2021年は8年ぶりに観測条件が最良となる「ペルセウス座流星群」。三大流星群のなかでも、明るく大きな流星が見られ、数も多いことで知られています。この夏は、特にたくさんの美しい流れ星を目にすることができそうですね。

今回は、流星と彗星の関係についてと、ペルセウス座流星群の観測ポイントについてご紹介します。

なぜ、流れ星がうまれるの?「流星」と「彗星」の関係とは

夜空の星が、光の尾を描いて降ってくるように見える流れ星(流星)。実際には「星」ではなく、宇宙空間に浮かぶ直径0.1ミリから数センチほどの「チリの粒」が、高速で地球大気に衝突して起こる発光現象です。尾を引いて見えるのは、小さなチリの粒が大気圏に飛び込んで燃えつきるまでの僅かな時間。この一瞬の美しい出来事に、古より人々は魅了されているのですね。

なかなか目にすることができない流星ですが、高い確率で観測できるチャンスが年に何度か訪れる「流星群」の時期。多くの流れ星を出現させる流星群は、太陽を楕円軌道で公転する「彗星」によってつくられます。本体の大きさは数キロから数十キロほどの小さな天体で、約8割が水(氷の状態)、その他はガスやチリでできています。彗星はガスやチリを放出しながら運行するため、公転軌道上にはチリが帯状に形成され、彗星とともに軌道を周回し続けることになるのです。

彗星が残したチリの帯は「ダスト・トレイル」と呼ばれ、そのなかを地球が通る時に、まとまった量のチリが大気圏に飛び込み、大気中の原子や分子との衝突で激しく光を放ちます。これが「流星群」と呼ばれる現象です。地球が彗星の軌道を横切る日時は、毎年同じ頃になります。そのため、特定の流星群が年に一度、ほぼ同じ時期に見られるのです。

夏の定番天文ショー!カラフルで見応えのある流星群

三大流星群と呼ばれる、しぶんぎ座流星群(1月)、ペルセウス座流星群(8月)、ふたご座流星群(12月)。なかでも、ペルセウス座流星群は年間最大級の流星数を誇り、もっとも見応えのある流星群といわれています。母天体(ダスト・トレイルを形成する彗星)は、公転周期が約130年のスイフト・タットル彗星。1862年に発見され、流星群の母天体であると指摘された最初の彗星になります。

ペルセウス座流星群の特徴は、地球大気に衝突する速度が速いために明るい流星が多く、途中で急激に増光したり、緑、オレンジ、青などのカラフルな流星も見られること。夜空を彩る夏の花火のような華やかさが魅力です。

流星群は、星空のある一点から放射状に飛び出すように見えます。流星が出現する中心となる点を「放射点」と呼び、放射点のある星座の名前をとって「○○座流星群」と呼ばれます。ペルセウス座流星群は、ペルセウス座の二重星団h−χの付近を放射点として出現します。今年は8年ぶりに観測条件が最良となる当たり年。夜空の暗い場所では、1時間に50個近くの流星が見られると予想されています。

2021年は8年に一度の最高の条件!観測のポイントと日時は?

放射点のあるペルセウス座は北東方向にありますが、流星は放射点を中心にあらゆる方向に向かって流れます。そのため、全天を広く見渡すことがポイント。また、放射点に近い流星は経路が短く、離れているほど見えている時間が長いダイナミックな流星となる傾向があります。

流星は肉眼で楽しめる天体現象。望遠鏡や双眼鏡は必要ありません。観測場所は人工的な明かりが少なく、広場や河川敷など視界の開けたところが適しています。低空は街明かりや大気の影響を受けやすいので、高い空を眺めるほうが流星を見つけやすくなります。

今年は、最大数の流星が現れる「極大」の時刻と月明かりがないという条件が重なります。極大時刻は8月13日の4時頃で空が白みはじめる頃。その直前にあたる夜明け前の3時頃(12日深夜27時頃)が、最も多くの流星を観測できる時間帯となりそうです。その前後にあたる8月11日夜から12日未明と8月13日夜から14日未明も、極大時の半分ほどの流星が見られると予想されています。

続けて数個見えることもあれば、10分以上見えないこともある流星群。諦めずに15~20分は見上げてみましょう。夜空を運行する惑星や夏の星座を眺めながら、ゆったりと流れ星を待つ時間も特別な夏の思い出になりそうです。

・参考文献

『アストロガイド 星空年鑑 2021』 アストロアーツ

・参考サイト

国立天文台「彗星」

アストロアーツ「ペルセウス座流星群」

画像提供:国立天文台
画像提供:国立天文台

※公開後、記事の一部を修正しています(2021.8.10)。