6月に入り衣替えのシーズンとなりました。南北に長い日本は地域によって気温差があり、一概には決まっていませんが、学校や会社では6月1日に衣替えをするところが多いようですね。そしてこの時季、上着を脱いで心と体が身軽になったら、美容院へ行って夏モードの髪形やカラーにするのも素敵ですね。
そのとき「どんな髪形、カラーにしようかな」と思っても、まず白髪(しらが)が気になることも! 白髪のとらえ方は人によってさまざまですが「増えたな〜」とため息つく人。思わず抜いてしまう人、染めなきゃ……と思う人。なかには何もせず、白髪のままの人もいますね。
そこで今回は、白髪がどのようなものかを知り、白髪の予防や対策、楽しみ方……をみていきましょう。

やっぱり、気になりますね
やっぱり、気になりますね

実は、生まれたての髪はみんな白髪なんです!

どんな髪形にしようか迷ったり、流行色を研究したり、ヘアアクセサリーやアレンジを楽しんだり、日々のシャンプー、コンディショナー、トリートメントをあれこれ替えてみたり……。
私たちが生まれてからずっと付き合っている「髪」ですが、髪がどういうもので、なぜ白髪になるかなど、じっくり考えたことはありますか?
今回は、まずどのようにして白髪になるのかを学んでいきましょう。
私たちの髪の色は、髪の中のメラニン色素によって決まります。つまり黒髪、栗色やブロンド……などの違いはメラニン色素の量で決まり、メラニン色素がほとんど含まれていない = 白髪となります。
毛根で髪がつくられた直後にはメラニン色素は含まれません。つまり、生まれたての髪はすべて白髪ということ。
この、生まれたての白い髪は、成長する過程でメラニン色素をつくり出すメラノサイトからメラニン色素を取り込み、黒髪として頭皮から押し出されるようにして現れます。
白髪の原因は、メラノサイトが加齢などで機能低下・消失してメラニン色素がつくられず、色が着かないままの髪が頭皮から現れるというもの。これが白髪なのです。

髪の色を決めるメラニン
髪の色を決めるメラニン

白髪の予防と対策は?

メラニン色素をつくり出すメラノサイトの機能低下・消失は、加齢のほかにも遺伝やストレス、食習慣、生活習慣の乱れ、睡眠不足……などが白髪が発生する原因になっているといわれています。
でも、食習慣、生活習慣の乱れ、睡眠不足等に気をつけていても、白髪の多い両親をもつ人は白髪になる確率が高いことはよく知られていますね。
でも、そうした人もあきらめることなく、白髪予防として気をつけたいことを次に挙げますので、参考にしてみてください。
■紫外線対策
紫外線を直接浴びる頭頂部は特に白髪になりやすく、要注意。外出時にはヘア用の紫外線対策クリームやスプレー、帽子(頭皮への通気性を考えた、風通しのよいもの)などを忘れずに。
■シャンプー
頭皮の血行を促進し、メラノサイトの働きを活発にするためには、正しいシャンプーがとても大事。また、シャンプー前のブラッシングも血流を促進する意味で効果大です。
■洗髪後の乾かし方
髪が濡れたまま眠るのは、雑菌が繁殖しやすくなるため髪や頭皮にとって最大のNGといわれています。さらに、濡れた髪は、髪の表面をおおいツヤを与えるキューティクルがはがれやすい状態ですので、髪と頭皮をしっかりドライヤーで乾かしましょう。
■有酸素運動
ウォーキングやジョギング、水泳などを日常に取り入れましょう。軽い運動は血流をよくし、末端である頭皮にも血液が回るようになり、髪の成長や白髪予防に効果的といわれています。
■頭皮マッサージ
頭皮の血流を促し、メラノサイトの働きを高めることで、白髪の発生を軽減する効果があるといわれています。
また、白髪は抜くと増えるという通説がありますよね。
これはあくまで通説であり、白髪は抜いても増えない……とも一方でいわれています。
ただ、無理に白髪を抜くことによって頭皮にトラブルが起きやすくなり、髪を育てる毛母細胞がダメージを受けると毛が生えなくなることもあるとか。気になる白髪は、はさみで根元からカットするか、部分的な白髪染めがオススメだそうです。
また、加齢や遺伝以外の要因として、過度のストレスが原因で白髪になることもあります。
過去に実際にあったケースとして、がけ崩れなどの災害時に車中に閉じ込められ命の危険にさらされた人が、短時間で一気に白髪が増えたことも……。ただし、そうした重度のストレスから解放されると、その白髪は黒髪に戻ることも報告されているそうです。

美しい髪はキューティクルから……
美しい髪はキューティクルから……

ファッションカラーで白髪は染まる?

美容室では、白髪染めのことをグレイカラー、おしゃれ染めのことをファッションカラーと言うように使い分けられているそうです。白髪が気になり出した時、今までのファッションカラーでなく、グレイカラーにするのは少し勇気がいるかもしれません。
そこで、グレイカラーとファッションカラー、どのように違うのでしょうか? その一般的な特徴をまとめてみました。
グレイカラー
・白髪を染めるため、濃いブラウンの染料が多く入っている。
・色もちがよい
・薬剤のパワーが強い
・明るい色で染めようとすると、染まりは悪くなる
ファッションカラー
・いろいなカラーを楽しむことができる
・髪を明るくする力がある
・染料がそれほど濃くない
・(グレイカラーと比べて)色もちが悪い
基本的には、白髪がなければファッションカラーで染めます。また、グレイカラーと違ってファッションカラーの染料はそこまで濃くないので、一般的にはファッションカラーで白髪は染まらないとされているようです(ほんのり色づく程度)。
若くても白髪を気にする人は意外と多く、「白髪染めはしたくない」「部分的に白髪が生えてる」という人もいます。
ファッションカラーだけでは白髪は染まらないようですが、ファッションカラーとグレイカラーは混ぜることができ、グレイカラーが入ることで白髪に色が入ります。
これで明るい白髪染めも可能になるそうです。この辺り、迷っている人は美容師さんに相談してみるといいですね。

迷いますね
迷いますね

最近急増しているグレイヘアの美しさの秘訣

ある調査では、白髪があると見た目が「7歳」老けてみえるという結果が報告されいる一方で、最近は「白髪を染めない」=「グレイヘア」のナチュラルな人をテレビや雑誌などでも見かけるようになりました。
グレイヘアを楽しむマダムや紳士が増えたことで、2018年の流行語大賞に「グレイヘア」がノミネートされ、2018年は「グレイヘア」元年ともいわれました。
思えば、白髪を染めたところで時間とともに根本から生えてくる白髪。そのたび気になり、染めなくてはならないというのもかなりのストレスですね。
また、頻繁に白髪染めを繰り返していると、髪の傷みは増す一方。そこで、染めずにナチュラルな白髪のまま、ファッションを楽しむというのが「グレイヘア」。輝く白髪は美しく洗練されて、「白髪=老けてみえる」とは別次元。「優雅なおとな」のおしゃれ感が漂います。

大事なことは内面の輝きでは……?
大事なことは内面の輝きでは……?

白髪は「染めて隠す」から、「生かして楽しむ」へ?

昨今では、白髪改善法としての究極の方法である「再生治療」に注目が集まっています。
すでに多くの医療機関や民間組織では、頭皮を移植する方法や頭皮から採取した発毛の司令塔ともいわれる「毛根鞘細胞」を培養する、といった方法で、白髪を黒髪に戻す研究が進められているそうです。
21世紀に入って20年近い年月が経過し、日本では新たな元号の下、新時代を迎えました。そんな中、若い頃とは違う美しさを楽しむ素敵なグレイヘアの人が増える一方、まだまだ多くの人にとって白髪は悩みのタネでもあるので、1日1錠の特効薬?を服用するだけで白髪が消える……そんな日がいつかくるかもしれませんね。
── とはいえ、白髪のおしゃれが楽しめるのは健康な髪だからこそ。もちろん肌と同じように、日々のお手入れが大切ですので、ツヤをキープし、毛流れを整えましょう。何より白髪は「年を重ねる」ことへの豊かさの証でもありますので、季節の変わり目のいま、ご自分の髪について見つめ直してみては!