夜明け前の空で「明けの明星」の金星が、非常に明るく輝いています。20日には、太陽から見かけ上、最も離れる西方最大離角を迎えます。中旬から下旬にかけては、金星に火星や土星が接近。月末の、惑星たちと神秘的な細い月の競演も見どころとなります。18日の満月「ワームムーン」の日には彼岸入り。いよいよ春を迎えます。

今回は、3月に注目したい星空情報をご紹介します。

【3月16日】明るく輝く金星と火星が、夜明け前の空で接近

明け方の空に姿をあらわした火星。日の出時の高度を徐々に上げながら、金星とすれ違うように移動します。16日には、金星の右下の位置に並んで見えます。この日の火星の明るさは1.2等ほど。一方、金星はマイナス4.5等と大変明るく、190倍もの明るさの差があります。

地平線近くには、土星の姿も。3月末から4月上旬には火星や金星との接近が見られます。

画像:国立天文台
画像:国立天文台

【3月18日】3月の満月は「ワームムーン」。春の彼岸に入ります

3月5日、二十四節気の「啓蟄(けいちつ)」を迎えました。春の気配に、虫たちが土のなかから顔を出す頃。「啓」には「開く」という意味があり、「蟄」は、虫などが土中に隠れ閉じこもる様子を示しています。

3月の満月は「ワームムーン(Worm Moon、芋虫月)。月の満ち欠けとともに生活していたネイティブアメリカンが、毎月の満月に付けていた名前に由来します。地面から虫が這い出してくるイメージは、まさに「啓蟄」に通じる季節感ですね。昼よりも夜の時間が長い日が続いていましたが、21日の春分を前にして逆転します。

◆2022年「春彼岸」

・彼岸入り:3月18日

中日(春分の日):3月21日

・彼岸明け:3月24日

【3月28・29日】金星・火星と土星が接近。神秘的な細い月との競演も

日の出前の南東の低空には、金星と火星が並んで輝いています。下旬になると、そこに土星が高度を上げて接近。圧倒的な明るさで輝く金星に対して、火星は1.1等、土星は0.8等ほど。空が明るくなる前に、視界の開けた場所から観察しましょう。

29日には、金星と土星が約2度(月の視直径の4倍程度)まで接近、右側には火星も位置しています。28日から29日にかけて、この3惑星の近くを新月前の細い月が通過していきます。

2022年の前半は、肉眼で見やすい惑星が未明から明け方の空に集合しています。ぜひ、早起きの楽しみや励みにしてみてはいかがでしょうか。

・参考文献

『アストロガイド 星空年鑑 2022』 アストロアーツ

・参考サイト

国立天文台「ほしぞら情報」

国立天文台「令和4年(2022) 暦要項」

画像:国立天文台
画像:国立天文台