ゴルフ場にいると「ファー!」という叫び声が聞こえてくることがあります。初めてのゴルフで声が聞こえてくると戸惑ってしまうかもしれませんが、誰もが安全にプレーするために知っておかなければいけないルールであり、マナーです。

そこで今回はゴルフで「ファー!」と叫ぶ意味や言わなければいけない適切なタイミング、注意点について解説します。これからラウンドをするなら必須のルールですから、ぜひチェックしておいてください。

ゴルフで叫ぶ「ファー!」の意味とは?

ゴルフで叫ぶ「ファー!」にはどんな意味があるのでしょうか。その語源と意味について解説します。

■「ファー!」の語源

日本のゴルフ場では「ファー!」と発音するのが一般的ですが、これは元々英語の”fore”からきていると言われています。foreを日本語で発音すると「フォア」の方が近い発音なのですが、日本では「ファー!」で定着しました。この「ファー!」の語源には2つの説があると言われているので、簡単に紹介します。

1. フォアキャディを省略したという説

プロゴルファーがプレーするとき、コース前方でボールがどこに落下したかを確認するフォアキャディが一緒にラウンドします。一つ目の説はボールを打ったゴルファーが、前方にいるフォアキャディにそのことを伝えるために、フォアキャディを省略した”fore”と叫んだという説です。

2. 軍の号令を省略した説

ゴルフ発祥の地は諸説あるのですが、イギリス北部にあるスコットランドという説もあります。そのため「ファー!」の掛け声は、イギリス軍が戦場で「前方に気をつけろ」という意味で使っていた”Be aware before”の略という説があるのです。戦場では瞬時に必要な情報を伝える必要があったため、”Be aware before”が略されて”fore”になったと言われています。

■「ファー!」の意味

現在のゴルフで「ファー!」と叫ぶのは、周囲のゴルファーに危険を知らせるためです。ゴルフは前方や隣り合ったコースでさまざまな組が同時にプレーしています。そのためボールが飛びすぎてしまったり曲がったりしてしまったら、そのことを周囲に伝えなければなりません。自分が打った場合はもちろん、「ファー!」と聞こえてたら自分の身を守る必要があります。小さなゴルフボールですが時速200kmにもなると言われていますので、飛んできて頭や体に当たってしまうと非常に危険です。

ゴルフで「ファー!」と言う適切なタイミング

初めてのゴルフだと、どこで「ファー!」と叫んでいいかわからないかもしれません。「ファー!」と言うタイミングを解説します。

■打ったボールが曲がったとき

ボールを打ったとき、フェアウェイを大きく外れてボールが曲がってしまった場合はすぐに「ファー!」と叫びます。だいぶ飛んでから叫んでは意味がありません。ボールが曲がってしまったら即座に声を出してください。また、隣のホールに聞こえる必要があるので、できるだけ大きな声を出しましょう。他の人が打ってフックやスライスをしてしまった時も、一緒に叫んであげましょう。キャディさんがついて回る場合は代わりに叫んでくれますが、最近はキャディをつけずにラウンドすることも多いです。他の人がショットを打つ時も、目を離さないようにしておきましょう。

■前の組に打ち込んでしまったとき

前の組に打ち込んでしまった場合も、必ず「ファー!」と叫びます。この際も危険ですし、プレーを邪魔されることになるので、「ファー!」と叫ぶのはマナーです。前の組に打ち込んだ場合は相手が見えるので、遠くからでもお辞儀をして謝ります。帽子をかぶっている場合は必ず脱いで謝りましょう。自分以外の人が打ち込んでしまった場合も、一緒に謝るようにしてください。

また、クラブハウスやラウンドが終了した際に見かけたら、直接謝ることも忘れないようにしましょう。ゴルフは紳士のスポーツですから、マナーを守ることは大切です。お互いにいい気持ちで終われるように、マナーを守ってください。

■アプローチでシャンクさせてしまったとき

グリーンでアプローチを打ってシャンクさせてしまったら、一緒にラウンドしている仲間に届くように「ファー!」と叫びましょう。この場合は他の言葉で危険を伝えてもいいのですが、「ファー!」に慣れ親しんでいるゴルファーなら、この言葉を聞くと無意識のうちに避ける体勢がとりやすいです。

ゴルフで「ファー!」と言うときの注意点

ゴルフで「ファー!」を言うときに何よりも注意したいのは、「恥ずかしがらないこと」と「大きな声を出すこと」です。ゴルフデビューしたばかりだと、「ファー!」と叫ぶのに抵抗があるかもしれません。しかし、周囲の安全を守るために必要な行動です。恥ずかしがって小さな声で言っても、伝わらなければ意味がありません。危険を察知して身構えれば万が一当たっても危険は最小限に抑えられますが、無防備な状態で当たってしまうと大変です。ボールが曲がってしまうのは仕方のないことですが、危険を知らせなかったことは更なるトラブルを招きます。恥ずかしがらずに大きな声で「ファー!」と叫びましょう。

ゴルフで「ファー!」と聞こえてきたら

自分がプレーしているときに周囲から「ファー!」と聞こえてくることもあります。この時は自分の身を守るタイミングです。ラウンドに出る前に、どうすればいいのかを必ず把握しておきましょう。

■1. 頭を隠す

ゴルフボールが直撃して一番危険なのは後頭部です。「ファー!」と聞こえてきたら、まずは両手を使って後頭部を守りましょう。前頭部ももちろん守らなければならないのですが、後頭部には脳へ伝達する神経や、呼吸器と繋がっている神経などがあります。後頭部に直撃した結果、重大な怪我につながる可能性もゼロではありません。

■2. 上空にボールが飛んでいるかを確認

ボールが曲がって飛んでしまうのはティーショットのことが多いため、高い位置にボールが飛んでくることがほとんどです。遠くから「ファー」と聞こえたら、まずは上空を確認しましょう。ただもちろん低空で飛んでこないというわけではありません。上空にボールが見えなくても、必ず後頭部は守ってください。低空で当たってしまった方が衝撃は強くなります。

■3. 木の陰やキャディバッグの陰に隠れる

ゴルフ場にはあまり隠れる場所がありませんが、木の陰やキャディバッグの陰に隠れることで直撃する確率を下げられます。上からボールが落ちてくるとしゃがんでしまう方がいますが、しゃがんでしまうとそれ以上身動きが取れず危険です。できるだけ物陰に隠れましょう。

■4. 声のする方を向かない

「ファー!」と聞こえてくると、どうしてもそちらに意識がいってしまいますが、声が聞こえてきてもそちらを振り向かないようにしましょう。特に一緒にラウンドしている仲間から聞こえてきた時や、後方から聞こえてきた場合は直撃してしまう可能性が高いです。物の陰に隠れるなどして身を守りましょう。

ゴルフ初心者でも「ファー!」と叫ぶのは絶対に守らなければいけないルール

ゴルフ初心者だと、ルールがわからなくて不安になるかもしれません。なかでも、「ファー!」と叫ぶのは、自分や周りの人の安全を守るために欠かせないルールです。ボールが曲がってしまった時などは、必ず叫びましょう。また、身の守り方などは、一緒にラウンドする人たちに聞いておくとより安心です。

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