10月も下旬に入り、寒さが増してきましたね。街のあかりがより美しく感じられる季節が、間もなくやってきます。ろうそく、ランプ、ガス灯、電灯、そしてLED照明。人々の暮らしを明るく灯し、未来を切り開いてきた「あかり」。今回は「あかりの日」についてご紹介します。

エジソンの発明から140年。あなたが思う「あかり」とは?

1879年10月21日、アメリカの発明家トーマス・エジソン(1847~1931年)が、世界初の実用的な白熱電球を完成させました。10月21日の「あかりの日」は、エジソンの偉業を称えて1981年に制定された記念日。現在、照明関連の一般社団法人3団体(照明学会、日本照明工業会、日本電気協会)は、「照明文化の向上による豊かな社会の創造とエネルギーの有効利用」を目指して活動しています。

「あかり」は、まわりを照らす明るい「光」、電灯や灯火などの「光源」といった意味で使われることが多いようですが、「あかりの日」を記念して行われる「全国小学生ポスターコンテスト」では、子どもたちが感じ、考える多彩な「あかり」の表現に驚かされます。今年は東京スカイツリー5階フロアにて入選作品の展示があり、「あかりの日 ホームページ」でも公開されています。ぜひ、色彩豊かなあかりの世界をご覧ください。

あかりの日「第20回 全国小学生ポスターコンテスト2020」

日本の「竹」が使われていた!世界を変えた白熱電球

白熱電球の実用化には、日本が重要な関わりをもつことをご存知でしょうか。点灯時間をより長くするフィラメント(電流を流す細い線)の素材を探すために、エジソンはあらゆる実験を行いました。そのなかで、日本の京都でとれる良質な竹に辿りつき、竹製フィラメントの電球を製造して世界中に輸出したのです。最初に、電気の明るさによって人々の暮らしを一変させたのは、この竹製フィラメントの電球だったのですね。

照明の技術は、より強く安定した明るさを求めて発展していきました。ろうそくの炎、石油ランプ、ガス灯、そして白熱電球による電灯へと光源が変化し、部分的に闇を照らすことから、徐々に広い範囲を明るさで満たすことに成功するのです。照明技術の進化は、作業効率の向上と労働時間の延長につながり、飛躍的な生産性の向上をもたらしました。明るさは豊かさの象徴となったのですね。

20世紀に入ると電気による照明が普及し、電力の大量消費時代を迎えます。そして21世紀の現在は、生活の豊かさや快適さと省エネルギーが両輪となった環境の実現が求められているのです。

照明の2020年問題。「あかり」も新しい生活様式へ

消費電力の削減に欠かせない LED(Light Emitting Diode)は、日本語では「発光ダイオード」を意味します。第1世代のろうそく、第2世代の白熱電球、第3世代の蛍光灯に続いて、LEDは第4世代のあかりといわれています。電気を流すと発光する半導体の一種で、1962年に発明されました。当時は赤色に発光するLEDのみでしたが、1960年代に黄緑色のLEDが開発され、表示用の光源として実用化されました。1980年代後半から1990年代に青色LEDが開発されるに至り、照明用光源として注目されるようになったのです。2014年度のノーベル物理学賞を受賞した青色LEDの実用化には、多くの日本人が貢献したことも知っておきたいですね。

2013年10月に本市・水俣市で開催された国際会議で「水銀に関する水俣条約」が採択、2016年2月に締結されました。この条約は、水銀及び水銀化合物の排出を削減して、健康と環境を保護することを目的としています。この条約が「照明の2020年問題」に影響がある理由として、蛍光灯などに水銀が使われていることが挙げられます。

日本では環境問題への配慮と省エネを推進する立場から、LEDなどの次世代照明の導入を推進しています。それを受けて、大手照明メーカーは蛍光灯器具や水銀ランプの生産終了を発表しており、2020年を目処に照明の環境が変わることが予想されるのです。市場に出回る照明はLEDが基本となって、蛍光灯は手に入りにくくなり、やがて交換もできなくなるといわれています。あかりの世界にも、新しい生活様式への切り替えが求められているのですね。

「あかりの日」委員会では、LEDをはじめとしたより良い照明のあり方について情報を発信しています。自宅の照明についてあらためて考え、見直す良い機会にしたいですね。

参考サイト

一般社団法人 照明学会

大塚商会