「盂蘭盆会」亡くなられた方々を供養するごとく「蓮の花」が開きます 〈tenki.jp〉|AERA dot. (アエラドット)

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「盂蘭盆会」亡くなられた方々を供養するごとく「蓮の花」が開きます

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大賀蓮

大賀蓮

「盂蘭盆(うらぼん)」とは古代インドのサンスクリット語のウランバナの音を当てたものです。釈尊のお弟子のひとり、目蓮尊者が餓鬼道に苦しんだ亡母を救いたいと、お釈迦様に授けられた秘法を修し、飲食の供養をして母を救い上げたとされる『盂蘭盆経』に由来しています。先祖がそれぞれの家へもどるといわれる「お盆」。東京を中心とした地区では7月のこの時期に行っています。7月13日の夕刻「迎え火」を焚いてお迎えし、15日「盂蘭盆会」でご供養したあと、16日の夕方に「送り火」で送ります。「盂蘭盆会」が終わるとそろそろ梅雨も明けていきます。季節は進み蓮池では花が見ごろをむかえます。


お盆のころに咲く蓮の花。そういえば仏様はなぜ蓮台の上に坐っているの?

亡くなられた方々へ思いを馳せ霊を慰める行事は、生きている私たちにとって心休まるものです。7月から8月にかけて花の時期を迎えるのが蓮です。仏様が座る蓮華座(れんげざ)は文字通り蓮の花がモデルとなっています。その由来は、ヒンドゥー教で宇宙を創造する神ブラフマーが、最高神ビシュヌのお臍に開いた蓮華から生まれた、という神話にあるそうです。またインドには蓮にまつわるさまざまな神話が伝えられています。その中でも仏教を創始されたお釈迦様の教えが蓮をとおして語られているのは良く知られています。

「蓮の葉は水をはじき、決して水が付かないことから、貪欲に執着しない」

「泥水の中からでも蓮は真っ白の華を咲かせることから、決して悪に染まらない」

仏教の奥義である心のあり方は目には見えませんが、蓮の花の美しさはひと目で誰にでも理解することができます。水面から真っ直ぐに立ち上がって花を開かせ、水を玉にして湛える葉は丸く大きく広がります。全ては水の上、近づいて手にとってみたくても私たちをかんたんには寄せ付けません。岸辺から広がる蓮池を眺めているとひとつひとつの蓮の花にはあたかも仏様がいらっしゃるように見えてきます。蓮にはこの世のものとは思えない魅力を感じるときがあります。


「蓮」は1億年前から存在していた! 2000年かけて華を咲かせた蓮もある!

驚きました。お釈迦様の頃の話でもずいぶんと昔から蓮はあったのだと思いますが、なんと白亜紀中期(約1億年~8000万年前)の蓮の葉の化石が、ポルトガルやフランス、シベリアなどから発見されているのです。また白亜紀末期のものがアラスカや東南アジアから発見されたことで、地球上の広い範囲で蓮が自生していたことがわかっています。日本でも1952年(昭和27年)に福井県で白亜紀後期の蓮の葉の化石が発見されています。

発見は蓮の葉ばかりではありません。1951年(昭和26年)3月には千葉県千葉市検見川市の泥炭層から蓮の実が発見され、調査の結果今から約2000年を遡る弥生時代のものとわかったのです。調査をした大賀一郎博士は驚くことに、この蓮の実の中からたった一粒を発芽させることに成功しました。2000年の間泥炭層の中で眠っていた蓮の実が発芽することを誰が想像できたでしょう。大切に育てられた実は翌年7月に見事な蓮の花を咲かせたのです。

大賀博士の名前をとった「大賀蓮」は「世界最古の花」として根分けされ、日本のみならず世界中で2000年保ち続けてきた命の花を開かせています。植物の生命力の強さには心を大きく揺さぶられます。


私たちの生活に一番身近な蓮は? それは食べる蓮ですが…

仏様の蓮台や蓮の花の美しさとはなかなか結びつきませんが、私たちにとっての蓮はとても身近でしょっちゅう目にしています。それはレンコンです。漢字で書けば「蓮根」まさに蓮の根っこです。シャキシャキとした歯ごたえと風味は、煮もの、酢の物、天ぷらといったお総菜としてどこのお家でも食卓の定番になっていることでしょう。蓮は根っこばかりではなく、花、葉、実とすべてが食べられる植物だったのはご存じでしたか?

中国は漢の時代に蓮は万病の薬、不老長寿の薬として珍重されていたそうですし、現在でも漢方に用いられています。日本食品標準成分表でレンコンを調べると、豊富なでんぷん質、ビタミンC、カルシウム、マグネシウムなど、根っこだけでも滋養と薬効が期待される成分が確認できます。

お菓子では蓮根餅や蓮の実の甘納豆が思い浮かびます。柔らかい葉を刻んで炊きこんだごはんが美味しいそうです。でも柔らかい葉を手に入れるのは、なかなか難しそうです。

レンコンを食べるとき、あの美しい花を思い浮かべることはありませんが、あの美しさを秘めた根っこを食べているってなかなか夢があっていいと思いませんか。

盂蘭盆会、仏の世界に蓮台をおいて私たちのところへ戻ってきてくれるご先祖さまや精霊さまを、蓮の花を活けてもてなす、なんてちょっとステキでオシャレじゃありません?

参考:

『蓮 ハスをたのしむ』北村文雄監修、(株)ネット武蔵野

『蓮』「ものと人間の文化史 21」阪本祐二、法政大学出版局


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