和食の奥深い味わいの立役者、みりんを使っていますか?11月30日「本みりんの日」 〈tenki.jp〉|AERA dot. (アエラドット)

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和食の奥深い味わいの立役者、みりんを使っていますか?11月30日「本みりんの日」

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流山本町まちなかミュージアム

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11月30日は「本みりんの日」。「いい=11 みりん=30」の語呂合わせと、煮物、鍋物、年末年始の蕎麦つゆ、おせち料理など、味醂(みりん)の使用・消費が多くなる時期でもあることから、全国味醂協会によって制定されました。奥深い甘みと滋味は和食の味わいに欠かせない名バイプレイヤー。そして近年、みりんはその高いポテンシャルが見直され、新たな利用法、調理法が開拓されつつあります。


みりんは飲み物?調味料「みりん」の意外なプロフィール

醤油や味噌、米酢などとともに和食の味付けに欠かせない調味料であるみりん。その起源は長らくはっきりしていませんでしたが、近年のアジアの酒類の歴史研究の進展により、中世の室町時代ごろに中国からもたらされた蜜淋(ミーリン)をもとにして、主に琉球王国(現在の沖縄県)で改良が加えられて、より甘い飲み物となったものが発祥であることが明らかになってきました。

寛文年間(1661~1673年)ごろ、この琉球版改良蜜淋が日本本土に「南蛮酒」という名で渡ってきて人気を博すようになり、次第に国内でも類似品の製造が始まったようです。中国の本家蜜淋も先行して伝わっており、これを美淋などと呼んでいたようですが、南蛮酒が一般化するにつれ、琉球由来の南蛮酒が美淋と呼ばれるように。やがて時代を経て「味醂」へと呼び名が変わって定着していきました。料理ではなく、甘いアルコール飲料として上流階級に消費されていたようです。

江戸時代前期までは、現在の一般的なみりんよりもずっと濃い褐色でしたが、文化年間(1804~1818年)、下総国流山(現在の千葉県流山市)で酒醸造を営む相模屋当主、堀切紋次郎が薄い黄金色に澄んだ新しいタイプのみりん「白みりん」を開発し、江戸城下や上方などで評判となり、現在の日本料理で使われる「みりん」の元型が出来上がりました。以降、流山はみりんの大生産地となり、「醤油の野田、味醂の流山」と謳われるようになりました。

そして江戸後期には次第にウナギのたれや、蕎麦つゆのかえしなどの調味料として使われだし、日本料理の基礎を築いていったのです。飲み物としても需要は高く、「類聚近世風俗志(喜多川守貞 天保年間ごろ ※明治時代に編集出版)」には、



京坂夏月には夏銘酒柳蔭と云を専用す 江戸本直しと号し美淋と焼酎を大略半々之に合せ用ふ

「ほんなほし」「やなぎかげ」ともに冷酒にて飲む也



とあり、焼酎と合わせたカクテルが、現代の夏の冷たいビールのように好まれていたことが記されています。みりんには麹から生成されたビタミン類が豊富で、夏バテにも効果があったともいわれます(ちなみに「本直し」は、「飲用みりん」という流通名でメジャーではないものの、安いアルコール飲料として近代から戦後にも飲まれていましたが、酒税の引揚げとともに廃れていったという経緯があります)。現在でも正月に飲まれるお屠蘇は、複合生薬の屠蘇散をみりんに浸したものです。


「日本酒と砂糖」では代用できないみりんの優れた調理効能とは

みりんは、日本酒がうるち米を使用して作られるのに対し、原料に糯米(もち米)を用います。白米よりも精米歩合を上げた糯米を蒸し、米麹(うるち米に糸状菌を繁殖させたもの)とよく混ぜ合わせます。そして、米焼酎の樽に投入、定期的に櫂で混ぜながら一ヵ月半~数ヶ月ほど醸成させると醪(もろみ)になります。その後圧搾して醪を絞り、みりん液とみりん粕(こぼれ梅)に分離させて完成です。

醸成の過程で、麹菌によってもち米のデンプンが糖になり甘みに、蛋白質がアミノ酸に分解されて旨みに変化します。完成したみりんは40%以上の糖分と、一般的な日本酒と同程度の14%ほどのアルコール度数を含有します。

日本酒醸造のプロセスとの大きな違いは、日本酒の場合は分解されて出来た糖分がさらに消化発酵されてアルコールと二酸化炭素に変わるのですが、みりんの場合はあらかじめアルコールを混ぜるために、生成された糖分の多くは発酵消費されず、甘いまま保持されるところにあります。

ちなみに、「みりんが甘いお酒ならば、料理酒と砂糖を入れれば同じ効果が得られるのでは?」と考えがちですが、そうはいきません。砂糖はサトウキビやテンサイダイコンなどから抽出精製する蔗糖(しょとう)ですが、みりんの糖分はグルコース(ブドウ糖)を主体として、ニゲロース、マルトース、トレハロース、イソマルトトリオース、さらにブドウ糖類のオリゴ糖などで構成され、その味わいはよりまろやかで深みがあり、また、照り焼き・蒲焼などで焼いた際のメイラード反応が蔗糖よりも豊かで、照りやツヤ、矯臭(きょうしゅう)効果も高いからです。

各種非結晶性糖類、高分子オリゴ糖を多量に含むみりんは、さまざまな調味料の中でも、照りツヤ効果でもっとも優れていることも判明しています。

乳酸、クエン酸、コハク酸、フマル酸などの有機酸も多種類含まれるうえ、煮物などでダシと合わせた際には、みりん自体のアミノ酸が、ダシのグアニル酸やイノシン酸などのアミノ酸と相乗効果を生み出し、より強い旨みを引き出すことも出来ます。

さらにみりんのアルコール分子は成分変化によって小さくなっており、食材への浸透が速やか、といいことずくめ。

みりんを炊飯の際に足して炊きますと、非常に美味しく炊き上がるのでお勧めです。

酒類販売免許の問題や価格などの問題から、いわゆるみりん風調味料といった、みりんの味に似せた類似品も存在し、それらはそれで使い勝手も良く手軽で、役立つものではありますが、ひときわ美味しい和食を作ってみようという方には、本みりんはぜひとも常備して使いこなしたい必需品ではないでしょうか。


みりん、新たなステージへ。白みりん発祥の地ではじまる試み

さて、江戸時代に「白みりん」発明という革命を起こした相模屋。現在は「流山キッコーマン」として、世界最大の醤油メーカー・キッコーマンのグループ化をし、「万上みりん」ブランドを今も世に送り出していますが、そうした歴史的経緯もあって、みりんの生産量は流山のある千葉県が全国の半分ほどを占めてダントツの一位です。

流山で古式製法を守り、「流山本みりん」を製造している窪田酒造や、リッツ・カールトンホテル東京のバーでカクテルとして使用されている最高級白みりん「最上白味醂」を製造する香取市の馬場本店など、料理に使ってもよし、飲んでもよしのみりんが作られています。昭和の飲用みりんは「安酒」のイメージだったのが、今や上品で上質な、さしずめ日本のポートワインとして、見直されつつあります。

そうした流れを受けて、日本最大のみりん産地である流山では、近年みりんによるバターケーキ、シロップなどのスイーツや、ピザソースなどにアレンジし、歴史的建造物を改装した店舗で提供、「みりんの町流山」のアピール活動をしています。みりんグルメを紹介するガイド冊子「やっぱりみりんdeしょ」も発行され、流山みりんグルメ巡りのナビゲートも用意されています。

寒くなってくるこれからの時季。みりんで美味しい肴を作り、厳選されたみりんで一杯。なんていかがでしょうか。

(参考)

本みりん研究所

日本における蜜淋製造技術の改良と南蛮酒

流山、みりんde繁盛を 市民グループがグルメ冊子制作


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