日を追うごとに秋が深まっています。運動会・紅葉狩り・旅行などイベントの多い秋ですが、山の標高の高いところは秋色に染まってきました。紅葉前線はこの先徐々に麓へと進んで行きそうです。今年の紅葉は全国的に平年並みか遅めの予想で色づきはゆっくりとなりそうです。紅葉のメカニズムや今年の紅葉の傾向を詳しくまとめてみました。

紅葉前線は寒いところから

紅葉前線はサクラ前線とは逆に北から南に南下し、また標高の高い山から麓におりて行く傾向があります。紅葉前線は1日におよそ20キロメートルの早さで南下します。紅葉の平年日は仙台が11月18日、東京が11月27日、大阪が12月1日となっています。北関東や中部地方の山沿いは冷え込みが早いこともあり、長野は東北地方より南に位置しながらも色づきが早く、平年日は11月7日です。もっとも早く紅葉が始まるのは、北海道の大雪山系で、今年もすでに紅葉前線がスタートしました。9月26日には初冠雪も観測し、山頂は雪の白、中腹は紅葉の赤や黄色、そして麓はまだ緑の木々と「三段染め」の風景となっています。

紅葉のしくみ

紅葉は秋になって一気に冷え込むと色鮮やかになるといわれています。まず、気温がぐっと下がることが大事で最低気温が8度以下くらいになると色づきはじめ、5度以下くらいの日が続くと急に進みます。だらだら続くことはあまり良くなく、寒気がどっと入ってきたときのように、寒い日が続くときれいに紅葉します。植物の葉の色は、おもに緑のクロロフィル、黄色のカロチノイド、赤のアントシアニンの3つからなっています。光合成が盛んな春から夏にかけては、ほとんどクロロフィルで占められていて、葉は緑色をしています。ですが、秋になって気温が下がってくると、①「光合成があまりできなくなること」②「空気が乾燥し、冬に葉っぱをつけたままだと水分を出し過すぎて良くない」という理由から、木は葉っぱを落とす準備をはじめます。すると、葉の中の糖分がクロロフィル(緑)を分解してカロチノイド(黄)やアントシアニン(赤)が多くなり、葉が色づきはじめるのです。

紅葉が美しくなる気象条件は主に以下の3つとなります。

・昼と夜の寒暖の差が大きい

・夏から秋にかけての日照時間が多い

・台風による葉の痛みが少ない

今年の紅葉の傾向は?

台風がくると葉の色づきが悪くなると言われていますが、今年は9月に台風が上陸しておらず、葉っぱのコンディションはそれほど悪くないかもしれません。また、紅葉の見頃は秋(9月~11月)の気温が低いと早まり、高いと遅れます。最新の3か月予報によりますと、全国的に10月の平均気温は平年並みか高く、11月は平年並み、12月は平年並みか低い予想となっており、全国的に平年並みか遅めの予想で色づきがゆっくりとなりそうです。

なお、北海道ではすでに色づき始めていますが、東北や関東北部は10月中旬から下旬頃、関東南部から西の各地は11月下旬に見頃を迎えるところが多いでしょう。