3月になり、各地で山菜が旬をむかえています。この時期は山菜採りに出かける方も多いと思いますが、野山に出かけなくても、近所の土手や公園、自宅の庭などで比較的簡単に採れるのが、ふきのとうです。ところで、ふきのとうは、ふきのつぼみですが、あの、ブーケのような形のふきのとうが成長すると、あの、葉の大きなふきになるのでしょうか? つぼみであるふきのとうの姿と、成長後のふきの姿。それぞれの形を考えると、ちょっと結びつかないのですが、実際はどうなのでしょうか。

ふきのとうの旬は2~3月。地面から顔を出す姿に春の到来を感じる

3月も中旬になると北国では、まだ雪が残る地面から、ふきのとうがポコポコと顔を出します。わざわざ山菜取りに出かけなくても、街のあちこちで見かけるふきのとうの姿は、気温が低い北国にも、ようやく春が訪れたことを感じさせてくれます。

ふきのとうは、ふきのつぼみです。天然ものの旬は2~3月。日本の南側の地方では1月下旬から採れるところもあります。桜前線と同じように採れる時期がどんどん北上し、北国では雪解けのころに旬をむかえます。

定番の天ぷらは春の味
定番の天ぷらは春の味

選び方:あざやかな緑色で、葉が開いていないものを選ぼう

ふきのとうは鮮度が重要です。時間がたつとアクが強くなり、苦味やえぐみが増してしまいます。選ぶときは、葉が閉じていて、つぼみが硬いものを選びましょう。少し開いていて、中の花芽がほんの少し見えるくらいまでが、食べごろです。

地面から顔を出して、葉がパッと四方に開いているふきのとうの姿は、まるでブーケのようにかわいらしいですが、葉が開ききっておらず、つぼみが閉じているものを選びましょう。

葉の緑色があざやかで、ツヤがあるものが新鮮です。根元が黒ずんでいたり、傷があるものは避けましょう。

保存をするときは、湿らせた新聞紙でふきのとうをくるみ、新聞紙ごとポリ袋に入れて冷蔵庫へ。1~2日は保存することができます。

ふきのとうはほろ苦い風味が特徴ですが、苦味が苦手な場合は、熱湯に塩少々を加えてさっと茹で、冷水にさらしてアクを抜きます。このように下準備をしてから天ぷらなどに利用しましょう。

ふきのとうが成長して、ふきになるわけではない

ふきのとうは、ふきのつぼみですが、ふきのとうがそのまま成長して、ふきになるわけではありません。2~3月に、先にふきのとうが出てきて、その後、4~6月に、別のところからふきが出てくるのです。したがって、ふきのとうを採らずに成長を待っていても、ふきにはなりません。ふきが生えてくるころには、伸びきったふきのとうは茶色くなって枯れてしまいます。

ふきは地面の下に伸びている地下茎から生えてきますが、胞子ではなく、種子でふえる植物です。雌株と雄株があり、雌株には糸のようなめしべがあり、雄株には黄色い花粉がついています。閉じているふきのとうの中を見て、糸状のめしべがあり白っぽく見えたら雌株、黄色っぽく見えたら雄株です。雌株は受粉した後、ぐんぐん成長し、高さが50cmほどにもなります。そして、タンポポのように白い綿毛を飛ばして種を運び、ふきになることなく、枯れてしまいます。

ふきのとうは、ふきの花ですが、花と葉柄が、別々の時期に別々のところから出てくるなんて、おもしろい植物ですね。

参考

『もっとからだにおいしい野菜の便利帳』 高橋書店

旬の食材百科:フキノトウ

JAグループ福岡:フキのとう 雄と雌があるの?

ふきのとうと、ふきは、別々に出てきます
ふきのとうと、ふきは、別々に出てきます

ふきのとうがおいしい季節です。天ぷらやふきみそなど、春ならではの味わいをすでに堪能している方も多いのでは。山菜は独特の苦味をともなうことが多く、その苦味こそが、私たちの体を冬から春へと目覚めさせてくれるといいます。北国もそろそろ雪解けが始まります。新鮮な山菜を味わって、春への準備としたいものですね。

北国のふきのとう。雪どけが待ち遠しい
北国のふきのとう。雪どけが待ち遠しい