報では洋菓子に分類されます。

そんなカステラをあえて分類するのであれば、『半生菓子』の『焼き物』とするのがよいかもしれません。

問2.  あんみつは何菓子?

甘味処では「クリーム」や「アイス」、「フルーツ」、「白玉」などのトッピングで「みつ豆」や「あんみつ」とメニューに記されていることが多いですよね。写真がないと、選ぶ時に戸惑ってしまう方もいるのではないでしょうか?みつ豆は、茹でた赤えんどう豆に寒天や求肥などを合わせて、蜜を掛けていただくものです。あんみつはそのみつ豆にあんこをトッピングしたものになります。ですから、あんみつはみつ豆の一種ということになります。
寒天は流動状の生地を型に入れて成形する、羊羹などと同じ『生菓子』の『流し物』になりますし、求肥はその水分量で『生菓子』、『半生菓子』に分けられ、『練り物』になります。トッピングの代表、白玉団子は白玉粉から作られますが、白玉粉はもち米を原料にしていますので、白玉団子は『生菓子』の『もち物』になります。
様々なお菓子の要素を含んだあんみつの分類は『生菓子』とするのがよさそうです。

『〇〇物』という分類については、様々な要素を取り入れて、地域や時代に根ざした工夫を凝らして発展してきた和菓子の、大まかなジャンル分けのようなものです。あんみつのように厳密に分類するのが難しいものや、カステラのように諸説あるものも数多くあります。こういった厳密に分けることのできないおおらかさも、もしかすると和菓子の懐の深さなのかもしれません。

『通』の気分で、美味しく和菓子をいただいちゃいましょう♪

参考 太陽の地図帳22 郷土菓子/平凡社