アメリカの伝統的クリスマス映画、「素晴らしき哉、人生!」をご存知ですか? 〈tenki.jp〉|AERA dot. (アエラドット)

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アメリカの伝統的クリスマス映画、「素晴らしき哉、人生!」をご存知ですか?

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描かれるのは、古き良きアメリカ

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「バック・トゥ・ザ・フューチャー」でタイムマシンになったデロリアン

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いよいよ今年も残すところあと1か月。毎年一年がアッという間に過ぎていきますね。振り返れば一年間、様々な事が起こり、一人ひとりがそれぞれに思いを馳せる時期でもありますが、人生、楽しい事ばかりじゃありません、むしろ苦しく辛い事の方が多いものかもしれません。

そんな時、筆者は映画「素晴らしき哉、人生!」を観ると、よし!明日も頑張ろう、来年も頑張ろう、という気持ちになれるのです。なぜ、この映画がアメリカの家庭で毎年観られるようになったのか? そんな事をひもときながら、この名作について考えてみます。


「素晴らしき哉、人生!」

※ネタバレあります

映画ファンの方なら一度は観た事があるのではないでしょうか。1946年製作のフランク・キャプラ監督、不朽の名作「素晴らしき哉、人生!」。

筆者は、観たい観たいと思いながら、なかなか観る機会が無かったのですが、映画配信サービスで気軽に観られると知り、最近初めて観ることができました。

物語は、クリスマスの雪の夜から始まります。ベッドフォードという街の住民たちがジョージ・ベイリーという男を救ってください、と神様に祈っています。このジョージ・ベイリーが、主人公です。住民たちの祈りが通じ、神様が、翼を授けるのを条件に二級天使クラレンスをジョージの助けに遣わすことに。

クラレンスは、ジョージを確実に救うため彼の全てを知るべく、彼の人生を辿っていきます。

ジョージは、少年時代、弟を助けるため、冷たい冬の湖に落ち、片方の耳の聴力を失ってしまいます。また下働きをしていた薬局で、自分の子どもを失い悲しみに打ちひしがれていた薬局の主人が、誤って幼い患者に毒薬を処方してしまうのを目撃し、薬局の主人に怒られながらも、彼の窮地と幼い患者を救います。

青年になったジョージは、父が経営していた住宅融資の会社を継ぎ、大学進学を諦めます。代わりに弟を大学に進学させ、立派な社会人として世間に送り出します。経営するベイリー住宅融資は貧しい人たちに安い利子でお金を貸し、皆が家を建て幸せな生活を送る手助けをし続けます。そんな彼が面白くないのが、貧しい人たちに粗悪な住宅を法外な賃料で貸し、利益を貪る街の権力者・ポッターです。ポッターは様々な策略でジョージを陥れようとしますが、ジョージはそんな彼の策略に屈することはありません。

最愛の妻メアリーとの新婚旅行のために貯めたお金も街の人々の危機を救うために使ってしまいます。その後も様々な困難が彼を窮地に追い込みますが、献身的な妻や彼を慕う住民たちに支えられ、乗り越えていきます。しかし、ついに叔父が紛失してしまった大金8,000ドルをどうしても工面できず、自暴自棄になり、クリスマスの夜、愛する妻や子どもたちに暴言を吐き暴れてしまいます。次から次へと苦難が待ち受ける人生に悲嘆した彼は、とうとう、橋から身を投げようとします。

そこに現れたのが翼のない彼の守護天使、クラレンスです。

彼はジョージの目の前で先に川へ飛び込み溺れます。それは、困った人を助けずにはいられないジョージに自分を助けさせ、自殺をさせないためです。200年も翼を待っていた二級天使クラレンスはくたびれたおじいさん。ジョージは彼が天使とは到底信じられません。この時のためにジョージの人生を勉強してきたクラレンスは、人々を救い続けてきた彼の人生を語りかけますが、それだけではジョージは自殺を諦めません。そこでクラレンスは、ジョージが存在しない世界を見せる事に。弟は冷たい湖で誰にも助けてもらえず存在していません。あの薬局の店主は子ども殺しで刑務所に入り、どん底の人生を送っています。金の亡者・ポッターの開発した街は荒廃しています。ジョージの周りにいた多くの幸せな住民たちが、その世界では変わり果て不幸のどん底に。ひどい世界になっているのです。

それを見たジョージは……?

さぁ、彼はどんな選択をするのでしょうか。


多くの映画作家たちに影響を与えました

実は「素晴らしき哉、人生!」は公開当時はヒットせず、興行的には失敗に終わりました。時はテレビ時代黎明期。ヒットしなかった映画の放映権はテレビ局に安く売られていたため何度も何度もテレビで放映され、人々がジワジワとこの作品の良さに気づき始め、人気に火がついていったそうです。いつしか、この古き良きアメリカを描いた「素晴らしき哉、人生!」は、家族が集まるクリスマスの定番映画となり、テレビ放映が毎年恒例となっていきました。現在ハリウッドで活躍する世界中の多くの映画作家たちも、この映画を観て育ち影響を受けたのではないでしょうか。

筆者はこの映画を観て、最初に思い浮かんだのは、1989年公開のロバート・ゼメキス監督作「バック・トゥ・ザ・フューチャー Part2」です。

主人公マーティは未来の自分の息子をトラブルから救うべく、2015年にタイムトラベルし、息子を救うのに成功して1985年に再び戻ります。すると、何故か自分をいじめていた悪党のビフが街を牛耳っていて、荒廃しきったもう一つの世界が広がっていたのです。マーティは元の明るい世界に戻すため時空を超え奮闘します……。この「もう一つのパラレルワールド」は、「素晴らしき哉、人生!」のプロットとそっくりですね。

戦士やアンドロイドを過去に送り込み、世界を救う少年が存在しない世界にしようとしたり、その少年を助けたりする、SFアクションの大作、ジェームズ・キャメロン監督の「ターミネーター」シリーズも、この作品の影響を受けていると言われています。

「素晴らしき哉、人生!」の、どんな困難があっても希望を忘れず生きていこう、というテーマは普遍的で、いつの時代も人々の心に響きます。自分を犠牲にして周りの人々の幸せを願う主人公ジョージの生き方は、今の時代、改めて私たちに大切な事を問いかけているようです。

今年一年も周りの人たちに感謝し、辛い事もジョージのように乗り越えていけるよう……。

まだ、ご覧になっていない方は、クリスマスの映画観賞にオススメです! 筆者も、今年のクリスマスにまた観たいと思っています。


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