関東甲信地方と東北地方で梅雨明けの発表があり、いよいよ夏本番です。本格的な暑さが続く梅雨明け直後は、まだ体が暑さに慣れていないために熱中症に厳重な警戒が必要です。7月に入ってから一気に熱中症搬送者数が急増しています。適切な対策を心掛けていないと、取り返しのつかない事態になります。特に、熱中症警戒アラートが発表された際は「外出は控えるべき」レベルです。

令和3年の熱中症による救急搬送状況(週別推移)総務省消防庁HPより
令和3年の熱中症による救急搬送状況(週別推移)総務省消防庁HPより

暑熱順化できていない人ほど警戒

7月中旬に入って一気に太平洋高気圧が強まり、暑さが本格化しています。これまでのカラッとした暑さとは違う、湿気が多くうだるような暑さが体に堪えます。自粛生活が続き、外に出て活動する機会が減っているために、体が暑さに順応できていない方が多いのでないでしょうか。体が暑さに慣れる「暑熱順化」ができる体になるまでは個人差がありますが、数日から2週間程度かかるそうです。すでに本格的な真夏の暑さが到来してしまった以上、これからは「なるべく暑さを避けて過ごす」ことが必要です。

熱中症警戒アラートが出たら外出は控えて運動は原則中止

総務省消防庁で取りまとめている情報によりますと、1年間の熱中症による死亡者数は平成30年以降3年連続で100人を超えています。中でも毎年、梅雨明け後は熱中症の搬送者数が一気に増えていて、去年のデータを見ても8月1日の梅雨明け直後から気温が上昇し、それとともに熱中症搬送者数が増加していました。今年から全国を対象に「熱中症警戒アラート」が運用されています。熱中症警戒アラートは「暑さ指数」を基に発表されており、気温だけでなく、湿度や日差しの強さ、人の体と外気の熱のやりとりに着目した情報です。

発表された場合は

①不要不急の外出を控える

②涼しい場所で過ごし、喉が渇く前に水分補給を

③家族や身の回りの人と声を掛け合う

④屋外や空調のない屋内のスポーツは原則中止・延期

となります。

去年のデータを見ると、東京では8月1日の梅雨明け直後から気温が急上昇し、試行中だった熱中症警戒アラートが8月9日から18日にかけて連日発表されていました。この期間は全国的に暑く、全国の死者数も急増していました。

この夏の気温は全国的に平年よりも高い予想が出ていて「猛暑」が懸念されています。熱中症警戒アラートをメールに届くように登録をしておくと、自分の対象地域に発表された際にすぐに確認できて便利です。アラートが出た場合は、屋外や空調の悪い屋内の運動は原則禁止レベルとなります。梅雨明け後は多くの地域が対象に入ってきますので、情報を入手しやすくして、適切な対策を心掛けるようにして下さい。

環境省 熱中症予防情報サイト
環境省 熱中症予防情報サイト

日中の活動を避け、なるべく朝か夜を選んで

一年で一番暑い時期に入り、屋外の活動やスポーツは原則中止というレベルの暑さとなる日が増えてきます。予定をずらせるなら、なるべく気温が低めの日に変更したり、朝や夜の時間帯を選ぶように心がけてください。室内でも昼夜気にせずエアコンを使用して、涼しい中でお過ごしください。熱中症アラートが発表されていない日のスポーツも、暑さに気をつけながら、時間帯を選んで行ってください。例えば、運動に慣れている方でも、早朝に無理のないレベルのウォーキングを行う、走り慣れている方でも、30分以内のランニングするレベルに留め、万全な暑さ対策が必要です。

・帽子、涼しい服装を

・保冷剤や凍らせたペットボトルを持っていく

・コースにある水道で足や腕に水をかける

・日陰など涼しいコースを選ぶ

私は外出時には濡らして使えるスカーフやタオルを首に巻いたり、保冷剤をバンダナに巻き付けて首に巻いたりして対策をしていますが、汗をかく量が断然変わり、とても効果を感じています。自分に合う熱中症対策を探して、心掛けてみて下さい。

とにかく、少しでも気分の悪さを感じたら、早めに涼しい場所に移動して水分や休憩をとるようにしてください。特にスポーツの指導者や屋外の作業の管理者の方々、毎年死者が出てしまうほどの災害級の暑さに、適切な判断をお願いします。

[参考]

総務省消防庁

環境省熱中症予防情報サイト