明けの明星の金星が、最も明るく輝く「最大光度」となり見頃をむかえます。地球の兄弟星といわれる水星・金星・火星の集合や、神秘的な金星と月の接近など、夜明け前の空はにぎやか。早起きした朝は、南東の空を眺めてみましょう。日の出を過ぎても、しばらくの間は白く見える金星の姿にも注目です。

金星が最大光度!日の出後も肉眼で見える明るさに

1月下旬、明け方の東天に「明けの明星」として姿をあらわした金星。2月に入ってからは一段と輝きを増し、最大光度となる9日から13日頃には1等星の100倍以上の明るさになります。その輝きは日の出後も青空を背景に白く光り、肉眼でも見ることができるほど。ぜひ、視界がひらけた場所から観察してみましょう。

2022年の金星は、9月頃まで明けの明星としての姿を楽しめます。10月下旬に外合となり、太陽と同じ方向に位置するために見えなくなります。その後、12月中旬頃からは夕方の西空に「宵の明星」として輝きます。

【2月8日〜中旬】水星・金星・火星の「地球型惑星」が、南東の空に集合

夜明け前の南東の低空に、水星・金星・火星の3惑星を同時に見ることができます。なかなか見つけずらいかもしれませんが、日の出の1時間から30分前の時間帯に観測すると、水星の高度が上がって地平線から離れ、空も明るすぎずに見やすいでしょう。

金星の右下の方には、やや暗く赤みを帯びた火星の姿があります。2つの惑星は、3月中旬の最接近に向けてどんどん近付いていきます。金星の左下の低空には水星も見ることができます。肉眼での観測が難しい水星ですが、この時期は火星よりも明るく輝いています。金星を目印にして見つけてみましょう。

水星・金星・火星 の3惑星と地球は、「地球型惑星」と呼ばれる兄弟星。特徴は、固体の大地を持ち、大きさは小さいものの密度が比較的高い惑星であること。今回は、地球と似た大きさや性質を持つ惑星たちが、夜明け前の空に集合します。

【2月27・28日】細い月が金星と火星に接近

新月になる前の細い月が金星に近付き、神秘的な眺めとなります。月は27日には金星の右に、翌28日には金星の下に移動します。月がより高い位置にある27日が、より観測しやすいでしょう。金星の右下には火星の姿もあります。

金星の輝きと惑星の集合で彩られる明け方の空。一方、夜の星空には「しし座」や「おとめ座」といった春の星座が見られるようになりました。真夜中過ぎには「冬の大三角」が西の空に大きく傾き、南東の空に「春の大三角」が広がっています。立春を過ぎ、沈みゆく冬の星座に代わって姿を現す春の星座たちは、季節の移り変わりを感じさせてくれます。

参考文献

『アストロガイド 星空年鑑 2022』 アストロアーツ

参考サイト

アストロアーツ「明けの明星 金星」

国立天文台「ほしぞら情報」

画像:国立天文台
画像:国立天文台