人生100年時代などと言われる昨今ですが、植物の世界に目を向けると、限られたごく短い期間だけ咲く花があります。そろそろ見ごろを迎える蓮の花(はすのはな)も4日間しか咲かない花です。沼などの泥の中から美しく咲く姿は、優れた人材の象徴とされ、「インドでは聖者の花、中国では君子の花」と呼ばれているとか…梅雨明けが待ち遠しいこの時期未明から咲き始める花に会いに、少し早起きして出かけてみませんか?
※蓮の見ごろは6月~8月(品種により異なる)
※「インドでは聖者の花、中国では君子の花」 三渓園㏋より引用

陽に透ける蓮の花
陽に透ける蓮の花

水辺にすっと立つように咲く「蓮の花」

「蓮(はす)」と「睡蓮(すいれん)」を混同される方もいらっしゃるかもしれませんが、種類が違う花なのです。どう違うかと言うと……。
蓮は水辺に立つように咲きます。英語名をLotus(ロータス)と言い、丸みをおびた花びらは3~4日咲いた後に散らし、種を含んだハチスを残します。ご存知の通り仏教で極楽に咲く花と言われていることから、インドをはじめいくつかの仏教国の国花になっています。これに対し、睡蓮は英語名はWater Lilly(ウォーターリリー)と言い、細長い形の花びらが特徴で、印象派の巨匠・クロード・モネが描いた「睡蓮」に描かれたように、水際ぎりぎりにふわっと浮かび水面を揺らすように咲きます。一度開いたら閉じることなく、咲き終わると水の中に沈みます。
同じように水辺に咲く花ですが、咲き方や散り方を見分ける際の参考にしてみてくださいね。

すっと佇む姿が美しい蓮
すっと佇む姿が美しい蓮

日毎に咲く時間が変わる?

蓮の花の開花期間は3~4日とお話ししましたが、開花状態によって咲き始める時間が少しずつ違うのも不思議な特徴です。開花1日目、未明5時頃から開き始めた花は少しの間で恥ずかし気に閉じてしまうとか……。2日目は6時頃から咲きはじめお日様が高くなってくるにしたがって花を閉じます。3日目、開いた花は閉じないまま翌日を迎えます。この頃になると花の中心部にハチスが見えるようになり、閉じないまま4日目を迎え花びらを散らしてハチスを残します。それぞれの開花状態を一度に鑑賞するには6時~7時くらいが見ごろの時間になりますね。東京近郊では、上野・不忍池や横浜・三渓園など。関西では、京都府立植物園(京都市)、三室戸寺(宇治市)、唐招提寺(奈良市)など。お近くの名所へ週末の朝、早起きしてみましょうか?
※開花時間については「季節の花300 蓮」を参照しています。

ハチスを携えて命をつなぐ
ハチスを携えて命をつなぐ

原三渓を偲んで三渓園の早朝観蓮会へ

今年、創設者・原三渓の生誕150年および没後80年にあたる横浜の三渓園では、原三渓が蓮の花を好んだことから、例年早朝観蓮会を開催しています。今年の早朝観蓮会は来週7月13日(土)から8月4日(日)までの毎週末の土日に、朝6時~9時に開催の予定です。花を見るだけでなく、蓮の葉を使った「蓮の葉シャワー」、「葉っぱのお面づくり」、「蓮茎ストローのシャボン玉」……と、体験もできるのも嬉しいですね!園内の茶店3店では、早朝観蓮会限定メニューもありますのでお腹を満たして帰ることもできますよ。ご家族・お友達と一緒もよし、ひとりの時間を満喫するのも楽しそうです。詳しくは公式ホームページでご確認ください。
※「蓮の葉シャワー」はタオルや着替えなど準備してのご参加がおススメです。

蓮の葉シャワーを浴びて身も心も清らかに
蓮の葉シャワーを浴びて身も心も清らかに

出展・引用 その他

出典・引用
俳句歳時記「夏」角川学芸出版編
季節の花300「蓮」
三渓園 ホームページ
(詳細は下記リンクより参照)
※三渓園の早朝観蓮会について
料金は入園料のみで参加できます。
食事処「雁ケ音茶屋」、「三渓園茶寮」、「待春軒」の限定メニューは6時~9時まです。

五重塔を背景に早朝の蓮池
五重塔を背景に早朝の蓮池