「知って得する季語」──梅雨シーズン到来!夏の雨の名前を覚えよう

2019/06/01 17:00

令和になって1カ月、いよいよ6月に入りました。二十四節季では6月6日が「芒種」、6月22日が「夏至」を迎えます。芒種とは、禾(のぎ)のある植物を播く、の意味を持ち、田植えが始まり、天候が梅雨めいてくる時期でもあるのです。 さて、沖縄・奄美地域ではすでに梅雨入りをしていますが、そろそろ各地でも梅雨入りのニュースが聞かれる頃なのではないでしょうか。とはいえ、この頃の季節外れの暑さには雨も待ち遠しいですね。 梅雨は、じめじめとした陰湿な季節と思いがち。けれども日本にとっては必要で大事な時季。そこで、今回は梅雨の意味や、夏の雨の季語に関して調べてみました。

「梅雨」の意味と夏の雨の季語 「梅雨」とは、もともと「入梅」という時候の季語であり、暦の上では6月11日か12日、太陽の黄経80°に達したときをいいます。その後約30日間が梅雨の時期とされますが、実際は年や地域で異なり、一般的には6月中旬から7月下旬ころをさします。 古くは「五月雨(さみだれ)」といわれ、江戸時代になって梅雨と呼ばれるようになったそうです。 梅雨の語源は、梅の実の熟すころからとも、黴の生じやすい天候のための黴雨(ばいう)とも呼ばれているそうですよ。 次は夏の雨の名前です。ポピュラーなものから順にご紹介します。 明るさが特徴「夏の雨」 もちろん夏に降る雨のことですが、梅雨の雨ではなく、背景に明るさを感じる雨をいいます。なかでも新緑の季節に降る雨「緑雨(りょくう)」は、ひときわ明るい感じがありますね。 梅雨とは違う? 「五月雨」 旧暦5月に降る長雨をいい、古くから和歌でも詠まれてきました。五月(さつき)の「さ」と水垂れ(みだれ)を結んだ言葉だといわれています。梅雨が時季を含んだ言葉であるのに対して、雨そのものをいいます。 たくさんの「梅雨」の季語 梅雨を含んだ季語は多くあります。入梅前の梅雨は「走り梅雨」、雨が少ない梅雨を「空梅雨」または「旱(ひでり)梅雨」、激しい梅雨の雨を「荒梅雨」「男梅雨」とも。ほかにも「梅雨の月」「梅雨の星」など。 夏の雨といえば「夕立」 夏の夕方に降る局地的な激しい雨。急激に暗くなり、雷を含んだ大粒の雨を降らせます。やんだ後は、からりと晴れ涼気を誘うことも。「ゆだち」「よだち」とも読み、前が見えないほどなので「白雨(はくう)」、「驟雨(しゅうう)」とも呼ばれます。
雨乞いのお蔭? 「喜雨(きう)」 日照りが続き、田畑が干からび、草も枯れかけたときに、ようやく降る恵みの雨のこと。「雨喜び」ともいい、古くは雨乞いなどが行われていたそうです。 いにしえのロマンス「虎が雨」 旧暦5月28日に降る雨のこと。親の仇討(かたきうち)ののち討たれて亡くなった鎌倉時代の武士、蘇我十郎祐成の愛人であった大磯の遊女、虎御前が十郎の死を悼んで涙の雨を降らせるという言い伝え。 夏なのに「氷雨(ひさめ)」? 氷雨とは、雹(ひょう)の別名で、れっきとした夏の季語です。今年のゴールデンウィークに雹が降ったニュースは記憶に新しいところですね。積乱雲がもたらす現象で、予報がしづらく、農作物に甚大な被害を与えることがあります。 渋い! 「卯の花腐し(うのはなくたし)」 旧暦4月を卯月(うづき)といいますが、そのころ降り続く霖雨のこと。卯の花という白くて小さい花を腐らせる雨の意味を持ち、使い方が上級者向きの、あまり一般的には知られていない渋い季語です。 (参照:俳句歳時記(春~新年) 角川学芸出版 角川文庫/入門歳時記 大野林火・著 角川学芸出版/広辞苑)
白雨(夕立)
白雨(夕立)
季語は俳句のためだけにあらず 知っている言葉、知らなかった言葉、たくさんありましたね。 近年地球環境の変化に伴い、異常気象が当たり前、それと同時におどろおどろしい気象用語ができあがりました。けれども、私たちの先祖はこんなにも美しい言葉を残してくれています。 ──言葉や漢字の成り立ちを知ることは、日常生活に膨らみを持たせてくれるはず。 梅雨は農作物や日本にとって必要な季節でもあり、あらためて四季に恵まれた日本に感謝したくなりますね。ちなみに、雨ではありませんが「虹」も夏の季語です。雨上がりに、夏の強い太陽の光で最も輝く季節だからなのですが、雨と関連づけて覚えておきたいですね。
卯の花
卯の花

あわせて読みたい

  • 6月の詩歌 ── 昼寝がしたくなる梅雨の季節

    6月の詩歌 ── 昼寝がしたくなる梅雨の季節

    tenki.jp

    5/31

    ジメジメ梅雨どきの「黒南風(くろはえ)」「五月闇(さつきやみ)」って?

    ジメジメ梅雨どきの「黒南風(くろはえ)」「五月闇(さつきやみ)」って?

    BOOKSTAND

    6/12

  • 梅雨の漢字はどうして「梅」と「雨」?意外な理由を解説

    梅雨の漢字はどうして「梅」と「雨」?意外な理由を解説

    tenki.jp

    6/8

    本当はいつ?「五月雨(さみだれ)」、「五月晴れ(さつきばれ)」と梅の実の熟すころの関係

    本当はいつ?「五月雨(さみだれ)」、「五月晴れ(さつきばれ)」と梅の実の熟すころの関係

    tenki.jp

    5/31

  • 6月の詩歌 ── 夏の気配が濃厚に、あるいはほのかに……

    6月の詩歌 ── 夏の気配が濃厚に、あるいはほのかに……

    tenki.jp

    5/29

この人と一緒に考える

コラムをすべて見る

カテゴリから探す