街のイルミネーションが美しい季節になりましたね。本格的なクリスマスシーズンを控えたこの時期のイベントといえば、毎年11月第3木曜に解禁日を迎えるボジョレーヌーヴォー。今年は明日11月19日です。

今回は、ボジョレーヌーヴォーの楽しみ方と、ボジョレー地区で多く栽培されているぶどう品種「ガメイ」の知られざる魅力についてご紹介します。

ボジョレーヌーヴォーに解禁日がある理由

ボジョレーヌーヴォーは、フランス南部・ブルゴーニュ地方のボジョレー地区で、その年に収穫された「ガメイ」という赤ワイン用のぶどう品種からつくられる新酒ワイン。「ヌーヴォー」は、「新しい」という意味になります。熟成期間はごく短く、果実味があるフレッシュな味わいが特徴です。

もともとはボジョレー地区の秋の収穫を祝う新酒でしたが、やがてパリをはじめ他の地区でも人気となり、早出し競争が勃発。そのため、品質の低下を防ぐ目的で解禁日が設けられるようなったのです。

気になる2020年のボジョレーヌーヴォーの仕上がりは、理想的な天候が続いたおかげで、素晴らしい出来が期待されているとのこと!

オリーブにチーズ!この季節ならではの楽しみ方を

現在のボジョレーヌーヴォー最大の輸出先は日本です。時差の関係で、フランスよりも約8時間早く楽しむことができます。日本でも風物詩として根付いているボジョレーヌーヴォーですが、本場フランスではごくカジュアルに楽しむのが定番のようです。アルコール度数が低めでクリアな果実味が持ち味なので、軽く冷やすとフレッシュさが際立ち、より美味しく飲むことができます。パテやチーズ、ドライフルーツなどを用意して気軽に楽しみたいですね。

合わせてみたいのが、10月10日から翌1月31日まで期間限定で販売される「新漬けオリーブ」。小豆島で収穫された黄緑色のオリーブを浅漬けにした、フレッシュなほろ苦さにワインがすすみそうです。

チーズでは、秋の訪れとともに姿を現す「モン・ドール」はいかがでしょうか。フランス・ジュラ山脈のモン・ドール(黄金の山)一帯でつくられるウォッシュタイプのチーズで、モミの木の樹皮が巻かれているのが特徴です。熟成が進むとクリームのようにトロトロになるので、スプーンが必要なほど。ウォッシュタイプながらクセは少なく、なめらかでクリーミーな味わいは格別です。チーズ好きは、ぜひお試しを。

世界のワイン通がとりこに!再評価される「ガメイ」の魅力

「ガメラー」という言葉をご存知でしょうか?食のナチュラル志向などから、赤ワインも軽めが世界的なトレンドとなった近年、注目を集めているのが「ガメイ」なのです。フレッシュでベリー系の香りを持ち、ライトボディの赤ワインができるぶどう品種として人気となり、「ガメラー」と呼ばれる熱狂的なファンも出現。同じブルゴーニュ地方の人気品種で高級ワインをつくり出す「ピノ・ノワール」をしのぐ勢いなのだとか。

ボジョレー地区の北部には、格上の「ボジョレー・ヴィラージュ」が位置しています。そのなかの、さらに村名表示が認められる10村「クリュ・デュ・ボジョレー」は、ボジョレー地区で特に品質の高いワインがつくられるクリュ(区画)として注目を集めています。代表的な銘柄は、力強くスパイシーな味わいのモルゴン、華やかで芳醇な香りのムーラン・ナ・ヴァンなど。フィリップ・パカレをはじめとした自然派の著名な造り手や、名門の新たな参入などもあり、ワイン通を魅了する逸品を生み出しています。

ボジョレーヌーヴォーが浸透している日本では、ボジョレー(=)早飲みのフルーティーな新酒ワインというイメージを持つ人が多いのではないでしょうか。ボジョレー地区はヌーヴォーだけではなく、コストパフォーマンスにも優れた長期熟成可能なワインを生み出しているのですね。風物詩のボジョレーヌーヴォーを楽しんだ後は、クリスマスシーズンにクリュ・デュ・ボジョレーを味わってみてはいかがでしょうか。

参考文献

君嶋哲至『ワイン完全ガイド』池田書店

参考サイト

ENOTECAonline

一般社団法人 日本オリーブオイルソムリエ協会