6月の花〜紫陽花

暦の入梅も迎えて、暑さも一区切り…いよいよ梅雨前線が日本列島を覆いはじめる気配です。ジメジメ鬱陶しいこの季節に見ごろを迎える紫陽花は、雨が降るごとに色鮮やかになります。自然の恵みは目と心を潤してくれますね。今年は眺めるだけでなく、日々の生活に取り入れてみませんか?

※写真は筆者撮影

一雨ごとに色を深める紫陽花
一雨ごとに色を深める紫陽花

紫陽花をカバンに忍ばせて

お懐紙というとお茶などの伝統的なお作法に使うもの…そう思っている方も多いのではないでしょうか?和紙で出来ているので水分にも強く、実用的なお懐紙は一束鞄に入れておくととても便利です。お菓子をのせ小皿代わりにしたり、ちょっとだけマスクを外したい時に挟む…など、あなたの工夫次第で使い方もいろいろ!無地のものもありますが、ここは季節の花・紫陽花柄をぜひ使ってみたいですね。季節を手元に持ち歩いている気分になれ、衛生面でも役立ちます。和物雑貨店や文房具店などでも取り扱いがありますよ。

紫陽花模様のお懐紙
紫陽花模様のお懐紙

緑をひときわ感じる白い紫陽花

青や紫色が多い紫陽花は、雨上がりの緑によく映えて見惚れてしまうものです。本来、最初は白っぽい花が一雨ごとに色を変えて行くこと言われています。別名に「七変化」があるのもうなずけますね。園芸品種が増え、色を変えずに白いまま咲き続ける紫陽花もあるのですね。七変化の名前から花言葉に「移り気・心変わり」などがある紫陽花ですが、変わらぬ白さは雨を受けて深める緑色にことのほかよく映えます。家々の庭や軒先にひっそりと咲いていることもありますので、お散歩やお買い物の折に見つけてみたいですね。

清楚な印象の白い紫陽花
清楚な印象の白い紫陽花

言の葉で紫陽花を楽しんでみよう

紫陽花を季語の世界から見てみましょう。季語では紫陽花の別名は七変化と四葩(よひら)の2つがあります。品種の違う額の花(がくのはな)の別名は額紫陽花と言いますが、慣れ親しんでいるのは額紫陽花の方かもしれません。額の花というとちょっと古風で趣が増すように感じませんか?

万葉の時代から和歌に詠まれ、江戸時代には芭蕉が、近代では子規を経て現代の俳人へと詠い継がれて来た花です。今年は雨音を聞きながら、俳句や短歌、気ままに詩や散文に徒然なる想いを託してみてはいかがでしょうか。

雨露が光る額の花
雨露が光る額の花

参考・出典

季節の花300 「紫陽花」「額紫陽花」

俳句歳時記 夏  角川学芸出版編