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街中とは違う山の天気の特徴とは?

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8月に新しい休日である「山の日」が加わってから、今年で4年目です。登山ブームは昭和の時代から何度かあると聞きますが、令和の時代になった今、その裾野は子供から引退した世代まで、広がっているように感じます。私も山好きの気象予報士の一人として、ぜひ多くの人に山の魅力に触れてほしいと思います。
残念なことに、山の事故がたびたび起き、その度にニュースを騒がせています。事故の要因はいくつも考えられますが、その中でも見過ごせないのが「天気」に関するものです。より安全に、より素敵な景色に出会うために、天気の良い日に登ることが登山の原則です。
そこで今回は、山の天気の特徴とその注意点を、気象予報士の視点でご紹介していきます。

高山は真夏でも寒い

高い山に登ったときにまず気が付くのは、平地に比べてかなり気温が低いということです。一般的に、100m標高が高くなるごとに、約0.6℃~1.0℃ずつ気温が下がるといわれています。標高3776mの富士山の山頂では、8月の平均気温が6.2℃と、東京の2月の平均気温と同じくらいになりますので、真夏であっても防寒着は欠かせない装備です。標高の高い場所は冬の訪れも早く、3000m級の山々が連なる北アルプスでは、10月に入ればいつ雪が降ってもおかしくありません。
寒さにより体温が低下して低体温症となり、身動きがとれなくなることで起こる遭難事故も毎年数多く発生しています。私は日帰りの登山であっても、万が一に備え、毎回少し念を入れすぎだと思われるほど、防寒装備を持っていくようにしています。皆さんも、寒さをしのげるものは入念に準備しておくことをおすすめします。

平地では考えられないほどの強風が吹く

通常、平地では、周囲の山が衝立となって風をさえぎることで、普段は強風が吹きにくくなっています。対して、山の上は周囲に風をさえぎるものが少なく、吹きさらしの状態です。冬よりも夏の方が上空の風が弱い傾向がありますが、それでも標高が高いほど強い風が吹きやすいことには変わりありません。また、台風や低気圧が近づけば、平地よりも先に天気が荒れやすいという点も留意しなければいけません。一般的に、風速が1m/s大きくなれば、体感温度は1℃下がるといわれています。体が濡れていれば、体感温度はさらに下がり、凍えるほどになることもあるでしょう。このため、登山の際は、防寒の準備を入念にするようにしてください。

急な雷雨の頻度が非常に高い

「早出早着」という言葉があります。これは、登山ではなるべく早く出発して、なるべく早い時間に目的地に到着する、あるいは下山する、ということを意味する登山者のスローガンです。なぜこのようなスローガンがあるのかというと、特に夏山では、毎日のようにどこかで「にわか雨」や「雷を伴った夕立」が起きているからです。
夏の「にわか雨」は、地上の気温が高くなり、温かい空気が上昇することにより発生します。これに加えて、山地では、山に風がぶつかることで上昇流が起きやすくなります。登山中には、街中などの平地とは比べものにならない頻度で急な雨や雷雨に遭遇しますし、実際に落雷事故も発生しています。夏山登山を楽しむ際は、雷雨の可能性があるのかどうかを知っておくことはとても大切なことだと言えるでしょう。

雲より上に立てばあたり一面の雲海

もちろん、山の上ならではの喜びや感動もあります。そのひとつが雲海です。雲海とは、眼下に広がる雲が、まるで大海原のように見える現象です。雲よりも高い山は頭を出し、まるで海に浮かぶ小島のように見えます。
山の上で雲海が見えているときは、麓では雲に覆われていたり、濃霧に包まれていたりして、日が差していないことがほとんどです。ですから、麓の街の天気予報では「曇り」とか「雨」とお伝えすることになってしまいます。そのような予報であっても、山より高い空が晴れ渡っていれば絶景の雲海が望めるのですから、良い意味で「予報に裏切られた」と感じる方も多いでしょう。登山したからこそ出会える景色を、ぜひ楽しんでくださいね。


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