「かっこ面白い古語と俳句の世界」──〈其の六〉

2019/07/29 17:00

令和になって迎えた初めての夏は、暦のうえでは7月23日からの二十四節気「大暑」を最後に終わろうとしています。平成最後の夏もさまざまな出来事がありましたが、“令和初の夏”は、みなさんにとって記憶に残る夏になりましたか? さて、松尾芭蕉は「松のことは松に習へ」という言葉を残しています。これは、先入観を捨てて素直にものごとに接すれば、そこに本質が見えてくる、という意味だそうです。つまり、見慣れたものでもよく観察すると、新しい発見があるということ。 俳句はよく3Dの世界に例えられます。対象を縦横斜めに見たり、縦に割ったり、横に切ったり……。俳句を通して言葉遊びをすることで、そうした一辺倒でないものの見方が身につくかもしれませんね。 今回も、俳句をたしなまなくても、知っているとちょっと得意、おまけにボキャブラリーも増える、そんな古語の世界を少しだけご紹介しましょう。

読めると楽しい古語「け・こ・さ 行 名詞編」 俳句を完成させるためには、推敲(何度も考え直すこと)が必要であり、句の格式を高める言葉選びの一つが古語なのです。 古語には、名詞・動詞・副詞など、さまざまな言葉がありますが、まずは簡単な名詞からご紹介しています。 今回は「け・こ・さ」の名詞の読み方です。レッツ・チャレンジ! Q1 「健気」  *ヒント:3文字 Q2 「今日」  *ヒント:2文字 Q3 「虚空」  *ヒント:3文字 Q4 「去年」  *ヒント:2文字 Q5 「谺」   *ヒント:3文字 Q6 「東風」  *ヒント:2文字 Q7 「言祝ぎ」 *ヒント:4文字 Q8 「小叢」  *ヒント:2文字 Q9 「今生」  *ヒント:4文字 Q10 「小波」  *ヒント:4文字 答え合わせで古語の意味を覚えよう! 見慣れた漢字が多数ありましたが、読めましたでしょうか。 答えと意味は以下の通りです。 A1 「健気」 読み:けなげ 意味:勇ましいこと 〈鰯雲小舟けなげの頭をもたげ〉西東三鬼 A2 「今日」 読み:けふ(きょう) 意味:本日。現在 〈けふもいちにち風をあるいてきた〉種田山頭火 A3 「虚空」 読み:こくう 意味:空。大空 〈滴りのきらめき消ゆる虚空かな〉富安風生A4 「去年」 読み:こぞ 意味:昨年。去年。「去年今年」と書いて冬の季語 〈去年今年貫く棒の如きもの〉高浜虚子 A5 「谺」 読み:こだま 意味:樹木に宿るたましい。やまびこ。木霊、木魂とも 〈手をうてば木魂に明くる夏の月〉松尾芭蕉 A6 「東風」 読み:こち 意味:東から吹く風。春風。春の季語 〈梅東風やくるま座内に児を放つ〉平井さち子 A7 「言祝ぎ」 読み:ことほぎ 意味:言葉で祝うこと。また、その言葉。寿とも 〈ことほぎに人来てゐたる朝寝かな〉富安風生 A8 「小叢」 読み:こむら 意味:森や林。小群とも 〈小叢より富士見えて夏果てしかな〉飯田龍太 A9 「今生」 読み:こんじょう 意味:生きている、この世 〈今生と思へぬ声に雁渡る〉大野林火 A10「小波」 読み:さざなみ 意味:小さい波。細波、漣とも 〈小波の如くに雁の遠くなる〉阿部みどり女 (参照:俳句のための古語辞典 株式会社学習研究社/広辞苑/合本俳句歳時記/俳句開眼100の名句 ひらのこぼ・著 草思社)
古語でふくらむ日本語の幅 ── 今回は普段目にする漢字の別の読み方が中心でしたが、いくつ読めましたか? 古語を新しい言語としてとらえるならば、先述したように3Dな言葉のひとつなのかもしれませんね。 「かっこよくて面白い古語の世界」……これからも続きます!お楽しみに。
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